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エリカ・バドゥ「Otherside of the Game」解説:人間味溢れる側面を描いた名曲とMV

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Photo: Ebet Roberts/Redferns

「On & On」の大ヒット、そして続く「Next Lifetime」の成功を受け、エリカ・バドゥは1997年7月、3枚目のシングル「Otherside of the Game」とそのミュージック・ビデオを発表した。「On & On」と「Next Lifetime」の2曲によって、彼女は年齢を超越した深い知恵を持ち、この世界を支配する精神的な法則を理解し、死後の世界にまで意識を向けるような存在として広く認識されるようになった。

しかし、「Otherside of the Game」は、そんな神秘的なイメージとは異なる一面を描き出している。この曲は、彼女もまた現実世界に生きる一人の人間であり、愛や生活、葛藤といったごく人間的な悩みや感情を抱えていることを、リスナーにあらためて印象づける作品となった。

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この曲は、法に触れる仕事で生計を立てる恋人との関係において生まれる、複雑で揺れ動く感情を描いている。多くの人は、その仕事をドラッグの売買だと推測するだろう。しかし、本当の意味で恋人を支え続ける“ライド・オア・ダイ”のように、エリカはあえてその詳細を明かさない。彼女は繰り返し、「その仕事は真っ当じゃない。でも生活の糧にはなる」と歌い、その表情には恋人を思う気持ちと募る不安が次第に浮かび上がっていく。

エリカ自身が脚本・監督を務めたミュージック・ビデオは、ワンカット撮影によって構成されている。ボヘミアンな雰囲気に包まれた広々としたアパートを舞台に、葛藤を抱える彼女と恋人の一日を、カメラが途切れることなく追い続ける。二人が目を覚まし、身支度を整え、じゃれ合い、寄り添い、そして汚職警官と思われる人物たちと取引を行う様子までが、切れ目なく映し出されることで、愛情と緊張感が同居する彼らの日常がリアルに描かれている。

Erykah Badu – Other Side Of The Game

さらに、自分もまた私たちと同じように、大切な人を案じ、難しい選択に悩む一人の人間であることを強調するかのように、バドゥは当時のパートナーだったアンドレ3000を、法に触れる仕事で生計を立てる恋人役としてミュージック・ビデオに起用した。映像の中では、二人の息子セヴンを身ごもっていた自身の妊娠にも直接触れられている。

エリカは、「もし彼らがあなたを捕まえに来たら、私たちはどうすればいいの?」と問いかける。この切実な言葉には、単なるフィクションではない重みがある。実際に、バドゥは父親が何度も刑務所への収監と出所を繰り返す環境で育った経験を持っており、その人生経験が歌詞に圧倒的なリアリティを与えているのである。

エリカ・バドゥは、ザ・ルーツのジェームズ・ポイザーとともに、フィラデルフィアでわずか1日で「Otherside of the Game」の作曲とアレンジを完成させた。そして、その日の夜に歌詞を書き上げ、翌日にはレコーディングまで終えてしまったという、驚くほどスピーディーな制作だった。

楽曲は1997年8月にR&Bエアプレイ・チャート最高14位を記録したものの、「On & On」や「Next Lifetime」ほどの商業的成功には至らなかった。しかし、その評価は時を経るにつれて大きく変化する。現在では、この曲とミュージック・ビデオはまるで上質なワインのように年月を重ねるごとに価値を増した作品として再評価されており、近年では数え切れないほどの“Throwback/名作回顧”記事で取り上げられるなど、90年代R&Bを代表する名曲・名映像の一つとして語り継がれている。

Written By Sam Armstrong


「エリカ・バドゥ『Baduizm』」の画像検索結果エリカ・バドゥ『Baduizm』
1997年2月11日発売
iTunes Store / Apple Music / Spotify / YouTube Music / Amazon Music




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