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成功とは無縁だったデビュー当時のデヴィッド・ボウイ:名義とレーベルを変えながら発売した最初の9枚のシングル

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1964年6月、17歳の青年デヴィッド・ジョーンズはデビュー・シングル「Liza Jane」を発表した。このシングルは、デヴィッド・ジョーンズ&ザ・キング・ビーズ名義でデッカ・レコーズ傘下にあったレーベルのヴォーカリオン・ポップから発売された。この曲は『Juke Box Jury』、『Ready Steady Go!』、『The Beat Room』といったテレビ番組を通じ、プロモーションが行われたが、ヒット・チャートには入り損ねている。

Liza Jane

次のシングルは、1965年3月にパーロフォン・レーベルからリリースされた。こちらはマニッシュ・ボーイズの名義になっており、A面にはボビー・ブランドの「I Pity The Fool」のカヴァー・ヴァージョンが収録されていた。このときのレコーディングには、ジミー・ペイジがギターで参加していたが、結果は同じくこのレコードもまたチャート入りを逃してしまう。

I Pity the Fool

3枚目のシングルは同じ年の8月に発表された。このときレコーディングしたのはデヴィッド・ボウイの自作曲「You’ve Got A Habit of Leaving」で、アーティスト/グループ名はここでまたもや変更され、今度はデイヴィ・ジョーンズ&ザ・ローワー・サードとなっていた。しかしながら、このシングルもまた不発に終わっている。

You've Got a Habit of Leaving

やがてモンキーズが大きな人気を集めると、デヴィッド・ジョーンズは自身の名前をデヴィッド・ボウイに変えた。これは、イギリス生まれのモンキーズの小柄なメンバー、デイヴィ・ジョーンズとの混同を避けるためだった。デヴィッド・ボウイに改名したあとの最初のシングル「Can’t Help Thinking About Me」は1966年1月14日にリリースされたが、ここでいまいちど所属レーベルが変わり、今度の契約先はパイになっていた。録音はパイ・スタジオで前年の11月に行われ、プロデュースはパイのスタッフ・プロデューサー/ソングライターのトニー・ハッチが担当していた。当時のトニー・ハッチの売りは、ペトゥラ・クラークを手がけ、ヒット・シングルを連発していたことにあった。

Can't Help Thinking About Me

この「Can’t Help Thinking About Me」もやはりヒットするには至らなかったが、レーベルとデヴィッド・ボウイはくじけることなく、1966年4月1日に次のシングル「Do Anything You Say」(デヴィッド・ボウイのオリジナル・ナンバー)をリリースする。このシングルもやはりチャート入りは果たせず、1966年8月に三度目の正直を狙ってリリースされた「I Dig Everything」も成功とはほど遠い結果に終わった。

Do Anything You Say
I Dig Everything

この「I Dig Everything」を最後にデヴィッド・ボウイはパイとトニー・ハッチのもとを離れ、デッカ・レコーズ傘下に設立されたレーベル、デラムに移籍する。このとき彼が組んだプロデューサーはマイク・ヴァーノンで、彼が手がけた移籍後の最初のシングル「Rubber Band」は1966年12月にリリースされた。もう予想がつくだろう。しかしこのシングルも当時の音楽ファンの関心を引くことなく、やがて市場から消えていった。

Rubber Band

デヴィッド・ボウイは1967年4月に同じくデラムから「The Laughing Gnome」をリリース。さらに同年7月には同レーベルからの3枚目のシングル「Love You Till Tuesday(邦題:愛は火曜まで)」が発表されたが、ボウイがデラムからリリースしたシングルはこれが最後になった。

The Laughing Gnome
Love You Till Tuesday

ここまでの3年間で、デヴィッド・ボウイはさまざまな名義で計9枚のシングルを発表したが、どれもヒットとはまったく無縁だった。駆け出しのアーティストに、これほどたくさんの失敗作を世に出すチャンスを与えるというのは、今では到底考えられないことだろう。

そして1969年7月、デヴィッド・ボウイはまたもやチャンスを掴む。それがどんな結果をもたらすか、おそらく誰も予想できなかったに違いない。フィリップス・レーベルと移籍した彼が移籍後に発表した最初のシングル「Space Oddity」は1969年9月にイギリスのシングル・チャートにエントリー。やがてこれは、最高位5位をマークする大ヒット曲になったのだった。

デヴィッド・ボウイのデラム・レーベル時代のアルバム『David Bowie』はボーナストラックが多数収録されたデラックス・エディションとしても現在も発売中。

Written By Richard Havers



デヴィッド・ボウイ / デヴィッド・ボウイ【CD】【SHM-CD】

デヴィッド・ボウイ『David Bowie』

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