全英1位を獲得した奇跡のコラボ:クイーンとデヴィッド・ボウイの「Under Pressure」

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それは2組のスーパー・スターによる一世一代のコラボレーションだった。クイーンとデヴィッド・ボウイのシングル「Under Pressure」は1981年11月21日、全英チャートの首位へ瞬く間に駆け上った。

この曲はバンドお気に入りのスイス、モントルーにあるレコーディング・スタジオ、マウンテン・スタジオでの2組の出会いから生まれた。当時、同スタジオの近隣に自宅を構えていたデヴィッド・ボウイがある夜にレコーディング中のクイーンを訪ねたのだ。「Under Pressure」はベーシストのジョン・ディーコンのリフをもとにしたジャム・セッションが発展したものだ。そのため、完成した楽曲にもフレディ・マーキュリーのスキャットが入っていたり、彼とデヴィッド・ボウイが思うままにヴォーカルを交替で取っていたりと即興の要素が多い。

「Under Pressure」はリスナーの不意を突くようにリリースされた。それまでの既存のアルバムには入っておらず、1982年5月に『Hot Space』が発表されるまでアルバムに収録されることがなかった。デヴィッド・ボウイは『Hot Space』のレコーディングにも顔を出しており、もともとは「Cool Cat」にもバック・コーラスで参加する予定だった。クイーンのドラマーであるロジャー・テイラーはマーク・ブレイク著『Is This The Real Life? The Untold Story of Freddie Mercury and Queen』の中でこう回想している。「ある晩にデヴィッドがやって来て、一緒に他のアーティストの曲を遊び半分で演奏したんだ。その最後にデヴィッドがこう言った。『こんなのばかげてる。一緒に曲を書かないかい?』ってね」。


「Under Pressure」のB面に収録された「Soul Brother」もアルバム未収録曲だ。ファンはリリース直後より好意的に受け入れ、シングルは11月14日に全英チャート8位となった。そしてその1週間後からは、2週連続で1位を獲得している。その11月21日には、クイーンのベスト盤『Greatest Hits』もアルバム・チャートで2週目となる1位を記録している。

意外なことに、それまでにクイーンがリリースしてきた名曲群の中で「Under Pressure」は、1975年に「Bohemian Rhapsody」で初の全英1位を獲得して以来、2枚目の全英1位シングルだった。また、デヴィッド・ボウイにとっては1975年に再発された「Space Oddity」と1980年の「Ashes To Ashes」に続く3枚目となった。なお、同シングルはアメリカでは29位と、大ヒットには至らなかった。

最後に「Under Pressure」についての豆知識を紹介しておきたい。同曲は全英1位を獲得したことのあるアーティスト同士のコラボレーションとして、2曲目の全英1位シングルとなった。唯一の前例とは、1967年にフランク・シナトラとナンシー・シナトラがデュエットで発表した「Somethin’ Stupid(邦題:恋のひとこと)」である。

Written by Paul Sexton


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