エルトン・ジョンの伝記映画『ロケットマン』を見る前に知ると映画が100倍楽しめる22曲(動画付き)

Published on

Photo: Paramount Pictures

1972年の代表曲から名のついた映画『ロケットマン』は、エルトン・ジョンの初期のキャリアやブレイク期を描いた伝記映画だ(日本公開8月23日)。監督は『ボヘミアン・ラプソディ』の最終監督をつとめたデクスター・フレッチャー、エルトン役にはタロン・エガートン、彼の共作者を長く務めてきた作詞家バーニー・トーピン役はジェイミー・ベルが演じる。エルトンの人生の転機に焦点を当てた映画とあれば、彼の名曲はふんだんに使われていることだろう。

同作の評判は高くエルトン自身もタロンの演技を絶賛している。同作の音楽を監修したジャイルズ・マーティンは、「エルトンは“僕の歌をタロン以上にうまく歌える人はほかにいないと思う”って言っていたよ」と明かしている。劇中ではエルトンのどの曲が使われているのだろうか。ここに紹介しよう。


「Your Song (僕の歌は君の歌)」

初収録アルバム: 『Elton John (僕の歌は君の歌)』
発表年: 1970年
チャート上の最高位: 英7位、米8位

エルトン・ジョンによる2作目のアルバムに収録された重要曲「Your Song」は、もともと米シングル「Take Me to the Pilot (パイロットにつれていって)」のB面曲だった。だがアメリカのDJたちは「Your Song」の方を好んだため、A面とB面は入れ替えられ、同シングルはエルトンにとって初めての全米トップ10ヒット曲となった。

 

「Rocket Man (I Think It’s Going To Be A Long Long Time) (ロケット・マン)」

初収録アルバム: 『Honky Château』
発表年: 1972年
チャート上の最高位: 英2位、米6位

デヴィッド・ボウイの「Space Oddity」(プロデュースは「Rocket Man」と同じガス・ダッジョン) がそうだったように、この曲「Rocket Man」もまた宇宙飛行をテーマにして切なる想いを歌ったバラードだ。エルトンのライヴの定番曲でもある。2018年には40万回のデジタル・ダウンロードを記録し、イギリスでゴールド・ディスクに認定された。

 

「Bennie And The Jets (ベニーとジェッツ)」

初収録アルバム: 『Goodbye Yellow Brick Road (黄昏のレンガ路)』
発表年: 1973年
チャート上の最高位: 英37位、米1位

ベニーの綴りはシングルのジャケットやアルバムの楽曲リストでは”Benny”となっているものもあるが、オリジナルのLPでは”Bennie”となっている。いずれにしても同曲はエルトンの代表曲のひとつであり、1985年の”Live Aid”におけるステージのハイライトにもなっている。

 

「Tiny Dancer (可愛いダンサー)」

初収録アルバム: 『Madman Across The Water (マッドマン)』
発表年: 1972年
チャート上の最高位: 米41位

「Tiny Dancer (可愛いダンサー)」は、当初イギリスでは正式にシングル・カットされていなかったものの、シングルとしてリリースされると40万枚を売り上げゴールド・ディスクに認定された。それほどまでの人気を得たきっかけとして、サントラがグラミー賞を受賞した2000年のコメディ・ドラマ映画『あの頃ペニー・レインと』のサウンドトラックに使用されたことがある。

 

「The Bitch Is Back (あばずれさんのお帰り)」

初収録アルバム: 『Caribou』
発表年: 1974年
チャート上の最高位: 英15位、米4位

エルトンの8作目のアルバム『Caribou』のオープニングを飾る楽曲。歌詞はセレブの生活を揶揄したものだが、それはエルトン自身がスターダムに上る過程で身につけていたものだった。ステージの定番のひとつであり、エルトンのハード・ロック・ナンバーを代表する1曲である。

 

「I Want Love」

初収録アルバム: 『Songs From The West Coast』
発表年: 2001年
チャート上の最高位: 英9位

エルトンがピアノ中心のサウンドに回帰した26作目『Songs From The West Coast』は批評家からも広く絶賛された。同作の中核である「I Want Love」は威厳に満ちたバラードで、2002年のグラミー賞の”Best Male Pop Vocal Performance (最優秀男性ポップ・ヴォーカル・パフォーマンス)”部門にノミネートされた。ミュージック・ビデオに登場するのは「アイアンマン」の主演を務める前、薬物問題でボロボロだったころのロバート・ダウニー・Jr。

 

「Saturday Night’s Alright (For Fighting) (土曜の夜は僕の生きがい)」

初収録アルバム: 『Goodbye Yellow Brick Road (黄昏のレンガ路)』
発表年: 1973年
チャート上の最高位: 英7位、米12位

エルトンの楽曲でも指折りにラウドなロック・ナンバー。ジェリー・リー・ルイス風の弾けるピアノが印象的だ。「Saturday Night’s Alright (For Fighting)」は、クイーンザ・フーフォール・アウト・ボーイなど幅広いアーティストにカヴァーされている。

 

「Thank You For All Your Loving」

初収録アルバム: EP『I’ve Been Loving You』
発表年: 1968年
チャート上の最高位: (圏外)

「Thank You For All Your Loving」はエルトンの最初期の楽曲であり、記録を探すのも難しい。彼がフィリップス・レコードから唯一リリースしたポルトガル限定のEPに収録されている。バーニー・トーピン作詞の楽曲がほとんどの中で、同曲は元バンドメイトのカレブ・クエイとエルトンの共作曲になっている。

 

 

「Border Song (人生の壁)」

初収録アルバム: 『Elton John (僕の歌は君の歌)』
発表年: 1970年
チャート上の最高位: 米92位

エルトンのセカンド・アルバムは、ブレイクのきっかけとなったヒット曲「Your Song」が収録されていることで有名だ。しかし「Border Song」も忘れてはいけない。この曲がカナダでトップ40入りを果たしたことが、カナダに限らず彼にとって初めてのチャート・インになったのだ。アレサ・フランクリンによるカヴァー・ヴァージョンも、1970年12月にアメリカのチャートでトップ40圏内にランクインしている。

 

「Rock And Roll Madonna」

初収録: (シングルA面)
発表年: 1970年
チャート上の最高位: (圏外)

もともとはイギリスではアルバム未収録のシングルとして発表され、のちにコンピレーション・アルバム『Rare Masters (イエス・イッツ・ミー〜レア・トラックス)』に収録された楽曲。「Rock And Roll Madonna」というタイトルが示唆する通りの直球のロックン・ロール・ナンバーで、「Bennie And The Jets」のようにライヴ感を出すエフェクトが施されている。

 

「Amoreena (過ぎし日のアモリーナ)」

初収録アルバム: 『Tumbleweed Connection (エルトン・ジョン3)』
発表年: 1970年
チャート上の最高位: (圏外)

アメリカーナで好評を博した3作目の聴きどころのひとつで、「Amoreena」というタイトルは、エルトンの名付け子に因んだものだ。シングル・カットはされていないが、アル・パチーノが主演した1975年の犯罪ドラマ映画『狼たちの午後』のオープニングに使われたことでも有名。

 

「Crocodile Rock」

初収録アルバム: 『Don’t Shoot Me, I’m Only The Piano Player (ピアニストを撃つな!)』
発表年: 1972年
チャート上の最高位: 英5位、米1位

エルトンが初めてアメリカのヒット・チャートのトップに送り込んだ1曲。ロックンロールの黎明期を懐かしむような歌詞が特徴的なこの「Crocodile Rock」は広く人気を得て、1973年2月のアメリカのトップ100チャートで3週に亘り1位のポジションを維持した。イギリスではMCAレコードからエルトンが初めてリリースしたシングルとなり、彼の国のチャートでは5位を獲得している。

 

「Take Me To The Pilot (パイロットにつれていって)」

初収録アルバム: 『Elton John (僕の歌は君の歌)』
発表年: 1970年
チャート上の最高位: 記録なし

ヒット・シングル「Your Song」のカップリング・ナンバーに選ばれた楽曲で、セカンド・アルバム『Elton John 』のハイライトのひとつにもなった。骨太なサウンドを伴った「Take Me To The Pilot」は1970年代のライヴの定番曲として楽しまれ、1987年の『Elton John live in Australia with the Melbourne Symphony Orchestra(エルトン・スーパー・ライヴ 〜栄光のモニュメント〜)』ではフル・オーケストラ・ヴァージョンも披露された。

 

「Hercules」

初収録アルバム: 『Honky Château』
発表年: 1972年
チャート上の最高位: (圏外)

エルトン・ジョンの息の長い活躍が約束されたアルバムともいわれる1972年作『Honky Château』を皮切りに、彼はアルバム7作を、立て続けに米チャートの首位に送り込んでいる。『Honky Château』には「Rocket Man (I Think It’s Going To Be A Long Long Time)」と「Honky Cat」という伝説的な2曲が併録されているが、「Hercules」も聴き逃すことのできないトラックのひとつである。この曲をアルバムからのサード・シングルとしてリリースすることも検討されたが、結局シングル・カットは見送られている。

 

「Don’t Go Breaking My Heart (恋のデュエット)」(エルトン・ジョン & キキ・ディー)

初収録: (シングルA面)
発表年: 1976年
チャート上の最高位: 英1位、米1位

エルトン・ジョンによる不朽の名曲「Don’t Go Breaking My Heart」は、もともとモータウンへの愛を込めたオマージュ曲として作られた。エルトンとバーニー・トーピンはそれぞれアン・オーソンとカルト・ブランシュというペンネームでこの曲を書き、ダスティ・スプリングフィールドに楽曲提供する予定だったのだ。結果としてエルトンがキキ・ディーとのデュエットで発表することとなったが、英米両国のチャートで1位となり、1976年にはアイヴァー・ノヴェロ賞も受賞している。

 

「Honky Cat」

初収録アルバム: 『Honky Château』
発表年: 1972年
チャート上の最高位: 英31位、米8位

『Honky Château』は、エルトンがライヴのサポート・バンド (ベースのディー・マレイ、ドラムのナイジェル・オルソンら) とともにレコーディングした初めてのアルバムだ。彼らはニューオリンズのファンク調の1曲「Honky Cat」でその力量を存分に発揮している。この曲は『Honky Château』の収録曲の中でも特に人気の高い楽曲であり、同作から最初にシングル・カットされた楽曲でもある (プロデュースはガス・ダッジョン)。

 

「Pinball Wizard (ピンボールの魔術師)」

初収録アルバム: Tommy (Original Film Soundtrack) (トミー オリジナル・サウンドトラック)
発表年: 1976年
チャート上の最高位: 英7位

ザ・フーが1969年に発表したコンセプト・アルバムの傑作『Tommy』をケン・ラッセル監督が映画化した1975年作の劇中で、エルトンはこの「Pinball Wizard」を歌っている。のちにシングルとしてリリースされたエルトンのヴァージョンはピアノがサウンドの中心となり、歌詞にもタウンゼントが映画用に書き足したパートが追加されている。

 

「Don’t Let The Sun Go Down On Me (僕の瞳に小さな太陽)」

初収録アルバム: 『Caribou』
発表年: 1974年
チャート上の最高位: 英16位、米2位

「Don’t Let The Sun Go Down On Me」はアルバム『Caribou』からの最初のシングルとして1974年5月にリリースされた。同曲にはデル・ニューマンによるホーン・アレンジが施されたほか、ビーチ・ボーイズのカール・ウィルソンとブルース・ジョンストンがバック・コーラスに参加したことで豪華なサウンドに仕上がっている。1991年にはジョージ・マイケルとのデュエット・ヴァージョンがリリースされ、英米両国のチャートで首位をマークしている。

 

「Sorry Seems To Be The Hardest Word (悲しみのバラード)」

初収録アルバム: 『Blue Moves (蒼い肖像)
発表年: 1976年
チャート上の最高位: 英11位、米6位

一部のチャートでは1位にも輝いた哀感に満ちたバラード・ナンバーで、ポール・ニューマン主演の映画『スラップ・ショット』 (1977年)でも効果的に使用されている。2002年にはイギリスのヴォーカル・グループ、ブルーとエルトンの共演版がリリースされ、シングル・がチャートの首位に輝いている。

 

「Goodbye Yellow Brick Road」

初収録アルバム: 『Goodbye Yellow Brick Road (黄昏のレンガ路)』
発表年: 1973年5月
チャート上の最高位: 英6位、米2位

デル・ニューマンがアレンジを担当したストリングスが壮麗に響く、言わずと知れたソフト・ロックの名曲。エルトンの代表曲のひとつであり、現在もステージに欠かせない1曲になっている。後年、エルトンはビリー・ジョエルとのデュエットでこの「Goodbye Yellow Brick Road」を披露。そのヴァージョンは『One Night Only: The Greatest Hits Live (ワン・ナイト・オンリー〜グレイテスト・ヒッツ・ライヴ)』(2000年)で聴くことができる。

 

「I’m Still Standing」

初収録アルバム: 『Too Low For Zero』
発表年: 1983年
チャート上の最高位: 英4位、米12位

80年代前半のポスト・パンクやニュー・ロマンティックなど新しいジャンルの台頭への反応として書かれたと考えられている1曲。挑戦的な「I’m Still Standing」は、エルトンのポップ界のトップ・スターとしてのポジションが揺らいではいないことを印象付けた。同曲を収録した『Too Low For Zero』もまたチャートを上昇し、1980年代のエルトン・ジョンの最大のヒット・アルバムになっている。

 

「(I’m Gonna) Love Me Again/エルトン・ジョン & タロン・エガートン」

初収録アルバム: Rocketman (Music From The Motion Picture) (『Rocketman』サウンドトラック)
発表年: 2019年
チャート上の最高位: (圏外)

ジャイルズ・マーティンとグレッグ・カースティンのプロデュースで、映画『ロケットマン』のサントラのために書き下ろされた楽曲だ。モータウン風でノリの良い「(I’m Gonna) Love Me Again」は、エルトンと主演のタロン・エガートンのデュエットで、映画ではエンド・クレジットに使われている。タロンの歌い手としての力量について、エルトンはローリング・ストーン誌の取材にこう語っている。「僕はタロンとジャイルズ・マーティンを信頼して、制作の過程を彼らに任せたんだ。出来上がったものを聴いたら驚いたよ」。

 

By Tim Peacock


『ロケットマン(オリジナル・サウンドトラック)』
2019年5月24日発売(輸入盤CD / 配信
2019年 8月7日発売(日本盤CD

映画『ロケットマン』8月23日(金)全国ロードショー
公式サイト


映画『ロケットマン』、ディズニー映画『ライオン・キング』(8月9日)公開に合わせて
最新エルトン・ジョンの最新ベスト『DIAMONDS』の1CD / 3CD が発売

エルトン・ジョン『DIAMONDS
2019年 8月7日発売
1CD / 3CD

ロケットマン公式グッズ販売中

1969~1977年の間に発売されたスタジオ盤&ベスト盤×全13タイトルが一挙紙ジャケ化!



 

 

Share this story

Don't Miss

{"vars":{"account":"UA-90870517-1"},"triggers":{"trackPageview":{"on":"visible","request":"pageview"}}}
モバイルバージョンを終了