スティングのソロ・デビュー・シングル「If You Love Somebody Set Them Free」:「“Every Breath You Take”と対になる曲として書いたんです」

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「所有すること」のない人間関係について探究した、「If You Love Somebody Set Them Free」は記念すべきスティングのソロ・デビュー曲だ。


1985年の春、「If You Love Somebody, Set Them Free」をリリースしたことは、スティングのキャリアの重要な節目となった。彼がこの曲を1982年の『スティング/ブリムストン&トリークル』の映画に提供したことを考慮しなくても、この自信に満ちたソウル・ミュージック風のポップ・ソングは、彼の最初のソロ・シングル曲であり、彼がザ・ポリスの外で著しい芸術的進歩を遂げてきたことを私たちに強く印象付けた。

1985年のスティングのソロ・デビュー・アルバム『The Dream Of The Blue Turtle (ブルー・タートルの夢)』からこの曲がリード・シングルに選ばれたことは理想的な判断だった。「If You Love Somebody, Set Them Free」は評判を呼んで全英トップ30に入り、アメリカでも全米シングルチャートで最高3位を記録するなど大成功を収めた。またこのシングルは、”Tonight Show”のハウスバンドのリーダーも務めたニュー・オリーンズのサキソフォン奏者、ブランフォード・マルサリスと組んだ最初の作品だった。スティングは、その後の3枚のアルバムでもマルサリスとの共同作業を続けていく。

 

「あのときのバンドはすばらしかった」

「この曲はモータウン・サウンドの趣があって、僕もソウル・ミュージックの歌い方を試してみたんです」。1994年、インデペンデント紙の日曜版に掲載されたインタビューでスティングはこのように述べている。「あのときのバンドはすばらしかった。ケニー・カークランド(キーボード)、ブランフォード・マルサリス(サックス)、それにダリル・ジョーンズ(ベース)っていう顔触れでした。そう、ダリルは今、ローリング・ストーンズで演奏していますよね。彼は僕の最も尊敬している元バンド・メイトの一人です」

スティングも認めているように、「If You Love Somebody, Set Them Free」はジャズ界、ファンク界のスターたちと共にレコーディングされ、このことが傑作アルバム『The Dream Of The Blue Turtle』の完成とグラミー賞受賞に繋がった。しかしこの曲を書いた1985年の初頭は、スティングにとっては比較的孤独な時期だった。当時の彼はロンドン北部のハムステッドにある、18世紀にはパブだった建物に移り住んでいた。彼は建物の奇妙な雰囲気に衝撃を受け、幽霊が出るかもしれないと信じていた。

 

「視野の広い恋愛関係」

その家の「霊の気配」を解き放たなければならないという感情が、「If You Love Somebody, Set Them Free」のタイトルと歌詞に影響を与えた。”君は所有物にすがりつきたいだけだ、僕のことは考えないでくれ(You want to hold on to your possessions, don’t even think about me)”といった一節にも表れているように、同曲では縛られた関係からの解放が歌われている。

「誰かを愛して、その人を自由にするというアイデアは、特にオリジナルなものではないと思います」この曲のリリースに際したNMEのインタビューでスティングはそう述べている。「これは、もっと視野の広い恋愛関係についての曲なんです。管理できるように囲う、まるで所有の不動産市場みたいな関係じゃなくて。基本的には大抵の人間関係に当てはまることです」

「If You Love Somebody, Set Them Free」は賛歌のようなコーラスと柔軟かつタイトなグルーヴから、ライブ・パフォーマンスにぴったりな曲だといえる。だから、1985年頃スティングのセットリストに一度加えられてから、毎回必ず演奏されていることは驚くべきことではない。アレンジに関して言えば、この曲は年月を経て多くのバリエーションが生み出されてきた。最新の『My Songs』の中で、ダンスフロアに合うウキウキするようなアレンジを施されたこの曲は、単純に質の高いポップ・ソングの1つであること、流行り廃りに影響されない力を持っていることを証明した。

 

「“If You Love Somebody, Set Them Free”は“Every Breath You Take (見つめていたい)”と対になる曲として書いたんです」1995年になって、スティングはインタビューで明かした。「“Every Breath You Take”は偏執病みたいに、愛する人を異常に監視することについての曲でした。僕はそれとは正反対の曲を書きたかったんです。だけど両方とも曖昧です。なぜなら“Every Breath You Take”には、多くの人が感じたように、魅惑的でロマンチックな側面があります。僕はとても暗い曲だと思っていますけどね。“If You Love Somebody Set Them Free”を悪意に満ちた曲だと解釈する人も居るかもしれないし、それはそれで面白いと思います。それぞれが好きなように感じてくれていいんです」

Written By Tim Peacock


スティング来日公演日程
来日公演公式サイト

2019年10月7日(月) 福岡:福岡国際センター
18:00 open / 19:00 start
S ¥18,000【アリーナ席・スタンド席】
A ¥17,000【スタンド席後方数列】(座席指定/税込)
【問い合わせ先】TSUKUSU 092-771-9009

2019年10月9日(水)・10日(木) 千葉:幕張メッセ 7・8ホール
18:00 open / 19:30 start
S ¥18,000 A ¥17,000(座席指定/税込)
【問い合わせ先】ウドー音楽事務所 03-3402-5999

2019年10月12日(土) 仙台:ゼビオアリーナ仙台
17:00 open / 18:00 start
S ¥18,000 A ¥17,000(座席指定/税込)
【問い合わせ先】ニュース・プロモーション 022−266−7555(平日11:00〜18:00)

2019年10月15日(火) 丸善インテックアリーナ大阪(大阪市中央体育館)
18:00 open / 19:00 start
S ¥18,000【アリーナ席・スタンド席】
A ¥17,000【スタンド席後方数列】(座席指定/税込)
【問い合わせ先】大阪ウドー音楽事務所 06-6341-4506


スティング『マイ・ソングス – スペシャル・エディション』
2019年10月4日発売
日本盤ボーナス・トラック1曲収録(全20曲) + 2019マイ・ソングス・ツアー
スティングによる全曲解説掲載(日本語訳付)



 

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