ポスト・パンクの登場:PiLからスージー&ザ・バンシーズを経てザ・キュアー

1月 31, 2018


ポスト・パンクの登場:PiLからスージー&ザ・バンシーズを経てザ・キュアー

ポスト・パンクがパンクの後を受ける形で台頭したというのは、説明する必要がないだろうが、恐らく最も典型的なポスト・パンクだといえるバンド、マガジンが始動したのは1977年秋、パンク自身が予測通りの破滅を迎える直前のことであった。では、ポスト・パンクとは何なのか? PiLからスージー&ザ・バンシーズを経てザ・キュアーに至るまで、先駆者としてこのムーヴメントを牽引した主要アーティスト数組について、ここで取り上げることにする。

Post Punk

マガジン『Shot By Both Sides』
象徴的なアートワークがジャケットにあしらわれているマガジンのデビュー・アルバム『Real Life』は、とにかくクールにも程があり、パンクと称することは不可能だ。またどの収録曲も、大抵2分余りであった平均的なパンク・ソングよりも長くなっている。フロントマン兼作詞家で、あらゆる面においてバンド・リーダーであった元バズコックスのハワード・ディヴォートと、共同ソングライターのジョン・マクガフ(マッギーオク)は、シンセ満載のフックで側頭部を一撃するアルバム冒頭の「Definitive Gaze」を以って、パンクにとどめを刺した。更にこの曲では、最初のヴォーカルが入るまで、1分15秒近くがたっぷりイントロに使われていることも特筆しておきたい。プロト・ポスト・パンク・アルバム『Real Life』には、この時代を代表するアンセムとも呼ぶべき「Shot By Both Sides」が収録されている。

PiL『Metal Box
ジョン・ライドン率いるPiLことパブリック・イメージ・リミテッドは、クラウトロックを消化しダブを愛する、究極の象徴的ポストパンク・バンドだ。ジョン・ライドンは、前身であるセックス・ピストルズが燃え尽きた残骸の中からPiLを結成し、1978年のクリスマスにデビュー・アルバムを発表した。その1年後にリリースしたのが2作目『Metal Box』だ。同作も、ポストパンクの最高傑作と絶賛されており、バンドはそこで、あらゆる手を駆使して音的実験を展開。ベーシストのジャー・ウォブルが「PiLという王冠を飾る最大の宝玉」と表現した「Poptones」が収録されているのも同作である。その王冠を飾る珠玉の曲は数々あるが、ジャー・ウォブルの意見に反対する者はほぼいないだろう。

Post Punk

スージー&ザ・バンシーズ『Kaleidoscope」
スージー&ザ・バンシーズは、他の幾つかのバンドとは違い、パンク期を乗り切って生き残り、ポスト・パンク主導者の筆頭格に躍り出た。1978年発表のデビュー・アルバムは即座に成功を収め、1980年、元マガジンのギタリスト、ジョン・マクガフ加入後に制作した3作目『Kaleidoscope』をリリース。そこで独自の魔法を見出した。同作の中でも特に際立っているシングル曲「Happy House」について、ザ・スミスのジョニー・マーは「現代的。軋むような音を鳴らしてもいなければ、ロックン・ロール的な側面もない」と表現。それこそが、ポストパンクを活気あるものにした決め手であった。使い古された常套手段の焼き直しは一切抜き。これは新しい音楽であり、バンドはテクスチュアを織り成すために幾層ものサウンドを重ねることが出来る。それはパンクが全く重視していなかったことだった。

 

Post Punk

ザ・キュアー『Three Imaginary Boys』
そして登場したのがザ・キュアーだ。1979年中頃、当時3人組だったバンドは、名曲「10.15 Saturday Night」で幕を開けるポップ・パンクなデビュー作『Three Imaginary Boys』を発表。それに続き、実にキャッチーな傑作シングル「Boys Don't Cry」をリリースした。同曲は世界に先駆け、ニュージーランドでヒットを記録。これは歌心のあるパンクで、失われていたシンプルさが見事な形で高められており、そうすることによって完全にオリジナルな音楽が創り出されていた。 バンドのリーダーであるロバート・スミスは、個性的なスタイルとルックスを備えている一方、パンクのエネルギーを巧みに取り入れる技を心得ており、1980年の「A Forest」を始め、「The Hanging Garden」や、後の輝かしい名曲「The Love Cats」など、独特の悲喜が入り混じった、一連の印象的なシングルを世に送り出した。

ポスト・パンクは単に進化しただけではない。ブライアン・イーノのソロ作品や、パンクの対極にあったロキシー・ミュージック時代の作品からも、ポスト・パンクは影響を受けていた。ある評論家が「英国のポストパンク・ポップ・アヴァンギャルド」と呼んでいたこのムーヴメントを構成していたバンドには、他に、ワイアー、サブウェイ・セクト、ギャング・オブ・フォー、ジョイ・ディヴィジョン、ティアドロップ・エクスプローズ、ザ・フォール、キリング・ジョークらがいる。 ポストパンクがパンクに続いて現れたのと同じように、ポスト・パンクの後には、何か新たなものが必要となった——“ポスト・ポスト・パンク”ではなく、世間の耳目を集めるような、新しいフレーズが誕生すべき時が来たのである。

現状に留まるという選択肢はあり得ない……最新の“ニュー・ウェイヴ”に備えて覚悟せよ。

Written By Richard Havers



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