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テイラー・スウィフト『Taylor Swift』: 他とは違うことを証明した天才カントリー少女のデビュー作

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テイラー・スウィフトが音楽の道を進むために家族とナッシュビルに引っ越した時、彼女はまだ14歳だった。16歳になる頃には前途有望のデビュー・アルバムを発売し、スターダムを駆け上がり始めた。

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テイラー・スウィフトは音楽に夢中な10代の女の子だった。元オペラ歌手で今は亡き祖母のマージョリーの影響が大きく、ディクシー・チックスの曲を弾きながらギターを学んだ。彼女はこう語る。

「カントリー・ミュージックでは、特にパッツィー・クラインやドリー・パートンを聴いて育ちました。幼い頃から彼女たちの曲を地元のフェスティバルやバザーやカラオケ大会で歌っていたんです」

2006年10月24日に発売されたデビュー・アルバム『Taylor Swift』は、若いエネルギーに満ち溢れた彼女にしか作れない作品となっている。そんな彼女の若々しいアイデアを作り上げる手助けをしたリズ・ローズは経験豊富な作曲者で、彼女と仕事をすることを決めたテイラー・スウィフトは賢明だったと言える。11曲中7曲を2人で作曲し、その中にはファースト・ヒット・シングル「Tim McGraw」も含まれている。

Taylor Swift – Tim McGraw

当時40代前半だったリズ・ローズはカントリー・シンガー、ケイトリン・ローズの母親でもある。テイラー・スウィフトが初めて曲を書いたのは12歳の時で、その自伝的な「The Outside」はこのデビュー・アルバムに収録されている。それと比べるとリズ・ローズは遅咲きだった。ケイトリンによると、元々銀行で働いていた母親は「40歳になってから曲を書き始めて、それまで詩を書いたことなんてありませんでした。たまたま何かのきっかけで書くようになったんです」。

テイラー・スウィフトとリズ・ローズはその他にもヒット・シングル「Teardrops On My Guitar」を共作し、同級生が自分に夢中になっていることに気付いていない男の子について歌っている。自身をまるで編集者のようだと言うリズ・ローズは、作曲のプロセスについてこう語っている。

「彼女はすべての感情をこのおばさんに話してくれました‥‥それを黙って聴きながら自由に自分の曲を書いてもらいました。私はただ目的地に辿り着くための手段になればいいんだってことを彼女に教えらたんです。彼女に技術も教えることができたら良かったけど、彼女はすでに何でもわかっていた。だから彼女には、“あなたの物語を伝えるお手伝いをするわ”と伝えていました」

Taylor Swift – Teardrops On My Guitar

テイラー・スウィフトが高校生の頃に書いた楽曲は、観察力の鋭い思春期の感情が反映された小さな街に住んでいる隣の女の子という設定が実に魅力的である。チャーミングな「Our Song」を含む数曲では、活き活きとした物語が描かれており、彼女のミュージシャンとしての技量が感じられる。経験は浅いが才能あるプロデューサー、ネイサン・チャップマンは今作でギター、バンジョー、マンドリン、そしてベースを演奏している他、非常に才能溢れるミュージシャンたちを引き連れてきた。例えば「Our Song」には、4度のグラミー受賞歴を誇るアンディ・レフトウィッチがヴァイオリンで参加している。

Taylor Swift – Our Song

その他にもドブロギター奏者のブルース・ブートン(50代だった彼はナッシュビルで経験豊富なセッション・ミュージシャンとして活躍しており、ケニー・ロジャースのアルバムにギターで参加した経験を持つ)と、ジェームス・テイラーのアルバム数枚で演奏してきたギタリストのダン・ダグモアが参加している。パーカッショニストのエリック・ダーケンは、アラン・ジャクソン、バリー・マニロウ、そしてリー・アン・ウォーマックなどのベテラン奏者と仕事をしてきた。

そうして今作は素晴らしい成功を収めた。「Tim McGraw」はシングルとしてプラチナム・ディスクを獲得し、横柄な元彼について痛烈に歌い、彼女のフェミニズムの最初の前兆だったと言われている「Picture To Burn」は2007年中にトップ10入りした4作目のシングルとなった。

Taylor Swift – Picture To Burn

デビュー・アルバムが発売してから10年程の間にテイラー・スウィフトは、純真な目をしたカントリー天才少女から世界的スーパースターへと進化し、その途中で10度のグラミー賞と富を手に入れた。しかし、今でも彼女は拒食障害という秘密を持つ美少女コンテストの優勝者についての曲「Tied Together With A Smile」をはじめ、デビュー当時の作品に対して誇りを持っている。当時の彼女はこう語っていた。

「他の人が作った曲をただ歌うありきたりの女の子にはなりたくなかった。他とは違う存在でいるためには何かが必要だった。それが自分で作曲することだとわかっていたんです」

Written By Martin Chilton


テイラー・スウィフト『Taylor Swift』
2006年10月24日発売

テイラー・スウィフト『Red (Taylor’s Version) 』
2021年11月12日発売
CDデラックス盤 / CD通常盤



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