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テイラー・スウィフト『Fearless』: メインストリームに飛び出した2枚目のアルバムとタイトルが持つ意味

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7月 8, 2019

テイラー・スウィフトは、アルバム『Fearless』に収められた全13曲のうち8曲を独力で書き上げている。2年前のデビュー作に続くこのセカンド・アルバムは、本人曰く、作詞家としての成長が表れた作品だった。「自分のことを歌詞にするのが以前よりずっと楽になった」と彼女は語っている。

2008年11月11日に『Fearless』が発売された時点で、テイラーは19歳だった。本人によれば、このアルバムの歌詞には非常にプライベートな出来事がたくさん盛り込まれており、アルバムのメイン・テーマは「男の子、恋愛、人間関係」だったという。テイラーは、若者の暮らしを一種の哀愁と共に描き出す力を持っていた。その力によって爆発的な人気を獲得し、ナッシュヴィルの伝統的なカントリー・ミュージックの世界からポップスのメインストリームに飛び出すことになった。ペンシルベニアで生まれた彼女は2歳の頃から歌い始め、それからずっと音楽の道を目指してきた。そして『Fearless』で、世界的な名声を手にしたのである。

このアルバムからは5枚のシングルが出ている。第1弾の「Love Story」は、音楽業界の記録をすっかり塗り替えてしまった。歌詞はシェークスピアの『ロミオとジュリエット』を思わせる内容で、人の目を惹き付けるプロモ・ビデオも作られた。その結果、この曲は全世界で800万枚以上を売り上げ、史上最高にヒットしたカントリー・ソングとなった。

Taylor Swift – Love Story

テイラーは作詞家としての自信を深めていたが、それだけではない。メロディを作ることに関しても才能に恵まれていた。彼女が作るヴァース/コーラス/ブリッジという曲構成は実に見事だ。そして歌詞は、若者にターゲットを絞っていた。「Fifteen」ではこう歌われている。「アメフト・チームの男の子とデートする/あなたはそんなことよりもずっと凄いことをやれるでしょう/私も15歳のとき、そんなことはやらなかった」。彼女が描く恋物語はアメリカのハイスクールを舞台にしていたが、それでもどこの国の人にも訴えかける力を持っていた。

このニュー・アルバムに対する称讃は瞬く間に広がり、次々と出たシングル（「Forever And Always」「Fifteen」「You Belong With Me」）もヒットした。こうしてテイラーは2010年のグラミー賞で4部門を獲得。最優秀アルバム賞の史上最年少受賞者となった。またカントリー・ミュージック協会賞でもエンタテイナー・オブ・ザ・イヤーに史上最年少で選ばれ、アメリカン・ミュージック・アワードでも2部門で受賞している。

テレビ司会者のエレン・デジェネレスのインタビューを受けたとき、テイラーは「Forever And Always」という曲名が、有名人である元ボーイフレンドに対する「当てこすり」だったと認めている。テイラーによれば、その元ボーイフレンドから別れを告げられたのはたった27秒間の電話でのことだったという。その他のアルバム収録曲はもっと明るい内容だ。「The Best Day」は両親に捧げる心地よいトリビュート。またアルバムを締めくくる「Change」には社会的な意識が反映されている。この曲の歌詞には、こんな一節がある。「it’s hard to fight when the fight ain’t fair / フェアじゃない戦いに臨むのは辛いこと」。これは、のちのテイラーの政治的な信念にもつながっているように感じられる。

Taylor Swift – Change

このアルバムの中でも特に完成度が高い曲のひとつ「Breathe」は、コルビー・キャレイとの共作/共演作品だ。これは喪失感を歌った曲で、ジョナサン・ユドキンが素晴らしいストリングス・アレンジを担当している（ユドキンは、タミー・ワイネットからガイ・クラークに至るまでありとあらゆるアーティストの作品に関わってきたナッシュヴィルを代表するアレンジャーのひとり）。ちなみに『Fearless』では「フィンガー・スナッピング」の担当者として8人の名前がクレジットされているが、その中にはキャレイの名前も含まれている。

このアルバムの解説で、テイラーは『Fearless』というタイトルを選んだ理由とこの言葉が自分にとってどういう意味を持っているのか説明している。「“Fearless (大胆)”というのは、自分の望みを叶えるために、あきらめることなく何度も何度も戦いを挑むこと……たとえ、それまで何度挑んでも負け続きだったとしても」。彼女はさらにこう記している。「いつか物事が変わる日が来る。そう信じるのは怖いもの知らずな大胆な行為だ」

Written By Martin Chilton