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セレステ『Not Your Muse』レビュー: 2020年代で最も期待されるアーティストの一人によるデビュー作

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ちょうど1年前、注目の新人を選ぶ「BBC Sound of 2020」にて第1位に選ばれたセレステ(Celeste)は、ブリット・アワードで音楽仲間の目と耳に留まり、魅惑的なライブパフォーマンスでショーを席巻、新人賞であるライジングスター賞を受賞した。

それ以来、ソウルフルなUKのシンガーソングライターは、「I Can See the Change」「Little Runaway」、そして最近公開した「Love Is Back」などのシングルで世界中の音楽ファンの心を掴んでいる。また、彼女はアーロン・ソーキン監督のNetflix映画『シカゴ7裁判』へ「Hear My Voice」を提供し、ピクサー/ディズニー作品作の『ソウルフル・ワールド』のUK版エンドクレジットソングにジョン・バティステとともに「It’s Alright」を歌唱している。

2020年末のホリデー期間中には、英大手百貨店John Lewisのクリスマス・キャンペーンのCMためにオリジナル曲のレコーディングを依頼されて「A Little Love」を制作。そして2021年1月29日、ようやく、彼女のデビュー・アルバム『Not Your Muse』がリリースされた(日本盤発売は2月26日)。

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恋愛関係についての思索的な考察

グルーヴィなアンセムと思索的なバラードが均等なバランスで収録されているアルバム『Not Your Muse』は、恋愛関係の浮き沈みや別れの現実、そしてそれに続く葛藤という感情が表現されている。

アルバムは「Ideal Woman」で幕を開ける。アコースティック・ギターだけの伴奏で、セレステは静かにこう宣言する。

私はあなたの理想の女性ではないかもしれない
あなたの頭の中の天国
あなたを救うつもりの人
すべての不満から

その一方で、彼女がかつての恋人への切迫した思いを綴った「Tonight Tonight」や、先日リリースされたばかりの先行シングル「Love is Back」は、愛を風刺した曲と評されている。彼女はこう語る。

「本当に好きな人に会った瞬間に、その気持ちが全く新しいものになって、その人が誰なのかという考えに夢中になってしまう」

Celeste – Love Is Back (Official Video)

2019年後半にアルバムのリードシングルの一つとして先行リリースされた「Strange」では、人が他人から友人へ、恋人へ、そしてまた他人に戻ることができる方法を考えている。セレステが2020年のブリット・アワードで披露したこの曲について、ストームジーは「完璧な曲」と宣言し、その後、ビリー・アイリッシュやルイス・キャパルディらも好きな曲であることを公言している。

Celeste – Strange (Live from The BRIT Awards 2020)

豊かなサウンドと楽器

アルバムの多くの楽曲では、様々な楽器が使用されており、セレステの高揚した豊かなヴォーカルを完璧に補完している。「Stop This Flame」は、エネルギッシュでジャズを前面に押し出したピアノラインと軽快なパーカッションで始まり、アンセム的なコーラスに突入する。

Celeste – Stop This Flame (Official Video)

「Tell Me Something I Don’t Know」は70年代初期にいたようなソウルスターのレイドバックしたグルーヴを思い起こさせ、「Beloved」では渦巻くストリングスとリバーブを多用したヴォーカルが、それ以前の時代のクルーナーの歌手たちを思い起こさせる。

セレステが昔の恋人への想いに葛藤する「The Promise」では、軽快なフルート、さわやかなギターライン、鳥の歌のような効果音など、ドリーミーで空想的な雰囲気が漂っている。

困難な時代での楽観的な気持ち

英国に住んでいる人ならば、2020年の英大手百貨店John LewisのCMで取り上げられた「A Little Love」を聴いたことがない人は少ないだろう。『Not Your Muse』の全体に流れる個人的な物語とは異なり、「A Little Love」はより広いスケールの感情を表している。他人に優しくすることの重要性を語るこの曲は、新型コロナウイルスの蔓延を受け非常に困難だった一年の終わりにリスナーが必要としている楽観的な気持ちを与えてくれた。

Christmas 2020 Ad | Give A Little Love | Waitrose & John Lewis

アルバムの最後は、セレストがシンプルなアコースティック・ギターのラインに合わせて歌う切ない「Some Goodbyes Come with Hellos」で締めくくられる。

「時には惹かれることもある/選べないこともある/失うこともある」という歌詞にもかかわらず、この曲の高揚感があるメロディーは、愛はいつも皮肉を正当化しないとリスナーに思い出させてくれる。セレステは「誰も知らない/どこへ行くのか/でも別れには挨拶がつきものさ」と歌い、人生のすべてがチャンスであることを教えてくれる。

待っていた甲斐があったというほど、『Not Your Muse』を聴けばきくほどセレステの才能がわかるだろう。思慮深いソングライティング、豊かなヴォーカル、繊細な喜びの瞬間、そして心を揺さぶるコーラスに満ちたこの作品は、2020年代で最も期待されるアーティストの一人による輝かしいデビュー作となっている。

Written By Sophie Smith



セレステ『Not Your Muse』
2021年1月29日発売:国内盤CD 2月26日発売
CD / iTunes / Apple Music / Spotify / Amazon Music




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