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プロフェッツ・オブ・レイジのデビュー・アルバム『Prophets Of Rage』

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レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの3人のインストゥルメンタリスト(ギタリストのトム・モレロ、ドラマーのブラッド・ウィルクとベーシストのティム・コマーフォード)、パブリック・エネミーの二人、チャックDとDJロード、サイプレス・ヒルのB-リアルからなるプロフェッツ・オブ・レイジ(Prophets of Rage)のライン・ナップは、ラップ・ロックのドリーム・チームだ。その刺激的なセルフ・タイトルのデビュー・アルバムが示すように、バンドは自身のことをスーパー・グループなどとは思っておらず、むしろ政治的に目覚めた変化をもたらすエージェントと考えている。

ギタリストのトム・モレロはローリング・ストーン誌にバンドの使命について、自分たちは「革命的なミュージシャンからなるエリートの特殊部隊」であり、今日のアメリカの政治的な騒動に対し「マーシャルのスタックをぶっ放して直面していく」と説明した。

デビュー・アルバム『Prophets Of Rage』でトム・モレロと仲間たちは有言実行だということを証明している。ブレンダン・オブライエン(パール・ジャム、エアロスミス、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)をプロデューサーに迎え、この差し迫った、論争を持ちかけるアルバムは、アメリカ・ツアーに出る前の2016年7月の共和党全国大会でゲリラ・パフォーマンスを行い、トップの見出しを飾ったその騒々しい12か月間の間にできた賜物だ。

ロサンゼルスを拠点に活動する6人組が最初にリリースしたEP『The Party’s Over』では、彼らのバック・カタログを再考した楽曲をフィーチャーし、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの「Killing In The Name」、パブリック・エネミーの「Shut ‘Em Down」が収録されている。ファンタジー・レコードよりリリースされ、ストリート・アーティストのシェパード・フェアリーのデザインがスリーヴに施された『Prophets Of Rage』には、12曲の明確で新しく書かれたプロテスト・ソングが収録されており、そのテーマはまさに現在の状況に当てはまる内容に仕上がっている。

「最初に集まった時、カタログからの曲を演奏していて、でもみんなインプロヴィゼーションで新しいグルーヴも演奏していたんだ」とドラマーのブラッド・ウィルクは1か月で完成したアルバム・セッションを振り返る。「すごく良い気分だったし、みんなで会話できる言語が出来上がったと感じたんだ」。

前に突き進む、反人種差別を歌った「Unf__k The World」がファースト・シングルに続くように、『Prophets Of Rage』は怒りに溢れ、頑なで、かつ明瞭である。マイクで揺るぎない実力を発揮するB-リアルとチャックDが曲を通してタッグを組んでヴォーカルを担い、ヴァースを交互に、お互いのラインを完成させ、そのスキルを披露しながらも、ドローンによる監視(「Take Me Higher」)から現在のアメリカ政府(「Hail To The Chief」)や、「Living On The 110」ではひやっとするような「自分が阻まれている貧しさに終わりはない」とハイパーリアルなホームレスまで、様々な問題を取り上げている。

Prophets of Rage – Living On The 110 (Official Music Video)

肝心なのは、媒体もそのメッセージと同じペースを保っていること。トム・モレロは、このバンドは「バカどもが気を失うまでロックさせるために結成した」と話し、その言葉の通り、多様性のあるプロフェッツ・オブ・レイジはありあまるほどのかっこよさでロックしている。「Radical Eyes」の虎視眈々としたグルーヴ、「Strength In Numbers」のモンスター級のメタル風リフ、『Upflift Mofo Party Plan』時代のレッド・ホット・チリ・ペッパーズの「Take Me Higher」のファンクなど、すべてトム・モレロ、ブラッド・ウィルク、ティム・コマーフォードが今でもロックの最も優れた原動力であり、クセになる「Legalize Me」や警察の不祥事に関連した「Hands Up」では熱い論争はレディオ・フレンドリーな楽曲と共存できるということを証明した。

プロジェッツ・オブ・レイジは、断固とした意思を持ち、ほとんどの場合、最大限をはるかに超えて活動している。怒りに溢れ、しかし思考を凝らしたデビュー作は、現在のますます不安定な時代に政治の体が必要としていたアドレナリンの注射と言えるのかもしれない。

Written by Tim Peacock



 


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