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関係者が語る、映画『アーガイル』でビートルズ最後の新曲が使用された理由とその意味

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© Universal Pictures

海外では2024年2月に公開され全米興行収入で1位を獲得、ここ日本では3月1日に公開となった映画『ARGYLLE/アーガイル』。

『キック・アス』や『キングスマン』シリーズなどで日本でも人気が高い監督、マシュー・ヴォーンによるこの最新作にはソウル/ファンクの新旧楽曲が使用されているが、その中で2023年11月に発売されて世界的な話題となったザ・ビートルズの最後の新曲「Now and Then」が印象的に、そして何度も使用されている。

ザ・ビートルズの楽曲が映画に使用されることだけでも非常に稀なことであり、それだけではなく印象的に何度も使われている。その理由について、関係者の発言とともに探ってみよう。

*映画の中で使用されている楽曲はプレイリストにて公開中(Spotify / YouTube

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The Beatles – Now And Then (Official Music Video)

 

ザ・ビートルズの曲を使うハードルの高さ

そもそもザ・ビートルズの原盤が、映画やドラマで使用されることは非常に少ない。カバー楽曲は多くの使用例があるが、オリジナルの楽曲を使った映像作品というのはザ・ビートルズの公式映画やドキュメンタリー以外には本当に少ない。

2023年に公開された映画『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』の劇中にて「Magical Mystery Tour」を使用したことが話題となった。この使用について、主演を務めたハリソン・フォードはこの曲を使うために100万ドル(約1.5億円)支払ったと話している。この発言がリップサービスなのか本当の価格であるのかの真偽はわからないが、楽曲の使用料はもちろん、そもそもの楽曲使用の許諾についても世界の音楽業界の中で最もハードルが高いのは映像制作者ならば周知の事実だ。

もちろん一切使用されていないわけではない。ザ・ビートルズに憧れる1960年代の青年たちを描いたノルウェーの青春映画『イエスタデイ』(2014年公開)ではオリジナルの楽曲が使用されている。しかしこれは映画の題材がザ・ビートルズへの愛に溢れたものであり、原題も『Beatles』ということもあり、特例的に使用されたのであろう。

Beatles (teasertrailer)

 

ビートルズのプロデューサーからのまさかの提案

そもそもマシュー・ヴォーンは、過去にカルトヒットとなった『キック・アス』のクライマックスのアクションシーンでジョーン・ジェットの「Bad Reputation」を使用し、『キングスマン:ゴールデン・サークル』では、エルトン・ジョンが本人役で出演させただけでなく本人の曲「Saturday Night’s Alright For Fighting」をアクションシーンに使用するなど、音楽を作品に組み込むことで作品が盛り上がることは熟知している。

そんなマシュー・ヴォーンの最新作『ARGYLLE/アーガイル』の音楽プロデューサーをつとめたのはジャイルズ・マーティン。ジェイルズは、ザ・ビートルズのプロデューサーであるジョージ・マーティンの息子であり、ジャイルズは近年のザ・ビートルズの再発プロジェクトを全て手掛けている人物でもある。

元々友人でもあったジャイルズがマシュー・ヴォーン監督に、本作の中でザ・ビートルズの曲を使うのはどうだ?提案したが、マシューは冗談だと思ったのかこう返答した。

「思わず笑って、ジャイルズに『1つ目に“そんな高額は払えない”、2つ目に“そんな高額は払えない”、3つ目に“そんな高額は払えない”』と言ったよ」

しかし、ジャイルズからは次のような返答があった。

「4つ目があって、実はうまくいくかもしれないビートルズの新曲があるんだ」

映画のために哀愁と希望の両方の要素を持っているライブソングを探していたマシュー監督は一聴して「Now and Then」が映画に合うと思ったそうだ。

「試験的に映画に乗せてみたところ、編集を一つも加えることなく、完全にぴったりとハマったんだ。まるでレノンがこの映画を観て、私達のために曲を作ってくれたかのようだった。この映画の中心にある人間関係を包含する歌詞だったよ」

マシュー・ヴォーン © Universal Pictures

マシュー監督に曲を聴かせた音楽プロデューサーのジェイルズは「Now and Then」と『ARGYLLE/アーガイル』についてこう語っている。

「ビートルズはご存知の通り、史上最も売れたアーティストです。彼らを新しい観客にアピールするというアイデアが好きですし、それは意味があることです。“Now and Then”は映画の中でとてもよい効果にも、重要な要素にもなっています。この曲は劇中で単に流れるだけじゃなく、別の誰かが演奏するわけでもない。映画の中で登場人物が実際に曲を聴いていることにも理由があるんです。この挑戦は、とても良いコラボレーションになりました」

映画『ARGYLLE/アーガイル』予告編60秒<2024年3月1日(金) 全国公開!>

 

「この曲はトリガーとして機能している」

また、映画の中には壮大な「Now And Then (The Argylle Symphony)」の他に、「Elly’s Writing Theme」と題された「Now and Then」のオーケストラ・ヴァージョンが使用され、サウンドトラックにも収録されている。

この楽曲の使用について、映画の劇伴の作曲、そしてこれらのオーケストラ・ヴァージョンのアレンジを担当した作曲家ロアン・バルフェはこう語っている。

「この映画には、ビートルズの曲という素晴らしい要素があります。こんなことはそうそうありません。しかも今回はビートルズの曲を映画のスコアに組み込むことができるようになったので、この曲を主人公のエリーのメインテーマとして使い始めてみたんです。この曲はある場面で、彼女の過去を思い出させるために使われています」

「この曲を最初に聴いたとき、ザ・ビートルズとDNAをつなぐものがたくさんあるように思ったんです。この曲を聴くだけで、すでにつながりを感じることができる。あのメロディーは既に名曲のように美しく、この40年の間、私達はこの曲とともに生きてきたように聞こえる。だから、この曲は映画の中でトリガーとして機能しているんです。劇中のスコアとしても使われるし、オルゴールの曲としても流れるし、映画の中でとても重要な要素になっているんです」

Elly's Writing Theme

Written By uDiscover Music


映画『ARGYLLE/アーガイル』で流れる曲
プレイリストで公開中
Spotify / YouTube


映画情報

映画『ARGYLLE/アーガイル』
全国公開中
(2024年3月1日日本劇場公開)

公式サイト

キャスト:ヘンリー・カヴィル、ブライス・ダラス・ハワード、サム・ロックウェル、ブライアン・クランストン、キャサリン・オハラ、デュア・リパ、アリアナ・デボーズ with ジョン・シナ and サミュエル・L・ジャクソン
監督:マシュー・ヴォーン
脚本:ジェイソン・フュークス
製作:マシュー・ヴォーン、アダム・ボーリング、ジェイソン・フュークス 、デヴィッド・リード
製作総指揮:アダム・フィッシュバック、ジギー・カマサ、カルロス・ペレス、クラウディア・ヴォーン
配給:東宝東和 / © Universal Pictures

映画『ARGYLLE/アーガイル』予告編<2024年3月1日(金) 全国公開!>

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全曲ミックス音源。追加トラック「ナウ・アンド・ゼン」を含む9曲




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