デヴィッド・ボウイが残した素晴らしいコラボレーション楽曲12選【全曲動画付き】

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Photo: Larry Busacca/WireImage

デヴィッド・ボウイのキャリアの鍵となるそれぞれの時期には、違った個性を持った立役者がいた。それはたとえば、自身の奏でるリード・ギターでジギー・スターダストを空高く飛び立たせたミック・ロンソン、一般に”ベルリン時代”として知られる時期に革新的な妙技を披露したブライアン・イーノ、グルーヴィな演奏で80年代のデヴィッド・ボウイに大きな商業的成功をもたらしたナイル・ロジャース、『★』のジャズ・アンサンブルでデヴィッド・ボウイを新境地に踏み出させたダニー・マッキャスリンといったミュージシャンたちである。

レコード・デビューから50年以上に亘り、デヴィッド・ボウイはカルロス・アロマーやアール・スリック、ロバート・フリップ、チャック・ハマー、ピート・タウンゼント、スティーヴィー・レイ・ヴォーンまでさまざまなギタリストを迎え、彼らの独自のスタイルを作品に取り込んできた。一方で、長い間協働してきたプロデューサーのトニー・ヴィスコンティは、計13のデヴィッド・ボウイ作品(『The Man Who Sold The World(世界を売った男)』、『Young Americans』、”ベルリン3部作”、『Scary Monsters (And Super Creeps)』など)を手掛け、デヴィッド・ボウイの構想を実現する上できわめて重要な役割を果たした。

ピアニストのマイク・ガーソンは、ポール・トリンカが著した伝記本の名著『Starman: The Definitive Biography』の中でこう話している。

「ボウイは僕が関わった中で一番のプロデューサーだよ。彼は僕らにやりたいことをやらせてくれるんだ」

このようにデヴィッド・ボウイが目的を達成するためにミュージシャン仲間からベストな演奏を引き出す術を知っていたとすれば、他のアーティストとのコラボレーションに積極的だったことも頷ける。イギー・ポップのソロ・デビューを手伝ったことに始まり、クイーンと全英チャートの首位まで駆け上がったり、アーケイド・ファイアの2013年のアルバム『Reflektor』のタイトル・トラックに独特のヴォーカルで参加したりと、デヴィッド・ボウイは常に他アーティスト/グループに対する協力を厭わなかった。

以下、その中でも選りすぐりのコラボレーションを振り返ってみよう。

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1. ジョン・レノン「Fame」(1975年)

元ザ・ビートルズのジョン・レノンと行ったジャム・セッションから生まれた1曲で、ザ・フレアズの「Footstompin’」のカヴァー・ヴァージョンが下敷きになっている。この「Fame」はデヴィッド・ボウイにとって初の全米No.1シングルとなり、”ソウル界のゴッドファーザー”ことジェームス・ブラウンもこの曲を基にした「Hot(I Need To Be Loved, Loved, Loved)」を同年12月にシングルとして発表している。

 

2. イギー・ポップ「Lust For Life」(1977年)

デヴィッド・ボウイは以前にもストゥージズの3作目をプロデュースしていたが、イギー・ポップのソロ・デビュー作『The Idiot』はそれ以上の協力関係の上に成り立ったものだった。2人が次作『Lust For Life』に着手したころ、デヴィッドボウイも表題曲の共同作曲でクレジットされているものの、イギー・ポップ自身の作曲の才能は確かなものになりつつあった。

 

3. マーク・ボラン「Standing Next To You」(1977年)

夭逝したT.レックスのフロントマンは、1970年にシングルとしてリリースされたボウイの「The Prettiest Star」の最初のヴァージョンでギターを弾いていたほか、「Lady Stardust」の歌詞にヒントを与えた人物でもあった。そんなデヴィッド・ボウイとマーク・ボランが共演したのは1977年のこと。

だがそれも楽曲というよりジャム・セッションに近いもので、マーク・ボランのテレビ番組『マーク』の終盤の短い一幕であった。最後、リフを弾いていたマーク・ボランはステージから足を踏み外し、エンド・クレジットが流れる中でデヴィッド・ボウイがそれを笑うところで映像は終わっている。

 

4. クイーン「Under Pressure」(1981年)

「Under Pressure」はデヴィッド・ボウイとクイーンそれぞれの全盛期に残された共演曲で、両者を代表するトラックのひとつになった。ここでデヴィッド・ボウイは圧倒的な歌唱を披露。そのパフォーマンスは常以上に深い情感を湛えたものになっている。

 

5. ジョルジオ・モロダー「Cat People (Putting Out Fire)」(1982年)

この曲は1983年のデヴィッド・ボウイのアルバム『Let’s Dance』に収録された同曲とは大きく趣を異にしたヴァージョン。革新的なエレクトロニック・プロデューサーであるジョルジオ・モロダーと組み、深淵な仕上がりになったこのヴァージョンは、同名のホラー映画『キャット・ピープル』向けにレコーディングされたのち、シングル・カットされている。

 

6. ビング・クロスビー「Peace On Earth / Little Drummer Boy」(1982年)

一見、不似合いな2人のように思えるが、ワシントン・ポスト紙からは「クリスマス音楽の歴史の中で最も成功したデュエットのひとつ」と絶賛されている。シングルとしても全英3位のヒットを記録し、すぐにクリスマス・シーズンの定番曲となった。

 

7. パット・メセニー・グループ「This Is Not America」(1985年)

マイク・ガーソンの前衛的なスタイルやダニー・マッキャスリンの不協和音を使った実験性など、デヴィッド・ボウイはジャズ・ミュージシャンの才能を借りることがしばしばあった。映画『コードネームはファルコン』のサウンドトラックに使用されたこの「This Is Not America」は、クールでなおかつ聴き手に心を揺さぶらずにおかないパット・メセニー・グループとのコラボレーションである。

 

8. ミック・ジャガー「Dancing In The Street」(1985年)

チャリティ・イヴェント”ライブ・エイド”の開催に向けた資金調達を目的にレコーディングされた共演曲。モーターウン・クラシックを楽しげにカヴァーする2人の伝説的なロック・ミュージシャン。誰だって好きにならずにいられないはずだ。

 

9. ペット・ショップ・ボーイズ「Hallo Spaceboy」

デヴィッド・ボウイの1995年のアルバム『Outside』に収録されていた佳曲に、ペット・ショップ・ボーイズがダンスフロア向けのアレンジを施したリミックス・ヴァージョン。このトラックには、デヴィッド・ボウイが初めてトム少佐のキャラクターを登場させた「Space Oddity」の歌詞の一部が流用されている。

 

10. トレント・レズナー「I’m Afraid Of Americans (V1)」(1997年)

アルバム『Outside』のアウトテイクのひとつだった「I’m Afraid Of Americans」は、ポール・バーホーベン監督の問題作映画『ショーガール』のサウンドトラックに使用され、陽の目を見た。ナイン・インチ・ネイルズのフロントマンであり、デヴィッド・ボウイのツアーにも参加したトレント・レズナーはこの曲のリミックスを手がけ、同曲のシングル・チャートでの成功に不可欠な貢献を果たした。

NIN(ナイン・インチ・ネイルズ)のクレジットが入った「I’m Afraid Of Americans」のリミックス・ヴァージョンは、ここに挙げた”V1″を含め全部で5種作られている。

 

11. プラシーボ「Without You I’m Nothing」(1999年)

デヴィッド・ボウイはプラシーボの中に自分それに似た精神を見出していた。プラシーボのブライアン・モルコが昨年uDiscoverに語ったところによれば、彼らのセカンド・アルバムのタイトル・トラック「Without You I’m Nothing」を聴いたデヴィッド・ボウイは、バルバドスに遠征中だったプラシーボの面々に自ら連絡を取り、以下のように伝えたという。

「本当に、心底この曲を気に入ってしまってね。だから僕自身のコーラス・パートを用意してみたんだ」

当初、デヴィッド・ボウイとバンドはブリット・アワードのステージでこのヴァージョンを披露するだけの予定だったが、デヴィッド・ボウイは、バンドと連名でこれを発表するという提案を承諾。1999年にシングルとしてのリリースが実現している。

 

12. アーケイド・ファイア「Reflektor」

2005年9月8日、デヴィッド・ボウイはニューヨークで開催されたチャリティ・イヴェント”Fashion Rocks”のステージで、アーケイド・ファイアと共にライヴを行った。晩年のデヴィッド・ボウイの貴重なライヴ・パフォーマンスとして記録されるこの際のステージで、彼は自身のレパートリー2曲に加え、まだ駆け出しのバンドだったアーケイド・ファイアのオリジナル・ナンバー「Wake Up」を彼らと共に披露している。

そしてこの共演から8年後、突然のカムバックを果たしたデヴィッド・ボウイはアーケイド・ファイアの2013年のアルバム『Reflekto』のタイトル・トラックに参加し、印象的なバック・ヴォーカルを加えたのである。

Written by Jason Draper



 

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