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スティーヴ・ミラー・バンド『Fly Like An Eagle(鷹の爪)』:様々な要素を含んだ革新的な作品

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Steve Miller Band Fly Like An Eagle Album Cover With Logo

始めのリフを聴いただけでどの曲か分かるタイトル・トラックが収録された『Fly Like An Eagle(邦題:鷹の爪)』は、典型的な70年代クラシック・ロックとして時の試練に耐えてきた。

1976年5月に発売された後、アルバムは全米チャートで一気に2位まで昇りつめ、スティーヴ・ミラー・バンドの独特なシンセを中心とした宇宙的なブルース・ロックを世に紹介し、後に多くのヒットを生み出し、FMラジオにて多くオン・エアされた。

1968年の『Sailor』がバンドにとっての突破口となったが、メインストリームでの成功を収めそうになりトップ20入りをギリギリ逃した1969年の『Brave New World』と1973年のプラチナ・ディスク作品『The Joker』も存在する。メジャーとしての成功をやっと手に入れるまでには8年のキャリアと9枚のアルバムを必要とし、そこで全く違う新しい名声を手に入れることとなった。

スティーヴ・ミラーはキャリアを通じて様々なジャンルを試してみたが、過去の影響をすべて活用し、まとめ上げられた彼のサウンドはもっと素晴らしいものに仕上がっている。シカゴで過ごしていた頃はブルースに夢中になっていたスティーヴ・ミラー・バンドは、ヒッピー・サイケデリアも冒険した心からのブルース・バンドである。

60年代後半のサンフランシスコ音楽シーンの中心的存在だったバンドは、伝説的モントレー・ポップ・フェステイバルでの素晴らしいパフォーマンスによって初期の成功を収め、キャピトル・レコードの目に留まった。そして1967年に5枚のアルバム契約と5万ドルの前払いを手に入れた。当時の無名バンドが結んだ契約にしては非常に有利な契約であった。

それからバンドは1年に1枚のアルバムをリリースしたが、そこそこの作品であった。サイケデリックなブルース・スタイルをやめて、昔ながらのポップ・メロディを加えた長年親しんだブルース・ジャムへと変えると、『The Joker』から3年後にはヒットを生み出すバンドとなった。

長い休暇を経て再び集まったメンバーたちはラインアップを変更し、ロニー・ターナーだけが前作から引き続き加わり、1965年にはサンフランシスコにて24曲の制作に取り掛かった。翌年の初め頃までには曲は分割され、半分が『Fly Like An Eagle』に収録され、残りの殆どが1977年発売の次作『Book of Dreams』に収録された。

当時のメンバーとしてドラマーのゲイリー・マナバーとベーシストのターナーがいたが、アルバムにはハーモニカ奏者のジェームズ・コットン、ギタリストのレッド・デューデックとドゥービー・ブラザーズのジョン・マクフィーがフィーチャリングされている。

それまでは当時流行していたAOR“ロック・アルバム”のサウンドに順守していたが、『Fly Like An Eagle』はむしろシングルを中心にした作品となった。異なるスタイルのヒット・シングルが幾つも並ぶアルバムは、あらゆる音楽的な選集であり、スティーヴ・ミラーが知るすべての音楽を表現している。ブルースからヒッピー・ロック、カントリー、そしてR&Bなど、まるでグレイテスト・ヒット集のような作品となっている。

アルバムのオープニング・トラックの宇宙的なシンセを聴くと、実りあるセッションにて音楽スタイルが急激な変化を遂げたことを示している。スティーヴ・ミラーは、トランスのようなアルバム・オープニングを明らかに好んでいた。「Song for Our Ancestors」が『Sailor』の基調を定め、「Space Intro」も『Fly Like An Eagle』で同じ役割を果たし、新しくファンキーなタイトル・トラックを暗示している。元々12分のジャムだった曲から思慮のある倍音を剥ぎ取って改善された後、1977年3月12日の週にビルボード・ホット100チャートで2位にランクインされ、バンドにとって決定的なヒットとなった。

Steve Miller Band – Fly Like An Eagle (1976)

 

しかし病み付きになるメロディーとラジオでヒットするシングルとなると、「Take the Money and Run」と洗練されたギター調のブギー・ソング「Rock ‘n’ Me」が他に抜きん出ている。その映画のような物語とみんなが好きなリズム機器、エネルギー溢れる手拍子で「Take the Money and Run」は2年近くもアルバムをチャートに留めさせた。

スティーヴ・ミラー・ブルース・バンドは“ブルース”をバンド名から取ったが、ブルースを捨てた訳じゃない。そのルーツとなるブルースが残されているトラックとして「Sweet Maree」があり、マディ・ウォーターズの演奏者ジェームズ・コットンのハーモニカのお陰でブルースらしく仕上がっており、「Mercury Blues」もブルース色のあるトラックとなっている。

サム・クックのカバー「Send Me」のようなスローダンス・トラックから「Wild Mountain Honey」のシタールまで、そして少しだけブルーグラスに手を出した「Dance, Dance, Dance」など、アルバムは決して予測可能なありきたりの作品ではない。アルバムの他のヒット曲のせいでしばしば目立たない存在となってしまっているが、「Serenade(邦題:星空のセレナーデ)」はアルバムの中では弱者であるがファンからの人気は高い。その推進的なビートとダイナミックなキー変化は、行動に移すことを託す。

多くのシングルを生んだが、アルバムはただのシングルの寄せ集めではない。様々な要素を含んだ革新的な作品であり、その最新式シンセのサウンドと音楽的メドレーで、アルバムは今聴いてもまとまりがあり、そのクワドラプル・プラチナ・ディスクを獲得した売り上げは、1978年のグレイテスト・ヒット・コンピレーション以外は超えることができないでいる。

Written By Laura Stavropoulos


  • 2017年4月26日発売:スティーヴ・ミラー・バンドの紙ジャケット再発10タイトルはこちら
  • 『Fly Like An Eagle』紙ジャケットの購入はこちら
  • 『Fly Like An Eagle』のSpotifyでの試聴はこちら

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