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U2が“音楽が社会正義と変革の力になりうる”ことを体現する人物に贈られるウディ・ガスリー賞を受賞

“音楽が社会正義と変革の力になりうる”というウディ・ガスリーの信念を体現する人物に贈られる<ウディ・ガスリー賞(Woody Guthrie Prize)>の2025年度の受賞者にU2が選ばれた。
ウディ・ガスリー・センター主催による授賞式はオクラホマ州タルサのケインズ・ボールルームで開催され、バンドを代表してボノとジ・エッジが賞を受け取った。
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授賞式に先立ち、ボノとジ・エッジはプロデューサーでミュージシャンのT・ボーン・バーネットを交えて、アート、アクティビズム、詩、そして抗議活動をテーマに対談を行った。
ジ・エッジは「自分たちが好きなプロテスト・ソングには常にビジョンがあった。目指すべき何かがね。暗闇について語るのではなく、光をより明るくするんだ。音楽には、場の空気を変え、文化そのものを動かす力があると信じている」と語り、ボノは、U2にウディ・ガスリーの音楽を紹介したのはボブ・ディランだったことを明かしつつ、「ボブ・ディランは、歌が“世界を開くための手段”になりうることを教えてくれた。そしてボブがいなければ、僕がウディ・ガスリーの世界に足を踏み入れることもなかっただろう」と語った。
ボノはまた、現在アメリカが直面している課題についても言及し、次のように述べている。
「アメリカはまだ書き終えられていない“偉大な歌”なんだ。詩はすでにそこにあるけれど、今も書き続けられている。もし今眠りについて、20年後に目覚めた世界がより公平で自由になっているなんて、物事が素晴らしくあり続けるなんて思い描いてはならない。そんな風にうまくはいかないものさ」
さらに、プロテスト・ソングの制作プロセスに関するT・ボーン・バーネットとの対話の中で、ボノは「注文に応じて曲を書くことはできない」と述べ、感情の中から動機を見出すことの重要性を語った。彼はその流れの中で、今年7月にパレスチナ人活動家アウダ・ハサリーンがイスラエル人入植者によって殺害された事件を題材に制作中の新曲の歌詞を朗読した。
ボノとジ・エッジはこの授賞式のステージでウディ・ガスリーの楽曲を引用した2曲を含む6曲のパフォーマンスを披露。セットリストには、「Running to Stand Still」(ウディの「Bound for Glory」を引用)、「Mothers of the Disappeared」「Sunday Bloody Sunday」「One」「Pride (In the Name of Love)」(ウディの「Jesus Christ」を引用)、「Yahweh」が含まれている。
同式典では、ウディ・ガスリーの孫娘アナ・カノーニとウディ・ガスリー・センターのディレクター、ケイディ・ショーもスピーチを行っており、アナ・カノーニは、「ウディとU2は、戦争や暴力への抗議、人道的権利の擁護、強欲や腐敗、不正義に対する歌を通じて、何十年にもわたって共鳴し合ってきました」と語った。
ハーパー・ハウス・ミュージック・ファウンデーションが後援する今回のイベントからの収益は、同センターの教育プログラム、パブリック・コンサート、企画展示、そしてウディ・ガスリーのレガシー継承をするための活動支援に充てられる。過去の受賞者には、トム・モレロ、ピート・シーガー、メイヴィス・ステイプルズ、クリス・クリストファーソン、ジョン・メレンキャンプ、チャックD、ジョーン・バエズ、ブルース・スプリングスティーン、プッシー・ライオットらが名を連ねている。
Written By Sam Armstrong

A5判/824P/単行本
2025年10月20日発売
早川書房公式サイト
U2のボノ、魂の回顧録!
人生は僕に歌うことを与えてくれた――。U2のボーカル・ボノが、少年時代からバンドの成長過程、歌詞に込めたメッセージ、エイズや貧困と闘う理由まで、自身の内面を赤裸々に綴る。曲名がつけられた全40章から成り、直筆イラストや貴重な写真を多数収録。
単行本公式プレイリスト公開中
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