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U2がApple Musicに語った“スフィア”体験とバンドの未来、そして新曲について

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photo courtesy of Apple Music

U2が、2023年9月29日、ラスベガスのザ・ベネチアン・リゾート内にオープンした次世代型コンサート会場、“スフィア(Sphere)”のこけら落とし公演として、約4年ぶりのコンサートを行った。このレジデンシー公演は、12月16日まで全25公演が行われる予定だ。

初日公演が終わるやいなや、その凄まじい“新体験”は、日本を含めて全世界で話題となった。このコンサートが行われる前、ボノとジ・エッジがゼイン・ロウのインタビューを応じ、その模様がApple MusicとYouTubeのApple Music公式チャンネルで映像コンテンツ『U2: New Music Daily』として公開された。前回に続くインタビュー第2弾の抜粋をご紹介。

また、同公演に合わせて公開された新曲「Atomic City」は、Apple Musicではドルビーアトモスによる空間オーディオで配信中。試聴ページはこちらから。

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Behind U2's Residency at Sphere Las Vegas | Apple Music

 

先週末、ラスベガスの“スフィア”での初ライヴを終え、2週目の週末を迎えるU2が、Apple Music 1のゼイン・ロウの番組に出演。同対談では、ボノ、ジ・エッジ、そしてグループのクリエイティブ・ディレクターであるウィリー・ウィリアムズが、世界中のネット・ニュースを席巻したその圧倒的光景、サウンド、スペクタクルの起源について語っている。

彼らはまた、同公演のために100曲もの楽曲を“準備中”であることを明かし、“いくつかの素晴らしい新曲”と共に、将来的にニュー・アルバムをリリースすることを予告している。

U2のスフィア公演は「アートに奉仕する科学プロジェクト」

ボノ:この公演は、皆さんをあらゆる時間と場所に連れて行き、あたかもそこにいるかのような気分にさせることができる。アートに奉仕する科学プロジェクトなんだ。

 

U2のファンがいかにしてスフィア公演に刺激を与えたか

ボノ:結局のところ、オーディエンスとの繋がりを作ること、それこそが全てなんだ。会場で一番悪い席が一番良い席になり得るように工夫してきた。群衆の中に飛び込んだり、スピーカーの上に登ったり、映像の初期の導入も、すべては観客との距離を縮めるための試みだった。

 

スフィアの親密さの利点と挑戦

ジ・エッジ:中に入って、実際にステージを見に行ったんだ。楽器や照明、完成した建物を見た時は、正直言って、とても感動した。なぜなら、その時初めて実感が湧いてきたんだ。実際に“この客席のひとつひとつに人がいるんだ” と想像してみると、その距離は信じられないほど親密だった。それがとても素晴らしいんだ。18,000人もの観客がいるのに、全員がステージを完璧に見ることができる。あいにく、僕たちはこの素晴らしい会場に相応しい仕事をしなければならなかった。

 

スフィア公演のオープニングの演出について

ボノ:僕らがやりたかったのは、洞窟のような空間を作ること。すべての電気やテクノロジーを排除して、洞窟に絵を描くという、人類が最初に持っていた表現から始めたいんだ。“SFみたいな洞窟だな”と思うかもしれない。でも、それが僕らがこれからやろうとしていることなんだ。最初の瞬間に立ち戻る。もともと“Zoo TV”でやっていたように、僕は歌う。“シャン・ノース”というアイルランドのメロディーをね。“シャン・ノース”は通常、無伴奏で歌うもので、北アフリカの影響を受けたアイルランドの歌なんだ。アイルランドの音楽は、南半球とのつながりがとても強い。そして、僕は眼鏡をかけていない。ゴーグルを見つけ、それをかける。それは、人々が僕を見る目を変えるだけではなく、僕が世界を見る目を変えてくれる。その瞬間、背後でバンドが演奏する様子は、1990年のベルリン、Zoo Stationを思わせる、まさに未来そのものだ。

 

U2のクリエイティブ・ディレクター、ウィリー・ウィリアムズについて

ボノ:ウィリーは、この会場だけでなく、僕たちがこの会場でやろうとしていることも含めて、とてつもない仕事をやってのけた。彼は本当に献身的なんだ。中途半端なことはしない。そして、この会場のこけら落とし公演をできるのは本当に光栄なことだし、ある意味、貢献できたと思う。

 

未来的なスフィアの球体投影について

ボノ:これは1と0だ(バイナリーコード*編註:コンピューターに処理を依頼する命令を、2進数で表したコードのこと)。写真でも映画でもなく、ゲームエンジンを起源としている。そして、ゲームエンジンはかつてないネクスト・レベルに到達しているんだ。

 

新曲「Atomic City」には参加しながらも、スフィア公演には参加が叶わなかったドラマーのラリー・マレン・ジュニアについて

ボノ:彼にとって本当に油断ならない時期だった。サウンド・シティで(新曲を)レコーディングする前夜に、彼はスタジオ入りしていた。あのスタジオにはいろんなエピソードがある。ジ・エッジに集まって欲しいと言われたんだ。ラリーは自分の状態を確かめるために前日の夜に来ていた。1時間弾けるかどうか、15分弾けるのかさえわからなかった。でも彼は嵐のように演奏し始めたんだ。

ジ・エッジ:ジョンは(彼のテック)彼がスタジオの音をとても気に入ったんだと言っていて、結局3時間くらい演奏していたよ。

ボノ:そこは僕らにとっては最適の場所だった。でも、それがラリーにダメージを与えた。ビデオの撮影中も、彼は痛そうにしていた。でも、彼はきっと回復するだろう。ラリーがここにいて、ブラムが代役を務めているのを見るのは、胸が張り裂けるような思いだ。ところで、ブラムはスーパースターだ。彼はラリーのファンであり、ラリーの教え子でもある。そして今、彼はラリーの代わりにここで演奏している。それは彼にとって怪我と同じくらい痛いはずだ。でも、彼はこの曲ですべてを出し切った。ドラマーは生まれるものであって、作られるものではない。彼らにしかわからない言語がある。彼らは別格なんだ。そして僕らは無力だ。それこそがこのバンドのロックンロールの源なんだ。

 

U2の今後について

ジ・エッジ:新しい音楽、新しい曲だね。準備できている曲はたくさんあるし、少しやり直しが必要な曲もあるけど、すぐに準備できる。素晴らしい新曲がいくつかあるんだ。本当にワクワクするよ。

ボノ:ジ・エッジは100曲くらい持っている。僕は20曲くらい。アダムも何曲かで貢献してくれるはずだ。ラリーは集まった曲を聴きながら、「ああ、ダメだ。それはクソだ。これもクソだ。ここにクソじゃないものはないのか?」って感じだろう。そしてそこから僕らは10曲を見つける。それで十分なんだ。

ジ・エッジ:それで十分だね。

ボノ:10曲。それがバンドの存在意義だ。そうでないなら、U2は消えればいい。どこかの島で暮らすか、世界のどこかで厄介者になればいいんだ。自分たちが役に立つ世界のどこかでね。どちらでも構わない。でも、もし僕らがバンドを続けたいのなら、それはただひとつことだ。それは歌詞であり、曲であり、パフォーマンス。自分たちを信じるかどうかということ。僕たちのバンドには並外れた音楽の天才がいる。彼が作っている音楽を言葉にするために、僕たちは、僕は努力する。彼と一緒に作るんだ。とにかく今はラスベガス(公演)をやり切るつもりだよ。

 

U2の未来への闘いについて

ボノ:闘いは僕らの未来のためだ。愛 対 運だね。でも、それこそが僕らのバンドの基盤なんだ。友情だけじゃない。僕らがビートルズのように“愛”という言葉を使いすぎると、“おい、引っ込んでろ”って感じになるだろう。意味を持たない限り、“愛”とはいい加減な言葉なんだ。バンドの中で意味を持たなければ、バンドの外でも意味を持つことはない。だから今という時代に、愛を失った人たちは、消え去るべきなんだ、僕も含めてね。わかる?そういうものだろう。もし音楽に恋していないなら、ただ生計を立てる術でしかないのなら、音楽を愛していないのなら、もう消えてしまえってことさ。

ジ・エッジ:僕たちが忘れていないのは、このステージに立って、この観客の前で自分たちの曲を演奏するということが、どんなに名誉なことであるかということ。僕たちはそれをとても重く受け止めている。失敗したくない。そのチャンスを無駄にしたくないんだ。


U2「Atomic City」
2023年9月29日配信
Apple Music



 

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