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Classical Features

クラシックと「今」を接続するキーパーソン:モダン・ムーヴメント編

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どこか「古典的」「高尚」なイメージのあるクラシック。かつて生み出された作品の再現を繰り返しているジャンルだ……と思うリスナーもいるかもしれないが、クラシック音楽は今もまだコンテンポラリーの形に進化を遂げている。オルタナティヴな分野に足を伸ばし、新たな音楽を生み出しているアーティストが多くいる。

今回は、そんなクラシック・ジャンルを新たな場所に先駆しているアーティストをピックアップ。前回の「ジャズ編」とは少し視点を変え、クラシックのジャンルを引き継ぎながらまだ見ぬ道を模索している彼・彼女たちを紹介したい。音楽ライター 桒田 萌さんによる寄稿。


水野蒼生

彼の肩書きは、「指揮者」と「クラシカルDJ」。後者については他に名乗っている人を見たことがないが、彼はクラシック音楽への確かな敬愛を持ちながら、そのジャンルを新たなステージにアップデートしようとしている立場だともいえる。

中学生で指揮者を目指し始め、指揮を学ぶためにオーストリアのザルツブルクへ留学。同時に、日本のライヴハウスでグランドピアノの中にマイクを入れて“爆音”でリサイタルをするイベント「東京ピアノ爆団」を実施し、クラシック音楽のDJを披露するようになる。

そして2018年にドイツ・グラモフォンよりアルバム『MILLENNIALS -We Will Classic You-』でデビュー。その後もベートーヴェンの作品をバンド編成で現代にマッチするスタイルで演奏したりマッシュアップさせたりしたアルバム『BEETHOVEN -Must It Be? It Still Must Be-』や、オペラや歌曲作品をポップ・ミュージックとして生まれ変わらせたアルバム『VOICE - An Awakening At The Opera -』をリリースしている。

彼のおもしろいところは、「クラシックの名作がもし現代のものだったら/現代の形でアップデートさせてみたら」というダイレクトな発想と、オリジナルの作品の持ち味と要素を損なわないリスペクトを併存させている点にある。

第3楽章『VOICE - An Awakening At The Opera -』より「献呈」

シューマンの歌曲〈献呈〉が、アルペジオによる華やかな原曲とは違い、エレクトロな要素が強調されたポップ・ミュージックとして大胆にアレンジされている。ヴォーカルを務めるのは、ポップス・ミュージシャンの君島大空。旋律部分は原曲からまったく変わっていないが、クラシカルではないナチュラルな君島大空の歌声が生かされていて、違和感がないのが不思議だ。原曲が持つ魅力的な要素を受け継ぎながら、現代的なオルタナティヴ性を発揮。聴いていると、「本当のクラシックとは、一体何なのか」と問われている気がしてくる。

An Awakening At The Opera

シューマン:『ミルテの花』Op.25より「献呈」

Schumann: Myrthen, Op. 25 – 1. Widmung

『VOICE - An Awakening At The Opera -』より「Ave Maria」

シューベルトの歌曲〈アヴェ・マリア〉(エレンの歌第3番)をアレンジ。ひとりで素朴に歌われる原曲とは違い、ヴォーカル・chamiの声をベースに、デジタル的な合唱のサウンド「デジタル・クワイア」風にアレンジが繰り広げられる。この施しが効果的なのか、祈りを捧げる神聖な作風をいっそう増しているように思える。

Ave Maria [Arr. Aoi Mizuno]

シューベルト:エレンの歌 第3番《アヴェ・マリア》

Schubert: Ave Maria, D.839

アルバム『BEETHOVEN -Must It Be? It Still Must Be-』

ベートーヴェンの交響曲第5番《運命》をバンド編成にアレンジ。「ベートーヴェンがこの時代に“運命”を作曲したらどうなるのか」というテーマも興味深い。

水野蒼生/Beethoven Symphony No.5 1st Movement [Radio Edit] MV

ベートーヴェン:交響曲 第5番《運命》

Beethoven: Symphony No. 5 / Karajan · Berliner Philharmoniker

角銅真実

柔らかいかと思えば、キリッとした芯もある。浮遊しているかと思えば、実は地にもついている。その声の核がやっと掴めたかと思えば、フッと空気のようにどこかにいってしまう。そんな「未経験」の感覚を、角銅真実の音や歌声から覚える。

自身のオリジナルだけでなく、原田知世やバンド「cero」などのアーティストのサポートや石若駿とのコラボレーションなど、インディーズ時代から光るセンスで頭角を表してきた角銅。2020年に自らのオリジナル・アルバム『oar』でメジャー・デビューした。

彼女は東京藝術大学で打楽器を専門的に学んだ。彼女はここで独奏はもちろんのこと、オーケストラやアンサンブルも同時に学んだものの、挫折を経験した。クラシック音楽独自の伝統的なヒエラルキーや、自分があえてクラシックに関わることへの疑問。「他人の無自覚に文化に巻き込まれて他人の言葉で音楽やいろんなものを紡いでしまっているような。『わたしの中心みたいなとこはなんだろう?』って思って、楽器を本当にやらなくなりましたね」と過去に語っている。(参考

そうして行き着いた今の角銅の作風に、クラシカルな「古典っぽさ」「高尚さ」はない。自由で、軽やか。歌声だけでなくピアノや打楽器、ギター、ストリングス、効果音、楽器以外の音など、ヒエラルキーが存在しない。すべての「音」がつながり、静かなエネルギーを帯びた生命体のようになっている。

アルバム『oar』より「Lullaby」

メジャー・デビューを果たしたアルバム『oar』に収録されている。「子守唄」を意味するタイトルだが、なんだか前進的。そして夜ではなく、光の差す朝を想起させる歌詞なのもおもしろい。間奏のストリングスもエッジが効いていて、「ララバイなのにどうしてか踊り出したくなる。

角銅真実 – Lullaby

「夜だか」

映画『よだかの片想い』(監督:安川有果)の主題歌。映画の物語だけでなく宮沢賢治の「よだかの星」をも連想させる、神秘的な詞が悠々と歌われる。優しいギターと温かみのあるバス・クラリネットの音色が、淡々と語りかけるような角銅の歌声が有機的に結びついていて心地が良い。

夜だか

小瀬村 晶

映画やドラマなどの映像作品やゲーム、CMなど、数多くのシーンで音楽を手がけている小瀬村晶。活躍の幅の広さから、気づけば小瀬村の音楽を耳にしている人も多いのではないだろうかポスト・クラシカルのシーンで異彩を放っている小瀬村。クラシック・ジャンルで「知る人ぞ知る」存在ではあるが、実は彼自身はクラシックをルーツとしているわけではない。

学生時代に音楽の制作を始め、2007年にオーストラリアのレーベルからデビューし、同時に自身のレーベル「Schole Records」も立ち上げた。自身のオリジナル作品を次々と発表する一方で映像作品などの音楽も数多く手がけ、国内外で評価を受ける。2022年にはデザイナーの宮下貴裕によるファッション・ブランドとコラボレーションするなど、新たなステージを見せている。

美しく表現されたミニマムな旋律が作品の「芯」のようになり、流れる日常と風景になだらかに溶け込みつつも、この世と地続きで新たな世界に誘う。現実で「そこにある」ように感じていた音の連なりは、気づけば聴く者の心にそっと入り、自分のうちなる泉を静かに沸々と醸成させていくような感覚を覚える。それに身を委ねていると、ただ癒されるだけでなく、ふと我に返るような響きに出会うこともあるのがおもしろい。

「Light Dance」

ピアノの音色が印象深い小瀬村の作品を象徴する作品だ。ピアノのみで演奏されていて、一聴すると明快なアコースティックの音色が、3拍子で踊り出したくなるダンス・メロディを気品良く奏でていく。しかし、ただ楽しい「ダンス」にとどまらない。程よいリバーブがノスタルジーな雰囲気を醸し出していて、ある種の一筋縄でいかないような作風に中毒性を感じる。

【MV】Akira Kosemura – Light Dance

『Pause (almost equal to) Play』

デザイナーの宮下貴裕によるファッション・ブランド「TAKAHIROMIYASHITATheSoloist.」とのコラボレーション・EPで、ブランドの2022年春夏コレクション〈Pause≒Play〉のランウェイショーで音楽が使用された。ゆったりとしたテンポで奏でられ、ブランドの世界観と音楽の響きが調和しているようだ。音楽のみを聴いても「小瀬村サウンド」が強く打ち出されていて、その音楽に身を任せると夢見心地になるのもまた不思議だ。

Akira Kosemura – pause (almost equal to) play (Visualizer)

映画『朝が来る』(監督:河瀨直美)より「True Mothers – Main Title Theme」「True Mothers」

燻るようなストリングスやノイズの中に印象的に存在する、切なげで哀しみを帯びたピアノの旋律が耳に残る「True Mothers – Main Title Theme」と、同じモチーフが使用されている弦楽アンサンブルによる「True Mothers」。映画は、特別養子縁組をテーマした厳かな物語と、ドキュメンタリーのように流れるリアルな映像が特徴的。わかりやすくドラマティックに展開されるわけではないからこそ、静かにエネルギーを持った音楽が強く浮かび上がってくるし、映像なしの音楽だけでも聴き応えがある。

True Mothers – Main Title Theme (映画「朝が来る」より)
True Mothers (映画「朝が来る」より)

Written By 音楽ライター 桒田 萌


■作品情報

水野蒼生『VOICE – An Awakening At The Opera -』
2021年3月31日発売
CD / iTunes / Apple Music Spotify  /Amazon Music


角銅真実『oar』
2020年1月22日発売
CD / iTunes / Apple Music Spotify  /Amazon Music


角銅真実『夜だか』
2022年8月24日配信リリース
Apple Music Spotify  /Amazon Music

 

小瀬村晶『Pause (almost equal to) Play』
2022年5月27日配信リリース
 iTunes / Apple Music / SpotifyAmazon Music


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