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【動画&解説付き】日本が舞台/日本で撮影された洋楽MVベスト30
日本で撮影されたり、日本が舞台となった海外アーティストによるミュージック・ビデオの中からベスト30をセレクト。それぞれ楽曲が発売された順に、曲と動画の解説とともにご紹介します(再生リストはこちら)。
このMVが抜けているという方は、是非記事下部のコメントにてお知らせください。
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1. クイーン「Teo Torriatte (Let Us Cling Together)」(1977年)
1971年結成の英バンド。初来日時に受けた歓迎への感謝を込めた楽曲で、サビに日本語詞を持つ。YouTubeに公開されている映像内には1975年、羽田空港に降り立つクイーンを迎えるため押し掛ける少女たちの姿や、東京タワーの下での茶事の様子など、初々しいメンバーの姿を見つけられる。
2. ザ・ポリス「So Lonely」(1978年)
1977年結成の英バンド。MV冒頭に映る週刊文春の中吊り広告は1980年の事件を報じたもので、同年に楽曲がSGカットされた際、都営浅草線の電車内や駅構内(三田~高輪台あたり)でゲリラ撮影されたらしく、やや肩身が狭そうなメンバーの表情が面白い。屋外の風景は香港のものなので、ちょっと違和感がある。
3. インエクセス「Original Sin」(1983年)
1977年結成の豪バンド。MVの撮影場所は晴海埠頭とされており、バイクに乗ったメンバーをデコトラが追いかける。デコトラと周回するバイク、並ぶ屋台を背景にしたバンドの演奏シーンが見どころ。なお「I Send a Message」のMVも東京・護国寺で撮影。色っぽいシーンや本堂内での演奏シーンがある。
4. ボブ・ディラン「Tight Connection to My Heart (Has Anybody Seen My Love)」(1985年)
1941年生まれの米SSW。映画の台詞からの引用が多い歌詞ゆえか、ストーリー仕立てのMVはホテルでくつろいでいたボブ・ディランが日本の警察に取り調べを受けたり、ストリップ小屋や竹の子族、巨大ホテル前の水槽のようなプールで泳ぐ人の姿が映ったりとトレンディドラマな雰囲気。倍賞美津子も出演している。
5. マニック・ストリート・プリーチャーズ「Motorcycle Emptiness」(1992年)
1986年結成の英バンド。楽曲には体制への批判や皮肉が込められている。MVはプロモーション訪日の際に撮影されたといい、雨の渋谷センター街、スーツの男女が早足に行き過ぎる通勤ラッシュ、東京タワーを望む公園、移転前のコスモクロック21などが映し出され、メンバーが物珍しげに街並みを眺めている。
6. ビースティ・ボーイズ「Intergalactic」(1998年)
1978年結成の米ヒップホップ・グループ。MVは日本の怪獣SF映画のパロディ作品で、主に渋谷駅・新宿駅の構内を舞台とし、道路建設作業員に扮したメンバーが巨大ロボットの胸から降ろされて新宿通りを駆け抜ける。撮影時には都庁前で警備員に見つかり、死に物狂いで逃げたという。
7. ゼブラヘッド「Into You」(2003年)
1996年結成の米バンド。抑圧からの解放を歌う楽曲で、MVでは東京・新木場STUDIO COASTでのライブシーンを中心にツアーの模様を映す。合間には大阪観光の様子が挿入され、くいだおれ太郎をつついてみたり、たこ焼きを齧ったり、道頓堀橋の上でふざけ合ったりと、ホームビデオ的な雰囲気。
8. ペット・ショップ・ボーイズ「Flamboyant」(2003年)
1981年結成のシンセポップ・デュオ。歌詞はセレブへの皮肉が含まれ、MVでは終始「私はそれ 愛情のある」「私はペットショップの男の子を愛す」など怪しい日本語が飛び交う。作品内には『欽ちゃん&香取慎吾の全日本仮装大賞』の録画映像が使われており、日本のファンを驚かせた。
9. マドンナ「Jump」(2006年)
1958年生まれの米SSW。“新たな挑戦へ飛び込んでいく”楽曲で、MVは東京や横浜で撮影されており、パルクーラーが信号機によじ登ったり、金嶋観光クループの看板を背景に跳んだり、横浜・成田山横浜別院や渋谷、新宿・歌舞伎町周辺を華麗に駆け抜けたりする。マドンナ本人は飲み屋街をイメージしたセットで歌う。
10. ザ・キラーズ「Read My Mind」(2007年)
2001年結成の米バンド。楽曲は鬱屈としているが、MVは自転車で走り回ったり、偽エルヴィスと絡んだり、芸者体験をしたり、ガチャピンが登場したりと観光感がある。映像は全編東京で撮影されており、渋谷のミナミ建設、居酒屋つぼ八、銀杏岡八幡神社などランドマーク的な看板が映り込むため“聖地巡り”がしやすい。
11. バックストリート・ボーイズ「Bigger」(2009年)
1993年結成の米バンド。“君”にふさわしい相手になるため頑張ろうとする男の歌で、MVには秋葉原のメイド喫茶・ぽぽぷれ(※現在は閉店)が印象的に登場する。メンバーは雨上がりの新宿の夜景、カラオケ、浅草寺、秋葉原、ゲームセンターなど“2009年の東京”を存分に堪能しつつ現地民との交流を楽しむ。
12. ピーター・ビヨーン・アンド・ジョン「Nothing To Worry About」(2009年)
1999年頃から活動するスウェーデンのバンド。MVには豪快なリーゼントヘアでキメたツッパリ集団が登場したかと思いきや、次のシーンでは半裸の青年が狭い自室で懸命にヘアセットに勤しむなど、どこか情けない雰囲気。屋外シーンは代々木公園で撮影、2016年のオリンピック誘致を目指す横断幕が時代を象徴する。
13. アッシュ「Kamakura」(2010年)
1992年結成の英バンド。その名も“鎌倉”な本作は、アルファベットを1文字ずつモチーフにした連作SGをまとめたALの日本盤ボーナス曲だ。MVは大谷ノブ彦(ダイノジ)が監督、鎌倉大仏の逃避行を描く。映像内には吉本芸人も多数出演しており、大仏がアニメキャラに囲まれながらエアギターを披露する。
14. アトレイユ「Lonely」(2010年)
1998年結成の米メタルコアバンド。渋谷センター街や浅草・仲見世通り、西村フルーツパーラーの看板、大阪・道頓堀からの眺め、山手線の乗客の姿が日本を象徴する風景として映り、メンバーは太鼓の達人にクレーンゲーム、回転寿司やお好み焼きなどを楽しむ。撮影中には火事現場にも遭遇した模様。
15. マナフェスト「No Plan B」(2010年)
1979年生まれのカナダのミュージシャンで、楽曲はCrossfaithのKenta Koieとのコラボ作。マナフェストはプロ・スケートボーダーを目指していた過去があり、MVではシャッターが下りた仲見世通りや渋谷の街並みの中で華麗なスケートの腕前を披露する。ちなみに冒頭に映る橋は厩橋、渡っているのは駒形橋。
16. ブラック・アイド・ピーズ「Just Can’t Get Enough」(2011年)
1995年より活動する米ヒップホップ・グループ。MVは東日本大震災の発生1週間前、東京にてゲリラ的に撮影されたもので、冒頭には日本へ向けた愛のメッセージが綴られている。映像に記録されているのはタクシーの車内やホテル高層階から眺める東京の煌びやかな夜景で、季節柄もあってかどこか寂しい空気を持つ。
17. カイザー・チーフス「Man on Mars」(2011年)
1997年より活動する英バンド。MV撮影の際にはファンをオーディションで募集した。本編では主演に選ばれた男性がフジロックへ向かうドラマや、バンドのフジロック2011での演奏の模様、メンバーが日本を楽しむ様子が描かれる。なお、MV音源にはJR東日本の発車メロディ「せせらぎ」が混ぜこまれている。
18. ウィル・アイ・アム「#thatPOWER ft. Justin Bieber」(2013年)
1975年生まれの米ラッパー。MVでは近未来的な光景の中に見慣れた「徐行」の交通標識が入ることで撮影地が日本とわかり、次いで東京ビッグサイト、東京国際フォーラム、東急プラザ表参道原宿入口など日本人にとっても非現実的な風景が映る。居酒屋街の看板でジャスティン・ビーバーが歌うシーンも。
19. ミューズ「Panic Station」(2013年)
1990年代から活動する英バンド。MV公開前には来日公演が行われ、テレビにも出演した。MVは渋谷センター街や新宿歌舞伎町などで撮影され、ド派手な格好のメンバーが歓楽街を練り歩く。冒頭の「ロボットレストラン オープン!!」の広告トラックが目を引き、同レストラン(※現在は閉店)での演奏シーンに繋がる。
20. クリーン・バンディット「Rather Be ft. Jess Glynne」(2014年)
2009年結成の英エレクトロニック・グループ。MVは東京の築地市場等で撮影されたもので、安部春香演じるグループのファンの女性が日常と幻覚の狭間に迷い込むホラーチックな作品で、オチも衝撃的。メンバーは日本での制作を楽しんでいたが、電車内での撮影は叱られてしまったそう。
21. チャーリー・XCX「Boom Clap (Tokyo Ver.)」(2014年)
1992年生まれの英SSW。楽曲は米映画『きっと、星のせいじゃない。』の挿入歌。渋谷スクランブル交差点から歩き出すMVでは「月桂冠」の看板があがる下町や、トンネル下の駐輪場、アパレル店などの東京の風景の中をチャーリーが歌いながら歩いて行く。
22. アヴリル・ラヴィーン「Hello Kitty」(2014年)
1984年生まれの米SSW。「みんな最高 ありがと カワイイ!」と始まる楽曲ではハローキティをモチーフに奔放な夜を歌う。MVでは日本の「カワイイ文化」をリスペクト。4人のダンサーを引き連れてファンシーな衣装で原宿・CANDY A☆GO☆GO!や渋谷タワレコ、寿司屋などを巡り、日本文化への愛を表す。
23. ジョナス・ブルー「We Could Go Back ft. Moelogo」(2017年)
1989年生まれの英音楽プロデューサー。モロッゴをフィーチャーした本作では「もし戻れるなら……」という恋愛への後悔を歌う。MVにはモデル・河内セリアが出演。東京駅前の広場や新宿の目、新宿ヨドバシカメラ前の交差点でAOI YAMADAらダンサーたちが躍動する。
24. テイラー・スウィフト「End Game ft. Ed Sheeran, Future」(2017年)
1989年生まれの米SSW。今作ではエド・シーランとフューチャーを迎え、ビッグカップルの恋愛模様を歌う。MVは東京、マイアミ、ロンドンを移動し、東京ではエドとテイラーがナイトクラブでパーティーする。夜景の中を歩くシーンでは看板の文字がテイラーの愛猫の名前や歌詞にちなんだものとなっている。
25. ファイヴ・セカンズ・オブ・サマー「Youngblood」(2018年)
2011年結成の豪バンド。MVは人生の最期に向かう老夫婦が「60年間ありがとう」と語り合って不思議な薬を飲み、ツッパっていた若かりし日々を追体験するという内容。映像は東京で撮影されたもので、ライダースにリーゼントな古式ゆかしい80年代ヤンキーの姿と、見慣れた2010年代後半の背景のギャップが面白い。
26. ティナーシェ「Save Room For Us」(2020年)
1993年生まれの米歌手。MV冒頭には東雲JCTの道路標識が映り、ティナーシェは漫画『ドラゴンボール』の1コマを切り抜いたシャツ姿で東京の夜景の中に歌い踊る。ロケ地は渋谷駅前や新宿歌舞伎町の歓楽街、交差点、そして満員電車の中と、多くのミュージシャンが“日本的”だと感じる場所になっている。
27. ケシ「UNDERSTAND」(2022年)
1994年生まれの米SSW。運命の人への愛の告白を歌う、自身の婚約者に捧げられた作品。MVは物干し竿にかかった洗濯物に扇風機、揺れるブランコや水槽の金魚、ふたりの歯ブラシ、砂浜についた手形、大通り沿いに並ぶ大型店舗(ロケ地は厚木)など、郊外でのささやかな団地暮らしを思わせる仕上がりとなっている。
28. ヤングブラッド「Happier (feat. Oli Sykes Of Bring Me The Horizon)」(2023年)
1997年生まれの英SSW。2024年、アニメ『怪獣8号』のOPを担当した。オリ・サイクスをフィーチャーした本作ではタイトルを日本語で表示。MVは東京を舞台とし、交差点で歌う定番シーンの他、格闘ゲームやカラオケの歌詞表示、プリクラを思わせるカットなど“日本の(平成初期的な)若者文化”に注目している。
29. ホリー・ハンバーストーン「Elvis Impersonators」(2023年)
1999年生まれの英SSW。同曲はデビューALに収録された透明かつ退廃的な空気感のラブソングで、歌詞の中にも“東京は夜の2時”とあり、東京・新宿あたりの大通りや居酒屋が並ぶ裏通りの景色と歌詞の世界がリンクする。一方“公園で餃子を食べる”といった詞には文化の違いを感じたり。
30. ワンリパブリック「Nobody」(2024年)
2008年結成の米バンド。同曲はアニメ『怪獣8号』のEDとしてリリースされた。MVはバンドがカラオケボックスのような場所で演奏する様子に、渋谷スクランブル交差点や大通りなどを俯瞰した映像が挟みこまれる。めまぐるしく動く人々はジオラマの中を歩くミニチュア人形のようだ。
Written By 安藤さやか
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