ポール・マッカートニーが語った新作の2曲:過去の想い出や自身で演奏/ミックスした理由
ポール・マッカートニーが新作『The Boys of Dungeon Lane(ダンジョン・レインの少年たち)』を2026年5月29日に発売した。
このアルバムの発売前にポールがファンを招いたリスニング・パーティーを実施。公式YouTubeで公開された二つの映像の日本語訳を掲載。
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「Home to Us」について
ポール:さて、つまり、話はこうなんだ。最初にアンドリュー(・ワット:今作のプロデューサー)と一緒に仕事をしていたとき、僕はほかのこともやっていたから、作業は断続的に進めるしかなかった。これをやって、そのあとツアーか何かが入って、また別のことをやって、それから別のトラックを作って……という具合で、ひとつのまとまった期間に一気に作ったわけではなかったんだ。
ええと、なぜこんな話をしているんだろう?(観客笑)
これを話すには、きっとすごくちゃんとした理由があるはずなんだ!(観客笑)
いや、それじゃないな。とにかく、アンドリューと仕事をしたあとにリンゴに会って、「ああ、アンドリューっていう人と仕事をしたんだけど、彼は素晴らしいよ」って話したんだ。
それでリンゴがアンドリューのスタジオにやって来て、少しドラムを叩いた。たぶんリンゴは、それで自分の役目は全部終わりだと思っていたんだと思う(観客笑)。ちょっとドラムを叩けば、アンドリューがそこからトラックを作り上げて、何か素晴らしいものに仕上げてくれる、という感じでね。
でもアンドリューはそうしなかった。だって、そういう仕組みではないからね(観客笑)。そのままにしておいて、僕らは別の作業に進んだんだけど、ある時ふと僕が言ったんだ。「リンゴが来てやったあのドラムのやつ、覚えてる? あれを聴かせてもらえるかな? 彼が何をやったのか、ちょっと好奇心で聴いてみたいんだ」と。
それで聴いてみたら、「うわ、これすごくいいな」と思った。だから僕は、「じゃあ、リンゴが君に作ってほしいと思っていたトラックを、僕らが作るべきだ」と言ったんだ(観客笑)。「それを完成させて彼に届けて、ある意味で輪を閉じるようなことをしよう」と。僕らにとっては、家に帰るようなものだった。
このアルバムに入っている曲のいくつかは、僕自身の思い出についてのものなんだ。ビートルズになる前に、僕らがよくやっていた面白いことについてもね。僕はジョンやジョージに、「ヒッチハイクに行かないか?」なんて言っていた。お金があまりなかったから、リヴァプールから南へ向かうトラックに乗せてもらうのが、いちばんの方法だったんだ。うまく乗せてもらえれば、ただで休暇に出かけられるわけだからね。
それをジョージに提案して、彼と僕で実際にやったんだ。素晴らしいのは、そういう経験をすると本当に絆が深まるということだ。だって、ずっと一緒にいるしかないからね。だから、お互いのユーモアがわかるようになるし、好きなものや嫌いなものもわかるようになる。
ウェールズへ行った時、ハーレックに向かう途中でヒッチハイクをしたんだ。乗せてくれたのは、小さなミルク配達車だった。当時、初めて目にするような電気自動車だったんだよ。電気自動車というのは、そういう用途に使われていたんだ。僕らは何とか乗り込んだ。運転手がここにいて、ジョージが真ん中に座って、僕がこちら側に座った。ジョージはバッテリーの上に座っていたんだ!(観客笑)
でも僕らは何も気にしていなかった。「ああ、座る場所がある。無料で乗せてもらえるんだからいいじゃないか」という感じでね。すると突然、ジョージが「痛っ!」と言って飛び上がった(観客笑)。僕が「何だ? どうしたんだ?」と聞くと、彼は「めちゃくちゃ熱いんだよ!」と言った(観客笑)。あとでわかったんだけど、そのバッテリーに、彼が履いていたジーンズの後ろのジッパーが触れて電流が流れていたんだ。彼は「うわっ!」という感じだった(観客笑)。
そして正直に言うと、そのあとベッド&ブレックファストに着いた時、彼が僕に見せてくれたんだけど、お尻に大きなジッパーの跡がついていた(観客笑)。そういうことで、仲は深まるんだよ!
「Days We Left Behind」について
ポール:僕には「Memories」という小さな曲があったんだ。自分の過去を思い出させる、白黒の記憶を振り返っている、というような曲だった(笑)。
それで、その曲を組み立てていて、作業を始めたんだ。僕は少しピアノを弾いていて、ちょっとしたリフを弾いた。自分としては何気なく弾き捨てたようなものだったんだけど、アンドリューが「いやいや、ちょっと待ってください。それは良いリフですよ」って言ってくれたんだ。それで彼がそれを取り入れて、そこから曲を作り上げていった。とても穏やかな小品で、アルバムからのファースト・シングルになった曲だよ。
その曲はリヴァプールについての曲なんだ。僕のリヴァプールでの思い出についての曲なんだ。アルバム『The Boys of Dungeon Lane』についての曲でもあって、タイトルはそこから来ている。
「ダンジョン・レイン(Dungeon Lane)」っていうのは、僕が住んでいたリヴァプールのスピーク地区の近くにあった場所なんだ。僕とジョージはそこに住んでいて、それがきっかけで僕はジョージと出会った。僕らは通学バスに乗っていて、同じ学校に通っていたんだ。
だから、僕がここでバスに乗ると、次の停留所でジョージが乗ってくる。空席があれば、時々隣同士に座った。それが、僕らがお互いを知るようになったきっかけだった。僕らはギターやロックンロールについて話していた。というのも、まさにそれらが入ってきていた時代だったからね。今だと忘れがちだけど、当時はロックがまさに到来しつつあった時期というものがあったんだ。
その地区はスピークと呼ばれていて、公営住宅が並ぶ場所から下っていくと、ダンジョン・レインという小道があった。それはマージー川の岸辺へと続いていたんだ。基本的には、そこからこの曲の歌詞の着想を得ている。その曲のタイトルは「Days We Left Behind」だ。
アンドリュー・ワット:これらの曲では、すべての楽器をあなたが演奏しているんですよね。本当に驚きです。
ポール:(笑)そうだね。うん。
アンドリュー:そんなことができる人は、ほかにいませんよ。ベースを弾けばちゃんとベーシストの音に聞こえるし、ドラムを叩けばドラマーのように聞こえる。ギターを弾いても、ひとりでやっているようには聞こえない。まるでバンドのように聞こえます。
ポール:できる人は何人かいるよ。少しはね。でも多くはない(笑)。ただ、昔からそういうことをするのが好きだったんだ。何かのアイデアがある時に、誰かに「こうしてくれる? ああしてくれる?」と一生懸命説明しなくてもいい。僕の頭の中では、それは近道なんだよ。いい近道なんだ。それに、君はあの曲をうまくプロデュースしてくれたね。
アンドリュー:ありがとうございます。
ポール:うん(笑)。ひとつのテーマがあるわけではないんだ。曲はそれぞれかなり違っている。こういうアルバムを作っていると、僕は時々少し不安になって、「ずっと通して何かひとつのテーマがあるべきなんじゃないか?」と思ったりする。でもその時、ビートルズのアルバムを思い出すんだ。「She’s So Heavy」みたいな曲があって(笑)、そこから別の歌に続いていく。つまり、曲はどれも本当に違っていた。僕らは素晴らしい時間を過ごしたよ。
アンドリュー:素晴らしい時間でしたね。それに、ミックスも自分たちでやっています。それがさらにクールです。
ポール:そう、僕らでミックスしたよね。今は普通、曲が仕上がるとミックス担当の人に送って、その人がいわゆる完璧なラジオ向けミックスを作るんだ。それはかなりお金がかかる。まあ、それが一番の心配事というわけではないけれど、実際そうなんだ。アンドリューと話していて、僕は言ったんだ。「ビートルズでは、1曲が完成すると、そのまま自分たちでミックスしていたよね」と。自分たちが納得するように、自分たちでミックスしていたんだ。だから今回、僕らもそうした。全曲、自分たちでミックスしたんだ。そのうえで、「もし何か特別な作業が必要なものがあれば、その時はそうすればいい。外部にミックスを頼むこともできる」と考えた。うん、本当に楽しい作業だったよ。
Written by uDiscover Team
2026年5月29日発売
CD・LP / iTunes Store / Apple Music / Spotify / Amazon Music / YouTube Music
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2025年11月7日発売
2CD / 1CD / 3LP / 3LPカラーデラックス
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