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カルチャー・クラブ『Waking Up With The House On Fire』解説:チャートを大いに賑わせた秀作
“洋楽名盤”の魅力を再発見する新企画として、海外及び日本で展開している音楽コンテンツキュレーションサイト「uDiscoverMusic」の名を冠した新シリーズ「uDiscovemusicシリーズ」が始動。
時代を超えて愛される洋楽名盤やアーティストの代表作を数多くラインナップし、「新しい音楽との出会い」の場を提供する新たなスタンダード・シリーズの第一弾として、カルチャー・クラブ&ボーイ・ジョージの全6作品が9月24日に発売される(予約はこちら)。
カルチャー・クラブ
1. Kissing To Be Clever
2. Colour By Numbers
3. Waking Up With The House On Fire
4. From Luxury To Heartache
ボーイ・ジョージ
5. Sold
6. Tense Nervous Headache
このアルバムの解説を順次公開。第3回目は3rdアルバム『Waking Up With The House On Fire』。
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大進撃の後のアルバム
カルチャー・クラブ(Culture Club)は1982年に世界中のチャートを席巻し始めたが、その快進撃は2年が経過してもなお続いていた。実際、ボーイ・ジョージ率いる彼らの3rdアルバム『Waking Up With The House On Fire』もまた、大ヒットを記録したのである。
確かに、「Karma Chameleon(カーマは気まぐれ)」や、全世界で1,600万枚を売り上げたセカンド・アルバム『Colour By Numbers』のリリース当時の熱狂は、1984年後半になるとやや下火になっていた。
それでも、デビュー当時から手を組んできたスティーヴ・レヴィーンが引き続きプロデュースした新作アルバムより、先行シングルとしてリリースされた「The War Song(戦争のうた)」は全英2位をマーク。同曲はアメリカでもトップ20入りを果たした。
1984年11月3日、この新作アルバムは全英チャートに2位で初登場。その週の1位はポール・マッカートニーによる映画のサウンドトラック盤『Give My Regards To Broad Street』で、前週首位だったビッグ・カントリーの『Steeltown(スティールタウン〜ビッグ・カントリーⅡ)』は5位まで後退していた。
アルバムのリリース時、カルチャー・クラブの面々はすでにアメリカ・ツアーの真っ最中で、12月には英国でのツアーも控えていた。また同年の夏には、彼らの人気が特に高い国の一つである日本でもツアーを敢行。スマッシュ・ヒッツ誌がその夏の現地レポートで”ジャパンデモニウム”(訳注:”日本 [Japan]”と”大混乱 [pandemonium]”を掛け合わせた造語)と表現したほどの熱烈な歓迎を受けた。
作曲のプロセス
新作『Waking Up With The House On Fire』のタイトルは、ボーイ・ジョージがドリス・デイ主演の古い映画の中で目をつけた台詞をヒントに付けたものだった。一方、ジョン・モスにとって同作の作曲プロセスはあまり良い思い出ではなかったようだ。彼はスマッシュ・ヒッツ誌にこう語っている。
「僕らは作曲のために2、3週間を確保していたけど、結局その期間は1日も使わなかった。すぐ口論になって帰ったんだ。3日後にまた集まってはみたけど、また口論になった。延々と言い争って、ついにジョージは自分のテープ・レコーダーを叩き壊し、僕は彼に椅子を投げつけた。そのあと、4日間でアルバムの楽曲を書き上げたんだ」
日本ツアーの後、グループはオーストラリアでの一連の公演を完遂。そのあとはそれぞれに休暇を取り、ジョージがインドを旅行するなどしたのち、メンバーたちは再集結して『Waking Up With The House On Fire』のレコーディングとミキシングを終えたのだった。
確かに、カルチャー・クラブのセールス面での全盛期は終わりに近づいていたかもしれない。だがこの1984年作のヒットにより彼らは、米国でプラチナ・ディスクに認定されるアルバムを2年のあいだに3作も放つという快挙を成し遂げたのだ。
Written By Paul Sexton
カルチャー・クラブ『Waking Up With The House On Fire』
1984年10月22日発売
SHM-CD / iTunes Store / Apple Music / Spotify / Amazon Music
- カルチャークラブ アーティストページ
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