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クイーン+アダム・ランバート日本ツアー全四夜:“なかったはずの、物語の続き” が少しでも長く続いていくことを願って

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Photo by 岸田哲平

2020年1月25日から始まった全4公演のクイーン+アダム・ランバート「THE RHAPSODY TOUR」ジャパン・ツアーは、クイーン+アダム・ランバートとしては3年4か月ぶり3度目の来日公演でジャパンツアーの総動員は13万7千人で史上最大規模の日本公演となった。

埼玉2回、大阪、名古屋で行われたこのツアーの全公演に参加した音楽評論家の増田勇一さんに、今回のツアー全体についてのレポートを寄稿いただきました。

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Photo by 岸田哲平

2020年1月30日、クイーン+アダム・ランバートのジャパン・ツアーはナゴヤドームで幕を閉じた。『THE RHAPSODY TOUR』の名のもとに実施された今回の日本公演は、さいたまスーパーアリーナでの二夜(1月25日、26日)、京セラドーム大阪(同28日)でのライヴを経ながらこの終着点に到達。4公演すべてが超満員どころか座席の数が需要に追い付かない事態となり、同時開催されていた『クイーン展』との相乗効果なども含め、改めてこのバンドに対する日本の音楽ファンの関心の高さ、この国における彼らに対する支持や共鳴の特別さといったものを印象付けることになった。

熾烈なチケット争奪戦が繰り広げられていたことを考えると、全4公演を目撃することができた筆者は、本当に幸運であり贅沢な時間を過ごさせてもらったと思っている。当サイトでは、さいたまスーパーアリーナでの初日公演が終了した時点でも速報記事を書かせていただいているが、いわゆるネタバレ要素を必要最小限に抑えた同記事では触れきれなかったことを、この場では私見丸出しで書かせていただこうと思う。

まず何よりも声を大にして言いたいのは、アダム・ランバートの素晴らしさだ。もちろん彼の敬意に満ちた歌唱と華々しさについては、2014年夏の『サマーソニック』出演時や、2016年9月の日本武道館公演の時点においても賞賛に値するものだったし、去る7月に観たロサンゼルス公演での彼のパフォーマンスも文句のつけどころのないものだった。が、今回の日本公演での彼はこれまで以上に確信に満ちているように感じられたし、その堂々たる存在感には、フレディ・マーキュリーと彼を比較するという無意味な行為をねじ伏せるだけの圧倒的な説得力があった。まるで香水かシャンパンが滴り落ちてくるかのような艶やかなその歌声はもちろんのこと、「僕はフレディを愛してる。君たちも同じだよね? 今夜は一緒にクイーンとフレディを祝福しよう!」といったシンプルでわかりやすい英語でオーディエンスを導いていく術についても、見事というしかなかった。

 

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Tokyo night 1 @officialqueenmusic @rogertaylorofficial @brianmayforreal #queen+adamlambert

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演奏曲目については「I Was Born To Love You」のポジションに変更があった程度で、全公演を通じて大きな違いはなかったものの、同楽曲や「Teo Torriatte (Let Us Clinghether) /手をとりあって」といった日本ならではの選曲がみられたことの意味は大きい。ただ、マスト・チューンの多いクイーンのショウにおいては、新たに何かが加われば、他の何かが失われることにならざるを得ない。たとえば「Fat Bottomed Girls」などが選から漏れたことはやや意外かつ残念ではあったが、これもまた仕方のないところだろう。また、「Seven Seas of Rhye」や「Keep Yourself Alive」、「Killer Queen」などがワン・コーラスのみで終わり、ほとんどメドレーの一部のように扱われていたことについてはいくぶん物足りなさをおぼえもしたが、あの畳み掛けるような展開のスピード感には、それを差し引いても余りあるスリリングさがあった。

また、選曲面で細かいことを言うと、オープニングSEに「Innuendo」のイントロ、「Who Wants to Live Forever」の導入部分に「You Take My Breath Away」の冒頭のコーラスが配置されていた点などにも興味深いものがあったし、暗転する以前に会場内に流れていたオーケストラの音合わせのような音像の正体は、『Made In Heaven』の13曲目に20分以上にわたり収められている隠しトラックであるはず。そうした細部に至るまで、さまざまな時代のクイーンの音楽が密度濃く編み込まれた構成になっていたのだ。

Untitled (Remastered 2011)

 

映像や照明をふんだんに用いながらの、各曲に伴う演出も見事だった。特に目を奪われたのは、「Who Wants to Live Forever」を歌うアダムの姿を取り巻いていた、オーロラを思わせる光の波の美しさだ。そうした要素も含め、何もかもが高品質でゴージャスでありながら、決して過剰にならないのが彼らのショウにおける演出のあり方の特徴といえるだろう。誤解を恐れずにいえば、逆に過剰さこそを自らの特色としているのが、去る12月に日本での最後のツアーを実施したKISSだといえるし、その差異は両者がショウのクライマックスで使用する紙吹雪の量にも見てとれる。KISSの場合はそれがあまりに多量すぎるために視界が遮られてしまうくらいのところがあるが、クイーン+アダム・ランバートの場合はあくまで適量で、ステージ正面の一帯にしか舞い散らない。どちらが良いとか悪いとかではなく、自分たちの音楽やバンド像に似つかわしいプレゼンテーションの度合いを両者が熟知しているということだ。

ただ、演出面で少しだけ残念だったのは、ステージ背景のスクリーンを用いた演出などについては、ステージの両サイド側の席からはその全貌が把握しにくかったこと。それは単純に、昨年の北米などでは2万人規模のアリーナで展開されてきたこのツアーが、ここ日本ではそれを超えるスタジアム規模で実施されたことにより生じた誤算だと見るべきだろう。メンバーや関係者たちも、まさか「Love of My Life」の終盤にステージ上部のスクリーンにフレディが登場していることが、ステージ下手側真横の席の人たちの目に届いていなかったとは気付かずにいたことだろう。

スクリーンに映し出された映像自体にも興味深いものが多々あったが、ことに象徴的だったのは「In the Lap of the Gods… Revisited」の際に粉々に朽ち果てて瓦礫のようになった神殿が、時間を隔て、「The Show Must Go On」の際には見事に蘇生し、あのメンバーたちの星座があしらわれたお馴染みのクレストがいっそうの輝きを伴いながら映し出されたことだ。それ自体が、クイーンとその音楽が不滅であること、一度壊れたはずのものが新たな生命を授かるという奇跡が起こり得るのだということを、無言のうちに語っていた。そして、そうした象徴的な演出が、並大抵ではない生命力を持った楽曲たちをさらに輝かせていたように思う。

ロジャー・テイラーについても、触れておくべきだろう。序盤のメンバー紹介の際、彼はどの夜もスクリーンに自身の顔が大写しになる瞬間にサングラスを外してみせ、そのたびに黄色い歓声を集めていた。ブライアン博士が英国的なコメディのセンスにも磨きをかけながら言葉で笑わせてくれるとのは逆に、彼は「Hello!」の一言や、小さな笑みひとつで観衆の目と耳を惹きつけてしまう。そうした対比にもバランスの面白さを感じたし、もちろんプレイ面においても、「Under Pressure」の導入部分でのプレイや同楽曲でのアダムとの歌唱には、思わず勝手に声が出てしまいそうになるほどのクールさがあった。

加えて、3人のサポート・ミュージシャンたちの堅実で過不足のない演奏ぶりというのも、現在のこのバンドのライヴにおいてとても重要なものだといえる。クイーン+アダム・ランバートのライヴが、曲を途切れさせたり必要以上に長い無音状態を設けたりすることなくテンポよく進んでいくのは、ロジャー以外にもパーカッション奏者が存在するからでもあるし、「ステージ中央でマイクスタンドを使っていたフレディが、次の曲を始めるためにピアノの位置に戻る」といったシーンがないからでもある。しかも彼らは、メンバー紹介の際の短いソロ・プレイからも明らかであるように、それぞれが凄腕でありながら、楽曲のなかではそれを表に出そうとはしない。そうした謙虚さが、このバンドのライヴを支えていることも忘れてはならないだろう。余談ながら、名古屋公演の際、いつものようにブライアンから名を呼ばれたスパイク・エドニーが「Death on Two Legs」のイントロを弾き始めた時には、思わず「そのまま、その曲を始めてくれ!」と言いそうになったことも付け加えておきたい。

Death On Two Legs (Live, European Tour / 1979)

 

もちろん、突っ込みどころもないわけではない。ことにブライアン・メイのギター・ソロについては、隕石の上に立って弾くという図を思い立った経緯を聞いてみたかったところだし、「Bohemian Rhapsody」のギター・ソロの際に彼自身がサイボーグ化する理由、そのサイボーグの仮面が大阪と名古屋の公演時には狐の面に変わっていたことについても説明を求めたかった。結果、今回の滞日中には音楽誌やWEBに向けてのプレス対応が皆無だったため、残念ながら本人の口からそうした話を聞くことはできなかったが、いつかさまざまな謎解きをしてくれる機会を得られたら、と僕自身も願っている。また、公演を重ねるごとに「イラッシャイマセ!」「オオキニ!」などと日本語のレパートリーを増やしていった彼ならば、いつか日本語でインタビューできる日も訪れるかもしれない(もちろんそこまでは期待していないが)。

ところで、ブライアンがアダムを紹介する際に“gift from god(神からの贈りもの)”という言葉を使っていた事実については前回の記事でも触れたが、そのなかで僕は「クイーンはアダムにチャンスをもたらし、アダムはこのバンドに新たな可能性をもたらした」と書いている。そして、その後の時間経過のなかで改めて痛感させられたのは、アダム自身が天賦の才の持ち主でもあるという事実だ。神から与えられし才能を自らの努力によって広げた彼は、まさしく運命的な出会いによってクイーンに引き合わされ、彼自身にとっても思い入れ深い存在であるこのバンドに、“なかったはずの、物語の続き”をもたらしたのだ。その新たな物語の一部をこうしてリアルタイムで味わうことができた幸運は、70年代、80年代のクイーンを原体験できたことに勝るとも劣らないものだと思わずにいられない。

Adam Lambert Sings Queen Bohemian Rhapsody In First Audition On American Idol | Idols Global
([上]アダム・ランバートがデビューへの道の第一歩となったオーディション番組「アメリカン・アイドル」初出演時の映像)

前述の通り、四夜を通じてショウの内容には大きな違いはなかった。が、繰り返し観ても興奮や感激が薄れることはなかったし、むしろ可能な限り体験の機会を重ねたいと感じさせられた。そして今は、この物語が少しでも長く続いていくことを心から願っている。なにしろクイーンとその音楽の素晴らしさを次の時代へと伝えてくれる人たちがどれほどたくさん存在しているかについては、すでに今回の四夜を通じて確証を得られているのだから。

Written By 増田勇一


“日本のファン投票によって選曲されたベスト盤”
クイーン『グレイテスト・ヒッツ・イン・ジャパン』

2020年1月15日発売
SHM-CD+DVD / SHM-CD
配信まとめリンク
https://umj.lnk.to/queen_best




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