“エンターテイメントの歴史で最も素晴らしい夜” ジュディ・ガーランド『Judy At Carnegie Hall』

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有能である真のアイコンやスターには名字が必要ないように、ジュディ・ガーランドも今でも変わらず“ジュディ”だけで通じる。

ジュディ・ガーランドの1961年4月23日のカーネギー・ホールでのパフォーマンスは伝説的なライヴのひとつであった、と評してもかなり控え目な表現になるだろう。彼女の刺激的なパフォーマンスはレコードに録音されたのではなく、焼き付けられたと言えるだろう。

ジュディ・ガーランドは40年代にMGMの子役スターとして名声を得たが、大ヒットを記録した『オズの魔法使』や他作品で受けた名声に苦しめられ、1950年にMGMスタジオとの15年間の歴史を終わらせた。ハリウッドから追放されジュディ・ガーランドは自分が一番得意とすることに力を注いだ。彼女は昔ミュージカルで歌っていた時のように再びシンガーとなった。

ボードヴィルのルーツへと戻り、ビング・クロスビーのラジオ番組に何度か出演し、ヨーロッパでのステージは完売。1951年以降、ジュディ・ガーランドの評判は、そのライヴ・パフォーマンス能力によって決定付けられた。ロンドン・パラディアムとニューヨークのパレス劇場で連続で行われたパフォーマンスで彼女は後の20世紀中のワン・ウーマン・ショーの形式に大変革をもたらしたといってもいいだろう。

キャリアが上昇する中で、彼女は女優としてカムバックできる仕事を探し回り、1954年の『スタア誕生』でキャリアを築き上げる主人公エスター・ブロジェットを演じ、輝かしく銀幕への復帰を果たした。ジュディ・ガーランドは、この『スタア誕生』でオスカーにノミネートされ、今でもピアノ・バーで人気の「The Man That Got Away」を含む大ヒットを生み出している。

主演女優賞はグレース・ケリーが受賞し、ジュディが受賞することはできなかったが、ジュディ・ガーランドはその後何度も復帰をはかった。ハリウッドにとって彼女は用済みであったが、彼女はコンサートを行い続け、それが彼女のキャリアにとっての本当の第二幕となった。強運を持つ子役だったジュディ・ガーランドは、その幾つもの生き方を演じてきた人生を通してその魅力を表現できる才能となったのだ。

しかし60年代のキャリアは山あり谷ありだった。悪いマネージャーのせいでジュディ・ガーランドは生活費を稼ぐためにキャリアの駆け出しだった頃よりも、ハードなスケジュールをこなしていた。病と闘いながらも、そのお騒がせで騒動を生んでしまう行為を理由にマスコミからしつこく追いかけられながらも、休暇を取った後の1960年に『Just Judy』という名のプログラムでコンサートを開くことにした。

そして、1961年4月23日の夜、ジュディ・ガーランドは3,165人の観客の前でカーネギー・ホールでのデビューを果たした。それは収容可能人数を超えていた。彼女は当時からゲイ・ファンのアイドルとして知られていたが、会場には様々な年齢や人種の人たちがジュディ・ガーランドの立つ祭壇を拝みに来場した。

ショーは彼女が復活するかのように演出され、その歌とカリスマ溢れるステージ上での人格を堂々と披露し、歌詞を忘れた時にはアドリブで歌い、「Come Rain Or Come Shine」「Stormy Weather」、そして「Over the Rainbow」などのアメリカン・ソングブックのスタンダード曲を歌って観客たちを魅了した。

『Judy At Carnegie Hall』で何よりも際立つのは録音された拍手の音で、大音量であると同時に長く続き、ジュディ・ガーランドとファンたちの魂がつながったことを証明している。観客たちはアンコールを求め、時には喝采に割り込んだが、ジュディ・ガーランドは彼らを安心させるために、「わかってるわ。全部歌いましょう。一晩中かけてでも」と語りかけた。

当時のジュディ・ガーランドの才能は衰えてしまったのではないかと思った者は、このアルバムを聴けばそんなことは決してないことを知るだろう。この作品には歴史上最も影響力のあるパフォーマーであるジュディ・ガーランドの遺産がしっかりと記録されている。それは“エンターテイメントの歴史で最も素晴らしい夜”と呼ばれ、生で録音されていた作品はグラミー賞を5つ受賞し、ジュディ・ガーランドの最も売れたアルバムとなり、コンサートが開催された2か月後には新たな幅広い人気を獲得した。

それから45年後の2006年のとある2晩、ルーファス・ウェインライトはジュディ・ガーランドの有名なコンサートへ宛のラブレターとして、そして彼女へのトリビュートとしてステージに立ち、その模様は後に『Rufus Does Judy At Carnegie Hall』として発売された。36人編成のオーケストラをバックにルーファス・ウェインライトは、ジュディ・ガーランドの物語のようなカーネギー・ホール・パフォーマンスをそのまま再現。ジュディ・ガーランドの麻薬、アルコール、自殺、肝炎、5人の夫、ハリウッドのマスコミ、ルイス・B・メイヤー社長らとのトラブルといった多くの難関を耐えて潜り抜けた彼女の人生の物語がルーファスによって表現されたのであった。

Written By Laura Stavropoulos



ジュディ・ガーランド『Judy At Carnegie Hall』
2020年3月4日発売(購入はこちら
  


映画『ジュディ』 オリジナル・サウンドトラック 

  

 

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