ABBAの“デジタルコンサート”のクリエイティヴ監督がその革新性について語る

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Björn Ulvaeus - Photo: Andreas Rentz/Getty Images

ABBAのビヨルン・ウルヴァース(Björn Ulvaeus)がナビゲートするApple Musicのラジオ番組「Björn from ABBA and Friends」の最終回に、2022年5月27日からロンドンのクイーン・エリザベス・オリンピック・パークに特設されたABBAアリーナにて開幕予定のアバター・コンサート“ABBA Voyage”のクリエイティヴ・ディレクター、ヨハン・レンク(Johan Renck)が登場し、この革新的コンサートを実現させるまでの長い道のりについて語った。

*番組ページ 「Björn from ABBA and Friends」はこちら

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ヨハン・レンクは、“ABBA Voyage”に関わるきっかけが、5、6年前にプロデューサーのサイモン・フラーから、ABBAの新曲ビデオの製作の話が持ち込まれたことだったこと明かし、こう語った。

「彼は、コンサートやライヴのような体験を、(従来の)ライヴ・パフォーマンスではなく、別の手段で創造してみたいと言うんです。それから彼と、ホログラムができるかもしれない、技術的な面でこんなこともできるかもしれない、といういろいろな話をしていくうちに、僕はすぐにその魅力に取り付かれました」

「新曲を聴いた時、僕は永久的な音楽、永遠に生き続ける音楽について、そしてABBAが彼らの魂をデジタル・アバターに吹き込むことができるかもしれない、といった奇妙な考えを思い付いたんです。まるで吸血鬼やドリアン・グレイのような、永遠の命にまつわる物語ですね」

スウェーデンに生まれ育ったヨハン・レンクは、最初は何気なく、次第に熱心にABBAを聴くようになったという。

「(ビョルンに向かって)誰も聴いていない音楽をやっていましたよね。あなたは決して(当時流行っていたものやって)クールになろうとしなかった」

ビヨルンはこう答えた。

「私たちがユーロビジョンを通じてスウェーデンの国外で成功する前は、スウェーデンのバンドが国外に進出するのは実質不可能だった。誰もやったことがなかったしね。私たちはレコード会社に何本もデモテープを送ったけど、間違いなく聴かれる前にゴミ箱に捨てられていたでしょうね。当時のアングロ・サクソン人の世界は、エルヴィスやポップスやザ・ビートルズで、すべて満たされていたからだと思います。そんな時代に、スウェーデンのような見知らぬ土地から来た音楽を聴きたいと思います?」

その後、ABBAの台頭によって世の中は大きく様変わりしたことは皆のご存じの通りだ。この春、ロンドンのクイーン・エリザベス・オリンピック・パークに特設されたABBAアリーナで開幕する革新的コンサート体験は、さらなる興奮を呼び起こしてくれることだろう。 現在“ABBA Voyage”のチケットは発売中だ

ヨハン・レンクはこう語る。

「このコンサートは、あなた達にとっても、僕にとっても、この仕事に関わった全ての人にとって、決して商業的なものではなく、独創的なものとなります。そして、もちろんこのコンサートを通してABBAのカタログ作品や新曲を使って、音楽に関わる新しいタイプの体験を創造することも目標です。常にABBA体験を高めるための経験を創り出すことでもある。僕たちに、“ビジネスのアイデアがあるんだけど”っていう考えは一切なく、常に音楽のことだけ考えているんです」

Written By Larisha Paul


ABBA『Voyage』
2021年11月5日発売




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