“ブラック・ウッドストック”を追ったクエストラブ初監督作品、エドガー・ライトによるスパークスのドキュメンタリーなどサンダンスで公開決定

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Photo: Dimitrios Kambouris/Getty Images For The Rock and Roll Hall of Fame

サンダンス映画祭は、1969年にハーレムで開催された音楽祭であり通称 “ブラック・ウッドストック”と呼ばれる“Harlem Cultural Festival”を題材にしたクエストラブ(Questlove)の監督デビュー作や、エドガー・ライト監督のアメリカのバンド、スパークスを題材にしたドキュメンタリー映画『The Sparks Brothers』のワールド・プレミアなど、2021年度の上映作品のラインナップを発表した。来年の映画祭は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、オンライン上と全米各地の様々なサテライト劇場で開催される予定だ。

2021年度のラインナップには、音楽関連作品が続々と登場し、音楽ドキュメンタリー映画が引き続き盛り上がりをみせている。クエストラブとエドガー・ライトのドキュメンタリーに加えて、プエルトリコ出身のパフォーマーで、EGOT(米4大アワードとされるエミー賞、グラミー賞、アカデミー賞、トニー賞)の受賞者でもあるリタ・モレノを描いたドキュメンタリー『Rita Moreno: Just a Girl Who Decided to Go for It』や、フィル・コリンズのヒット曲を生むきっかけになったとされるストーリーをフィクション化した短編映画『In the Air Tonight』、著名なジャズピアニストで作曲家のクリス・バワーズの家族の歴史を記録した『Concerto Is a Conversation』などの作品が上映される予定だ。

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しかし、なんといっても来年の映画祭で最も注目を集めているのは、ザ・ルーツのドラマーで、作家、プロデューサー、“Tonight Show Starring Jimmy Fallon”のバンドリーダーとしての顔も持つアミール・“クエストラヴ”・トンプソンが初監督を務める『Summer of Soul (…Or When the Revolution Could Not Be Televised)』だろう。

同映画は、1969年の夏にハーレムで開催され、ニーナ・シモン、スティービー・ワンダー、ザ・ステイプル・シンガーズ、B.B.キングらが象徴的なパフォーマンスが繰り広げた音楽フェスティバル“ブラック・ウッドストック”の知られざるストーリーに迫るものだ。

本家“ウッドストック”が過去50年間、常に烈しい論議とメディアの注目の的になってきた一方で、1969年に開催された“ブラック・ウッドストック”は、これまで音楽史の中で忘れ去られたままとなっている。そんな中、クエストラヴ監督による近日公開予定のこの映画の中で、半世紀もの間、地下室に眠っていた同フェスティバルの未公開映像がついに日の目を見ることになる。

クエストラヴは自身のインスタグラムでこうコメントしている。

「初めて映画を監督しました。心からこの作品を誇りに思っています。サンダンスはこの映画を映画祭のオープニングを飾るに相応しい特別な作品だと考えています」

また、コンペティション部門の正式な招待作品ではないものの、ロンとラッセルのメイル兄弟率いる影響力を持ったロック・バンド、スパークスのドキュメンタリーも今回の映画祭で話題を集めそうだ。

同映画の公式解説では次のように記されている。

「(エドガー・)ライトの才気あふれるビジョンは、バンドのキャリアを網羅する豊富なアーカイヴ資料を深く掘り下げながら、風変わりなアニメーションや、クールの第一人者として知られたメイル兄弟のインタビューを通して、50年間に及ぶ彼らの革新の歴史に命を吹き込んでいる」

2021年度のサンダンス映画祭は、1月28日から2月3日まで開催され、パスとチケットは1月7日から発売される予定だ。チケット情報や公開作品の全ラインナップは映画祭の公式サイトでご覧いただける。

Written By Laura Stavropoulos




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