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reDiscover:シナトラの最も悲しいアルバム『Frank Sinatra Sings For Only The Lonely』

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フランク・シナトラの最も悲しいアルバムとは?と尋ねたら殆どの人が『In The Wee Small Hours Of The Morning(邦題:インザ・ウィー・スモール・アワーズ)』と答えるだろう。しかし、『Frank Sinatra Sings For Only The Lonely(邦題:オンリー・ザ・ロンリー)』の方がもっと悲しい作品かも知れない。同時にそれは正に“フランク・シナトラのベスト・アルバム”の最有力候補であり、傑作であることは間違いない。フランク・シナトラ自身さえもお気に入りのアルバムだと言っている。傑作ではあるがアルバムは非常に悲しい状況下で作られたことも事実である。

ネルソン・リドルがアルバムに収録されている曲のアレンジに取り掛かる直前、生後6ヶ月の娘が気管支喘息でこの世を去ってしまったのだ。フランク・シナトラとネルソン・リドルは1958年5月5日にスタジオにてアルバム制作を開始したが、その晩に録った3曲はどれも使用されることはなかった。ネルソン・リドルの母親が重病であったことがセッションに影響を及ぼし、4日後に彼女は亡くなってしまった。3週間後フランク・シナトラは再びスタジオに戻った。曲のアレンジはネルソン・リドルに任されていたが、『Frank Sinatra Sings For Only The Lonely』の最後のセッション2回は 、フェリックス・スラットキンが5月29日のオーケストラ演奏の指揮をとった。

フランク・シナトラの歌は悲しみそのもので、更にそのアレンジは 少しだけ失望感を加えている。この作品がグラミー賞であまり評価されなかったのはおかしなことであった。唯一受賞した賞はベスト・ジャケットで、フランク・シナトラ本人が考案し、デザインはニック・ヴォルペが手掛けた(アルバムは1999年にグラミーの殿堂入りを果たし、その価値を過去に見落としたことに対して責任を取った行為と言えるだろう)。1958年12月にピーター・ジョーンズはイギリスの音楽紙レコード・ミラーに「アルバム全体が魔法のように素晴らしいので“必ず買うべき”作品である」と称している。

特にお薦めは、1958年5月29日木曜日にレコーディングされたタイトル・トラックで、ジミー・ヴァン・ヒューゼンとサミー・カーンが作曲を手掛けている。フランク・シナトラはロビン・ダグラス・ホームにアルバム全体の流れを調整する役割を任せた。「トミー・ドーシーはどのライヴでもそのことに気を遣っていました。流れを調整し、初めから最後まですべてを計画しました。彼にそう言われたことはないのですが、毎日演奏していたある晩、私は突然それに気付きました。その後、私もすべてのアルバムを作る時にそれを意識するようになりました。」アルバムの舞台を設定するフランク・シナトラの最高のオープニング・トラックとなった。

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もうひとつの傑作は、1ヶ月以内にレコーディングされたハロルド・アーレンとジョニー・マーサーの「One For My Baby」である。今となっては傑作となったこのトラックは、レコーディングの時にフランク・シナトラのプロデューサーであるデイヴ・キャヴァノーがスタジオの照明を暗くし、フランク・シナトラにだけスポットライトを当てて雰囲気を作り出したことにより曲にプラスの効果を与えた。そして隣でビル・ミラーがピアノを演奏すると、そこはまるでナイトクラブの雰囲気となった。ここでは2曲だけを取り上げているが他のどの曲も同じように完璧であり、飾りのない美しい「Angel Eyes」から、キャピトル・タワーに新しく作られたスタジオをエンジニアたちが巧みに使いこなしてレコーディングされたダイナミックなトラックも収録されている。ありのままでまばらな「What’s New」、同じムードの「Willow Weep For Me」、そしてロジャーズとハートの痛切な「Spring Is Here」も含まれている。

アルバムは最初1958年9月29日にUSチャートに登場し、10月13日に1位にランクインし、そのポジションを5週間保持した。同年12月にUKでリリースされるとUKチャートの5位に登場した。

Written By Richard Havers


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『Frank Sinatra Sings For Only The Lonely』

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フランク・シナトラ&シール「サンタが街にやってくる」

 

シールとシナトラによるクリスマス・シングル「サンタが街にやってくる」

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『Frank Sinatra Sings For Only The Lonely』はキャピトル・レコードの75周年の傑作75作品のひとつに選ばれた!

♪ プレイリスト『Through The Decades

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