レノン=マッカートニーがストーンズに提供した「I Wanna Be Your Man」は偶然から生まれた

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Cover: Courtesy of ABKCO

ザ・ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)は1963年11月1日に2枚目のシングル「I Wanna Be Your Man(彼氏になりたい)」をリリースしたが、それはデッカ・レコードが当初予定していたものではなかった。

バンドは同年7月、ウェスト・ハムステッドにあるデッカ・スタジオで、マイケル・バークレーというスタッフ・プロデューサーを迎え、デビュー・シングル「Come On」に続く曲としてザ・コースターズのカヴァー「Poison Ivy」のレコーディングを行なった。

しかし、イーデン・ケインのプロデューサーでもあったマイケル・バークレーとは折り合いが悪く、完成した時にはメンバー全員がこのレコードを嫌っていたため、デッカ・レコードは最終的にこのシングルの発売中止を余儀なくされた。

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偶然出会ったビートルズの二人

エヴァリー・ブラザーズ、リトル・リチャード、ボ・ディドリーとの初のパッケージ・ツアー出発前の同年9月初旬のある午後、バンドはロンドンのソーホーにあるスタジオ51で、別のカヴァー曲をレコーディングしようとしていた(当時はまだ、ミックもキースも作曲にのめり込んでいなかったのだ)。

午後半ば、彼らのマネージャーであるアンドリュー・ルーグ・オールダムはリハーサル現場を後にし、チャリング・クロスロードを歩いていると、偶然にもザ・ビートルズのポール・マッカートニーとジョン・レノンがタクシーから降りてくるのを見つけた。2人はバラエティ・クラブの昼食会に出席しており、ポールとジョンは1、2杯飲んでいたかもしれない。アンドリューは急いで2人に声をかけ、3人はすぐにスタジオへと戻り、ジョンとポールが到着してから30分も経たないうちに、ザ・ローリング・ストーンズはニュー・シングルを手に入れることになった。

ジョンとポールが当時まだ完成してなかった「I Wanna Be Your Man」を演奏し、ストーンズはブライアン・ジョーンズのスライド・ギターと共にその曲を自分たち流にアレンジした。それから1ヵ月も経たない10月7日、パッケージ・ツアーのオフの日にバンドはロンドンへと戻り、ソーホーのディ・レーン・リー・スタジオでこの曲のレコーディングを行った。

キース・リチャーズは、このシングルがリリースされた頃、「俺はあのスティール・ギターのソロが好きで、ブライアンがボトルネックで弾いてるんだ」と語り、ビル・ワイマンは当時をこう振り返っている。

「ポールは左利きで、俺のベースを後ろ向きに弾いていたのには驚かされた。当時、ザ・ビートルズは“She Loves You”でチャート1位を獲得していた。(そんな成功を手にしたビートルズたちと違って)俺たちはその夜、ウィンザーのリッキー・ティック・クラブに67ポンドで演奏しに行ったんだ」

 

当時の評価

リリースから2週間後となる1963年11月16日に「I Wanna Be Your Man」は全英シングル・チャートにランクインし、最終的に1964年1月に12位まで上昇した。ニュー・ミュージカル・エクスプレス誌(NME)はこの曲について「レノン=マッカートニーのベスト・ナンバーのひとつとは言えない。ビートに重点を置き、メロディーは完全に排除されている」と評したが、当時、エルヴィス・プレスリー・ファンクラブ英国支部の会長であったアルバート・ハンドはそれに追い打ちをかけるかの如く、「これほど調律されていないような、調和もとれていないような、下手くそな演奏の不協和音がこれからいくつリリースされるのだろうか?これほど無慈悲で、過去に例をみないほど台無しにされた作曲があるとすれば、それがこの曲だ」とさらに酷評している。

ザ・ビートルズはこの曲を収録したアルバム『With the Beatles』と同月22日に発売。リード・ヴォーカルはリンゴ・スターが務めている。

 

ストーンズのシングル「I Wanna Be Your Man」のB面は「Stoned」と呼ばれる、ほぼインストゥルメンタルの楽曲で、ザ・ローリング・ストーンズのソングライティング・チームの総称である“Nanker Phelge”がクレジットされている。「Stoned」 は、ブッカー・T&ザ・MG’sの「Green Onions」を転回させたもので、シングルの初期プレスにはB面が「Stones」とミスプリントされているものもあった。

Written By Richard Havers


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