【追悼記事】エリザベス女王と音楽との繋がり、ミュージシャンたちとの印象的な交流を振り返る

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Brian May and Jimmy Page meeting Queen Elizabeth II - Photo: Anwar Hussein Collection/ROTA/WireImage

エリザベス女王(Queen Elizabeth II)は芸術の擁護者であり、70年間の在位期間中、英国内外のミュージシャンやバンドを広く支持してきた。彼女のミュージカル作品への知識と傾倒から、人々に記憶に残るジュビリー・コンサートに至るまで、エリザベス女王と世界的なミュージシャンたちとの最も印象的な交流、そして彼女の長年のお気に入りのグループや作品をご紹介しよう。

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即位50周年記念コンサート

2002年6月3日、エリザベス女王の即位50周年記念式典“ゴールデン・ジュビリー”を祝うコンサート「ガーデン・パーティ・アット・ザ・パレス」がバッキンガム宮殿の庭園で開催された。フイル・パーマー、ピノ・パラディーノ、ポール・ウィッケンズ、フィル・コリンズ、レイ・クーパー、エリック・ロビンソンらから成る“ハウスバンド”が音楽を担当した同コンサートでは、バッキンガム宮殿の屋上でブライアン・メイがギター演奏した「God Save The Queen」など、クイーンのロジャー・テイラーとブライアン・メイが名曲の数々を披露した他、ポール・マッカートニー、エルトン・ジョン、ロッド・スチュワートらがパフォーマーとして出演した。

また、この2日前には、女王が主催する英国のクラシック音楽コンサート「プロム・アット・ザ・パレス」も庭園で開催されており、ニコラス・ケニヨンが演出を手掛けた同コンサートの模様は、BBCをはじめ世界40カ国以上で放映された。

即位60周年記念コンサート

その10年後となる2012年、テイク・ザットのゲイリー・バーロウは、エリザベス女王の即位60周年を記念した「ダイヤモンド・ジュビリー・コンサート」を企画した。

同コンサートでは、ゲイリー・バーロウとアンドリュー・ロイド・ウェバーによる書き下ろし曲「Sing」がイギリス邦諸国から集まった合唱団によって初めて披露された他、エルトン・ジョンが「I’m Still Standing」「Your Song」「Crocodile Rock」を、スティーヴィー・ワンダーが「Sir Duke」「Isn’t She Lovely?」「Happy Birthday」(ブラック・アイド・ピーズのウィル・アイ・アムとの共演で)、「Superstition」をそれぞれ演奏。

ポール・マッカートニーは「Magical Mystery Tour」「All My Loving」「Let It Be」「Live and Let Die」、「Ob-La-Di, Ob-La-Da」をパフォーマンスするなど、豪華な顔ぶれが彼らのヒット曲を披露し華やかに盛り上げた。

 

即位70周年記念コンサート

2022年6月に開催されたエリザベス女王の即位70年を祝う「プラチナ・パーティー・アット・ザ・パレス」では、熊のパディントンと登場した女王が、ティーカップを叩いてクイーンの「We Will Rock You」のリズムを奏でるサプライズ映像がオープニングを飾った。

そしてリン=マニュエル・ミランダとアンドリュー・ロイド・ウェバーによる「Wait for It」「Phantom of the Opera」「Circle of Life (ft. Lebo M.)」「Ex-Wives/Six」「Any Dream Will Do (ft. Jason Donovan)」など、コンサートに花を添える楽曲の数々が披露された他、 クイーン+アダム・ランバートは、「We Will Rock You」「Don’t Stop Me Now」「We Are the Champions」の力強いパフォーマンスで会場を盛り上げた。

そしてダイアナ・ロスは、「Chain Reaction」「Thank You」「Ain’t No Mountain High Enough」といった往年のヒット曲で観客を魅了し、アンドレア・ボチェッリはオペラ「トゥーランドット」のアリア「Nessun Dorma」を熱唱した。

 

クラシック音楽の愛好家、そして“女王の音楽師範”へのこだわり

女王はその生涯を通じてクラシック音楽の愛好家、擁護者として知られており、そのため在位中は、“女王の音楽師範(Master of the Queen’s Music)”に特別な配慮を払っていた。歴代、クラシック音楽界の著名人が担ってきた女王の音楽師範は、王室の重要な儀式のための音楽を作曲することを職務としてきた。エリザベス女王の時代には、オーストラリア出身の作曲家マルコム・ウィリアムソンなど、4人の音楽家が任命され、現職のジュディス・ウィアーは、初の女性音楽師範となる。

巨匠ベンジャミン・ブリテンとの繋がり

ベンジャミン・ブリテンは、20世紀の英国クラシック音楽界を代表する大御所であり、彼のキャリアがエリザベス女王の治世と絡み合っていたとしてもなんら不思議はない。オペラ「グロリアーナ」は、1953年に行われたエリザベス女王の戴冠式にて初演された。エリザベス1世を陰鬱に、人間らしく描いた同作品は、当時物議を醸したが、その後、英国の最も優れたオペラの一つとして認識されるようになった。

深く愛したミュージカル

エリザベス女王が音楽を愛していたことは誰もが知るところだったが、実際彼女がどんな音楽を深く愛しているのかは、2016年、彼女の好きなショーや楽曲にスポットを当てたBBCの番組とプレイリストによって初めて広く知られるようになった。「女王は、“ショウボート”、“オクラホマ!”、“アニーよ銃をとれ”といった舞台やミュージカルが大好きなんです」と、彼女の従姉妹であるエリザベス・アンソンは、番組の中で明かしている。

目覚ましはバグパイプの音

エリザベス女王がバグパイプ・バンドの音楽を愛したことは、彼女のスコットランドとの関係性を知れば、さほど驚くことではない。「私たちは、女王の前で演奏するためにバルモラル城に招待された数少ないバンドの一つだったようです」と、女王のプライベート・コンサートに招待されたカナダのマウント・フォレスト出身のバグパイプ・バンドのメンバーは語っている。エリザベス女王は、毎朝9時ちょうどに、バグパイプの音で目を覚ましていたという。

Written By Tim Peacock



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