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2026年1月に来日を控えたブライアン・アダムスが語る最新作と曲作り、そしてミュージカル
ラジオDJ、ライナー執筆など幅広く活躍されているDJスヌーピーこと、今泉圭姫子さんの連載「今泉圭姫子のThrow Back to the Future」の第102回。
今回は、2025年8月に新作アルバム『Roll With The Punches』を発売し、2026年1月26日と27日に東京・日本武道館にて、1月28日にはAsueアリーナ大阪にて来日公演を行うブライアン・アダムスとの最新インタビューです。
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2026年1月、3年振りとなる来日公演を行うブライアン・アダムス。もちろん東京公演はブライアンが大好きな日本武道館。それも今回は追加公演も決定し、日本武道館2Days、そして大阪はASUEアリーナ大阪です。もちろん新作『Roll With The Punches』を引っ提げてのツアーとなります。
新作のタイトル曲「Roll With The Punches」のMVのラストでは、ブライアンが深々と頭を下げるシーンがあります。これは日本の伝統的なスポーツである柔道、相撲の“礼に始まり、礼に終わる”という素晴らしい作法をリスペクトして撮られたシーンだそうです。「僕が日本好きだって、知っているでしょ!?家族を2回も連れて行っているんだよ。とにかく楽しみで仕方がないんだ」と、久しぶりのリモート・インタビューにこう答えてくれたブライアンでした。
インタビューを開始する前に、「そういえば“18 Til I Die”の歌詞で、55歳まで18歳というフレーズがあるけれど…」と私が切り出すと、ブライアンは笑いながら、「そこは数字を変えてちゃんと歌っていたけど気づかなかった?日本では66歳に変更して歌わないとね」と。月日が経ってもジョークが通じるブライアンでよかった、と胸を撫で下ろし、リラックスした雰囲気の中で、インタビューは始まりました。
そしてもう一つ、「スヌーピーさん、(英語でも“さん”付けで言う)Wi-Fiの調子が悪いからインタビュー中はビデオをオフにしていい?」と言うブライアンに、「逃げないならいいよ(笑)」と答えると、「逃げるわけないよ、ちゃんとここにいるから(笑)」と確認をとってからのインタビューでした。
自身のレーベルからのリリース
―― 17枚目のスタジオ・アルバム『Roll With The Punches』をリリースしましたが、自身のレーベルBad Recordsを設立してのアルバムということで、どんな思いが込められていますか?
ブライアン:Bad Recordsとして初めて全て自分で手かげた作品なんだ。自由を感じたよ。音楽を作るということ以外に、全体のプロセスやテクニカルなこともやった。そして、18歳でこの仕事を始めたけれど、初めてプレス工場に行って、アナログ・レコードができるまでの工程を見てきたんだ。例えると、学校を卒業して、自由になった感じに似ている。ちなみにBad Recordsの名前は、僕の学生時代のニックネーム、“Badams”からとっている。BadはGoodとイコール。Have A Very Good Bad Day!だね。
――ブライアンにとって自由というのは、具体的にどんなことなのでしょうか?
ブライアン:今まではずっと同じ場所にいたので、自分が家具の一部になっているような感じだった。例えば、ここにいるんだけど、あまり注目されていないような、そういう気分になってしまったことがあるんだ。今は、自分がやっていることを、自分にインスピレーションを与えてくれる人と物事を選んで、仕事をすることができるという自由。それを楽しんでいるんだ。人生のキャリアにおいて、あえてこの時期に、自分がやっていることがとてもエキサイティングに感じられるって、すごいことだと思うんだ。
――これまでの作品にも言えますが、新作では特に平和へのメッセージを感じます。
ブライアン:そうだね、平和に向けたメッセージは多い。タイトル曲は打ちのめされても這い上がっていく、そんなパワーの歌だけど、「A Little More Understanding」は、“あなたの立場になって考えてみる、君も僕の立場になって考えてごらん?”という意味で、今の世の中に必要なメッセージになっている。
――昔KISSに提供した「War Machine」をブライアンの作品としてリリースしましたが、この曲も反戦の歌ですよね?
ブライアン:この曲の歌詞は、今の世の中に対応しているかもしれないね。「A Little More Understanding」は、寄り添っているメッセージだとすると、「War Machine」は、今の情勢を俯瞰して見ているんだ。
ブライアンと曲作りとミュージカル
――このように、長い間、メッセージを多くの人に届けているブライアンですが、ブライアンが、ずっと歌い続けている理由を自分自身で考えたことはありますか?
ブライアン:壮大な質問だね。自分の中では、曲を書いて歌うということはとても自然なことなんだ。その自然な流れをずっと続けているだけなんだ。ギターとベースとドラムがある曲を書く、それが自分にとってワクワクすることだから自然に続けていられるんだ。例えると、水道の蛇口は今でも開いているし、アイデアはそこから水のように滴っているということさ。
――いつもツアーをしているイメージがありますが、新作の曲は一体いつ書くんですか?
ブライアン:いつも1曲ずつ作っていくんだ。ある時、僕はコーナーストーンソングって呼んでいるんだけど、そういうマジックが起こった曲が出来て、それがアルバムのタイトルになるな、ツアーのタイトルにもなるなって気づくんだ。「Cuts Like A Knife」も「18 Til I Die」も「Roll With The Punches」もそうだった。
――来年は「18 Til I Die」のリリース30周年ですね。
ブライアン:30周年は忘れていた!昨年ロンドン・ロイヤル・アルバート・ホールで「18 Til I Die」のライヴを再現したんだけど、その音源はBad Recordsから発売になっているよ。今はそれ以外のアニヴァーサリーは考えていないけど。
――来年1月には、日本でも『PRETTY WOMAN The Musical』日本版の公演がありますね。(ブライアンが初めて手がけたミュージカル音楽)
ブライアン:本当に?それは知らなかった。Good News! 滞在中に観ることができたらいいな。
ブライアンの夢の一つは、いつかミュージカル音楽を手掛けることでした。昨年ブロードウェイキャストによる日本初上演がありましたが、『PRETTY WOMAN The Musical』は、ブライアンがオーディションを受けて、音楽を気に入ってもらい、ジム・ヴァランスと時間をかけて作った作品です。その日本版が上演されるとあって、少々興奮気味でした。
オリジナル・キャストのサウンドトラックが発売になっていますが、ブライアンが歌うヴァージョンも発売になっています。ぜひそちらも聴いてみてください。ブライアン滞在中、東京公演上演中なので、きっと彼は会場に足を運ぶことでしょう。
Written by 今泉圭姫子 / 協力:Sony Music Japan International
ブライアン・アダムス2026年来日公演日程
【東京】1月26日(月)日本武道館 18:00 開場/19:00 開演
【東京】1月27日(火)日本武道館 18:00 開場/19:00 開演
【大阪】1月28日(水)Asue アリーナ大阪 18:00 開場/19:00 開演
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