ポール・マッカートニーとリンダの結婚式前日、アップルでの一夜と二人の気持ち

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Photo: Terry Disney/Daily Express/Getty Images

1969年、ザ・ビートルズの一員であることに伴う通常の重圧だけでも十分だったはずだが、その年の3月、ポール・マッカートニーはとりわけ多忙な日々を送っていた。バンドはシングル「Get Back」の発売を目前に控えていた。ポールとジョージ・ハリスンは、アップル・レコードが契約したジャッキー・ロマックスの仕事に没頭していた。そしてもうひとつ、3月12日にメリルボーン登記所で行われる、ポールとリンダ・イーストマンの結婚式という大事な予定もあった。

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結婚式を控えた時期に、ひとつだけ確かなことがあった。ポールには、独身最後の夜を男友達を祝うスタッグ・ナイトの時間などなかった。彼が、リーとルイーズ・イーストマン夫妻の4人の子供のうち上から2番目にあたるリンダとの婚約を公表したのは、式の前日だった。

3月11日の夜、独身最後の夜に浮かれ騒ぐどころか、ポールはジョージとともに、ロンドンのサヴィル・ロウにあるアップル・レコードの地下スタジオにいた。そこで2人は、同じリヴァプール出身のロマックスの次のアップル・シングルについて計画を進めていた。それは、ハリスン作のジャッキー・ロマックス「Sour Milk Sea」に続く作品となるはずだった。

ポールは、ロマックスがコースターズの「Thumbin’ A Ride」をカヴァーし、それを次のシングル盤として発売することに乗り気だった。その夜のセッションでは、彼はドラムとギターを演奏し、ハリスンがリード・ギターを担当した。しかし最終的には、別の楽曲「New Day」がロマックスの次作としてリリースされ、「Thumbin’ A Ride」はB面に収められることになった。

その週、3月10日から14日にかけて、のちにビートルズのアルバム『Let It Be』となる音源のミキシング作業が続けられていた。場所はアビー・ロードではなく、オリンピック・スタジオだった。前週にグループから依頼され、多数の8トラック録音をLPにまとめる役目を担った著名なエンジニア、グリン・ジョンズが、「The Long and Winding Road」「The Two Of Us」(当初は「On Our Way Home」として知られていた)、「I’ve Got A Feeling」といった楽曲のミックスを監修した。

翌日、ポールを慕う大勢の女性ファンがすすり泣くなか、彼とリンダは予定どおり登記所で式を挙げた。証人を務めたのは、ポールの弟マイクと、ザ・ビートルズ関係者のマル・エヴァンズだった。他のビートルズのメンバーは出席していない。しかし、のちにマッカートニーが、親しい友人バリー・マイルズの著書『Many Years From Now』の中で明かしたように、彼と未来の妻は、もう少しでその日を迎えられないところだったという。

「僕らはめちゃくちゃだった。結婚する前の晩に大げんかをして、危うく式が取りやめになるところだったんだ。僕らはかなり浮き沈みが激しかった。後に持たれるようになった『25年間の幸せな結婚生活! ショービジネス界の人間にしてはなんて幸運なんだろう』というイメージと比べると、ずっと生々しいものだったよ。でも実際、僕らはそうだったんだ。まるで小さな手漕ぎボートで、急流をうまく避けながら進んでいるようなイメージを持たれるかもしれないけれど、実際の僕らはその急流の真っただ中にいたんだよ。だからこそ、僕らがやってこられたことは、なおさら奇跡的なんだ。でも、僕らはやり遂げたんだ」

Written by Paul Sexton


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