カニエ・ウェスト『The College Dropout』解説:ヒップホップ史上最も驚くべきデビューアルバムの1枚

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2004年に発売されたカニエ・ウェスト(Kanye West)のアルバム『The College Dropout』は、ヒップホップの歴史の中で最も驚くべきデビュー・アルバムの一つだ。多面的で個性的、そしてチャートを制覇するのに十分なポップなセンスが詰め込まれたこのアルバムは、彼に批評家からの絶賛と商業的な大成功をもたらした。

しかし、その成功は一夜にして起きたことではない。ジェイ・Zから新進気鋭のプロデューサーとしてスカウトされたカニエ・ウエストは、2001年にジェイ・Zの名作アルバム『The Blueprint』で4曲の画期的な楽曲を発表したが、その後、彼自身がアーティストとして受け入れられるようになるまでの数年間はフラストレーションが溜まっていた。

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00年代初頭、ヒップホップはまだギャングスタ・ラップの影響を受けており、ヒップホップ界で最もホットなプロデューサーの一人として急成長を遂げたカニエ・ウェストの評判にもかかわらず、中流階級出身でアートスクールの落ちこぼれである彼にチャンスを与えようとするレーベルのボスはほとんどいなかった。結局、この若きスタープロデューサーが他のレーベルに亡命するのを避けるためにカニエと契約したのは、ジェイ・Zと並んでロカ・ア・フェラ・レコードの共同オーナーであるデイモン・ダッシュだった。

そしてビッグチャンスのために取っておいたとっておきのビートの数々を手にしたカニエは、ロサンゼルスのスタジオとニュージャージー州ニューアークにある自分のアパートの間で制作を行い、『The College Dropout』の制作に取り掛かった。

彼の豊富なアイデアとは裏腹に、このアルバムの真の焦点となったのは、死にかけた大事故だった。2002年10月のある夜遅く、カニエ・ウェストはカリフォルニアのスタジオから帰宅中に車のハンドルを握ったまま居眠りをしてしまい、交通事故を起こしてしまったのだ。再建手術を受けて粉々になったアゴを抱えたまま、彼は「Through The Wire」を書きあげ、レコーディングを行った。

人生を失いかけた後、自分自身をもっと表現したいという衝動に駆られたカニエは『The College Dropout』を、新たに得たエネルギーの導管として、また回復の痛みから解放されるための気晴らしとして制作した。その結果、創造性に満ちた作品が生まれ、リスナーに「自分で決断するんだ。社会に言わせてはいけない、『これはあなたがしなければならないことだ』」というポジティブなメッセージを与えた。

サウンド面において『The College Dropout』は、ジェイ・Zの『The Blueprint』で効果的であることが証明されたソウルミュージックのサンプリングを魅力的に使用して、驚くほどクリエイティブな作品に仕上がっている。アルバム発売前にシングルとしてリリースされたチャカ・カーンの「Through the Fire」をサンプリングした同名曲の「Through The Wire」は全米シングルチャートで15位を獲得。また、トゥイスタとのコラボ曲でルーサー・ヴァンドロスの「A House Is Not A Home」をサンプリングした「Slow Jamz」はさらに好調を博し、全米1位を獲得した。

その他のハイライトとしては、低賃金の仕事の苦労を描きゴスペルを取り入れた「Spaceship」や、カニエが独創的に構築されたマーシャル・ビートの上でキリスト教のメッセージを伝える「Jesus Walks」などが収録されている。

2004年2月10日にリリースされた『The College Dropout』は、全米アルバムチャートで2位を記録し、2005年のグラミー賞では最優秀ラップアルバムを受賞した。カニエ・ウェストは、かけられていた疑念を払拭し、ヒップホップ界で最も謎に満ちた革新的なアーティストとしてのキャリアをスタートさせたのだ。

Written By Paul Bowler



カニエ・ウェスト『The College Dropout』
2004年2月10日発売
iTunes / Apple Music / Spotify / Amazon Music




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