クラシック・ピアノ独奏曲トップ10:バッハ、ベートーヴェン、ショパンなど最高のピアノ独奏曲10選

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World-renowned pianist Mitsuko Uchida Photo: Decca/Ben Ealovega

ピアノのレパートリーは、あらゆる楽器の中でも膨大なのものだ。今回、何百万もの作品から、バッハ、ベートーヴェン、ショパン、ドビュッシーの作品を中心とした最高のピアノ独奏曲をセレクト。
クラシック・ピアノ独奏曲トップ10のセレクションをご覧いただきたい。

ピアノのレパートリーは、その規模と範囲が無限に感じられることがよくある。
ベートーヴェンとシューベルトの最も偉大なソナタから20世紀の最高の作曲家に至る革新の成果、ショパン、リスト、ラフマニノフ、スクリャービンといったコンポーザー・ピアニストの世界…可能性は無限に感じられる。このセレクションは最も美しいピアノ曲を探索する際のガイドのスタートとして扱っていただきたい。

ピアノ独奏曲ベスト―クラシック トップ10

1: Beethoven: Sonata Op.106 in B flat major, ‘Hammerklavier’
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第29番 変ロ長調 作品106《ハンマークラヴィーア》

この作品106は、ベートーヴェンの32のピアノ・ソナタの中で最も規模が大きく密度の高いもので、最後に聳える3つのピアノ・ソナタ(おそらくアルプス山脈のオーバーランド三山のアイガー、メンヒ、そしてユングフラウのような)に至る直前に書かれたものだ。約18分におよぶ緩徐楽章(テンポにもよる)で、ピアノと演奏者の両方の能力を限界まで押し上げる。

ラフマニノフはより速く指を動かすことを、そしてリストはより明確にテクニックを要求するかもしれないが、ベートーヴェンは何よりもまず、根気から対位法の理解(最後のフーガはおそらくバッハすら目を回すかもしれない)といった全ての面で脳への挑戦を行い、また当時の楽器に、長く静かなラインを保つことを課している。

2:Bach: Goldberg Variations
バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV988

ヨハン・セバスティアン・バッハによるこの1741年の傑作は、2段鍵盤のチェンバロのために作曲されたが、多くのピアニストたちのレパートリーとして非常に重要なものとなっている。実際、その最も優れた演奏のほとんどは、現代のグランドピアノで演奏された。

アリアと30の変奏曲から成るこの作品の創作背景として、次のようなことが知られている。
不眠症に悩むヘルマン・カール・フォン・カイザーリンクのために非常に優れた宮廷鍵盤楽器奏者のヨハン・ゴットリーブ・ゴルトベルクが演奏するために書かれたということだ。ただし真偽は定かではない。

注目すべき特徴の1つはこの楽曲の構造。3曲ごとにカノンの変奏がくるように配置されており、声部間の音程間隔が、最初の第3変奏では1度(同じ音)、続く第6変奏のカノンでは2度、第9変奏では3度…と、音程のずれが順次上行するように配列されている。

それぞれのカノンの後の変奏曲には、バロック・ダンス、フゲッタ、アリアなどのジャンルが取り入れられ、その後に「アラベスク」が続く。最後の変奏曲は、当時人気のあった2曲の流行歌を組み合わせた楽曲である「クォドリベット」で、最後には最初のアリアが戻ってくる。

3:Beethoven: Diabelli Variations
ベートーヴェン:ディアベリ変奏曲 作品120

ベートーヴェンは、珍しい音楽的なユーモアを交えながら、作曲家のアントニオ・ディアベリによる小さく軽やかなワルツをあらゆる形に変容させた。

1819年から23年の間に作曲されたこの最高のピアノ独奏曲は、新鮮で驚くべきサウンドに満ちている。ベートーヴェンの初期の伝記作家、アントン・シンドラーによると、これを書いている時のベートーヴェンは「バラ色の気分」のようで、「珍しく楽しそうだった」と書かれている。

第22変奏は、モーツァルトのオペラ《ドン・ジョヴァンニ》からの引用で始まる。第32変奏の駆け巡るようなフーガを終えた後、最後の第33変奏は風格のあるメヌエットに落ち着き、あらゆる意味で優雅な状態で全曲を閉じていく。

4:Chopin: Sonata No.2 in B flat minor
ショパン:ピアノ・ソナタ 第2番 変ロ短調 作品35

ショパンにはダークサイドがある。静かで夢見がちな、天使のようなイメージとは違い、ショパンが想像力を完全に解き放った時は、恐ろしい悪魔のような力を持った音楽を生み出すことができた。

彼が1839年から書き始めたピアノ・ソナタ第2番は、おそらく彼の大作の中でも最も独創的なもので、当時の批評家たちを驚かせた。

主題の素材が断片化され、熱狂的に駆り立てられる2つの楽章の後に、有名な葬送行進曲が続きます。この楽章はもともとこのソナタを書く約2年前に書かれていたものだった。

フィナーレは、ピアニストの両手が鍵盤の上をユニゾンの音型で一気に駆け抜けていくというもので、アントン・ルビンシュタインは、かつて「教会の墓地を覆う夜の風」を連想させると語っている。

5:Schumann: Fantasie in C, Op.17
シューマン:幻想曲 ハ長調 作品17

シューマンのピアノ曲の大部分は作曲家としてのキャリアの初期に書かれており、その多くは彼が熱烈に想いを寄せ、後に結婚することになる若いピアニスト、クララ・ヴィークのためのものだった。
彼女の父親によって会うことを禁じられた2人は、音楽を介して言葉を交わし、シューマンはしばしば音楽的な暗号を込めてクララに音楽を送った。

《幻想曲ハ長調》では、ベートーヴェンの連作歌曲《遥かなる恋人に》からの引用がある。しかし、このことを除いても、《幻想曲ハ長調》は最高のピアノ独奏曲の傑作だ。

第1楽章は事実上、意識の流れの中で展開し、無数の心と心の状態を駆け巡る。
第2楽章は、かなり高い精度でピアニストの手がキーボードを飛び跳ねるコーダをもった凱旋行進曲だ。
フィナーレは、ピアノ曲に限定すれば、おそらくこの作曲家にとって最も美しい愛の歌といえるだろう。

6:Beethoven: Piano Sonata No.21 in C, Op.53, ‘Waldstein’
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第21番 ハ長調 作品53《ワルトシュタイン》

またしてもベートーヴェンだ。残りの31のソナタのほとんどすべてがこの項目に値する作品といえるが、《ワルトシュタイン》はおそらくベートーヴェンの偉大な「中期」におけるソナタの探求が集約されたものだ。

例えばオーケストラを想定した構成、魅力的で活気に満ちた、推進力、そして地平線の彼方へと飛び立とうとするビジョン。

第1楽章は純粋なエネルギーであり、静かな和音の反復を吹き抜けて爆発する。緩徐楽章はない。代わりに、フィナーレへの静かな導入部があり、それに続くフィナーレは、シンプルでありながら忘れられない旋律と、見せ場があり、緊張とそれを克服する自信が入り交じっていて驚かされる。

7:Schubert: Sonata in A major, D959
シューベルト:ピアノ・ソナタ 第20番 イ長調 D959

シューベルトのピアノ・ソナタは、非常に個人的な音楽の宝庫だ。
最後から2番目のピアノ・ソナタであるD959は、1828年の春に書かれたもの。この曲とセットで書かれた第19番ハ短調(D958)と第21番変ロ長調(D960)もここで挙げられるべき作品だが、この第20番は、緩徐楽章が際立っている。

シューベルトが奈落の底を凝視しているように見える、混沌とした、即興的なパッセージが挿入される瞑想的な舟歌だ。しかし、この終末論的なビジョンは、眩い輝きを放つ輝くスケルツォと、長く紡がれた旋律の寛大な流れが私たちを混沌とは対局の世界へと運ぶ、フィナーレのロンドによってすぐに打ち消される。

8:Brahms: 6 Klavierstücke Op. 118
ブラームス:6つのピアノ小品 作品118

ブラームスの後期のピアノ小品集は、すべてが精巧に作られているため、1つを選ぶのは難しい。
ブラームスは、クララ・シューマンを念頭に、晩年、間奏曲やラプソディ、シンプルなピアノ小品集などの小規模な作品に目を向けた。彼女は加齢と共に関節炎に悩まされ、超絶技巧とスタミナを要求する作品を演奏することができなくなっていた。

ブラームス(20歳のときの最初の出会いから彼女の近くにいた)は、彼女のために彼の最も親密で思慮深い音楽をいくつか書いた。作品118(1893)には、よく知られている間奏曲イ長調(第2曲)や、哀れみ深いホ短調の終曲など、対照的なキャラクターの曲が6つ収められている。

9:Debussy: Preludes, Books 1 & 2
ドビュッシー:前奏曲集 第1巻&第2巻

この曲集は、私たちが選んだピアノ独奏曲ベスト10の中で、最も繊細で穏やかな作品かもしれない。

ドビュッシーの前奏曲は、1909年から1913年の間に作曲された各12曲の全2巻に、風、霧、雪といった自然の力に吟遊詩人、カプリ島のワインのボトルまで、さまざまなインスピレーションを取り入れた示唆的なタイトルが続いている。

さらにはボードレールとバーンズの詩、チャールズ・ディケンズの長編小説『ピクウィック・クラブ』まで。ドビュッシーは完璧主義者で、どの作品にも過剰なメモは残していない。雰囲気の創造が絶対的に最優先であり、想像力の範囲は無制限に見え、ユーモアと優しさに満ちている。

10:Chopin: Polonaise-Fantaisie, Op. 61
ショパン:ポロネーズ 第7番 変イ長調 作品61《幻想》

ショパンの《幻想》ポロネーズ(1846年に出版)は、彼の作品において唯一無二の存在であり続けている。

母国ポーランドの音楽に対するショパンの情熱と革新的な構造への傾倒を組み合わせたこの作品は、集中力の高い瞑想的な作品であり、重要な作品と言える。

即興的な序奏の後にポロネーズの主題が続き、驚くほど次々と転調が行われ、魅惑的な中間部へと進んでいく。
そしてポロネーズが回帰し、クライマックスに達すると身震いするようなトリルで終わりを迎える。

Written By uDiscover Team



 

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