ロバート・パーマーを偲んで。キャリアを振り返るプレイリストとともに

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2003年9月26日、ロバート・パーマーは54歳という若さで亡くなった。これは残酷なほど早い死だった。このイギリスから生まれた音楽の革新者、独特のスタイルを持った歌手のキャリアをここで改めて振り返ろう。彼の代わりとなるような存在はいまだに現れていない。ここに挙げたプレイリストには、パーマーの極上の作品をいくつか集めている。

パリで急死したときまで、パーマーは30年近くに亘って音楽界の第一線にいた。一部のファンは、多額の予算をかけた豪勢な作りのプロモ・ビデオでこの歌手と出会い、彼をMTV世代の代表格として考えていた。とはいえ、熱心なファンならご承知だろうが、それはこの多面的なミュージシャンが持つさまざまな顔のひとつに過ぎない。

ロバート・パーマーの作品カタログには、優れたソロ・アルバムやサイド・プロジェクトがたくさん詰まっている。それを見れば、彼が実に多彩な才能の持ち主だったことがわかるはずだ。ロマンティックなバラードであろうと、素敵なブルー・アイド・ソウルであろうと、ギターが轟くロックであろうと、彼はごく自然にこなすことができたのである。

今回のプレイリストでは、パーマーの初期作品も取り上げている。活動初期、彼はヴィネガー・ジョーというバンドで腕を磨いていた。やがて1974年に名盤『Sneakin’ Sally Through The Alley』でソロ・デビュー。彼はアメリカのソウル・カルチャーの大ファンであり、それを包み隠さず表に出し、特にニュー・オーリンズ・サウンドやアラン・トゥーサンなどのプロデューサーからの影響を強く受けていた。

しかしパーマーは、アイランド・レーベルのレゲエ作品、モータウンの数々の名曲(特にマーヴィン・ゲイ)、1980年代のミネアポリス・ソウル、20世紀前半のアメリカのスタンダード曲も非常に好んでいた。世界各地の音楽をこよなく愛していた彼は、故国イギリスを離れて外国の一流スタジオでレコーディングをすることも多々あった。たとえばナッソーのコンパス・ポイント、あるいはニューヨークのパワー・ステーションなどである(1980年代に彼が参加したスーパー・グループ、パワー・ステーションはこのスタジオにちなんで命名された)。ロバート・パーマーは、ここまでで挙げたジャンルだけでなく、他にもさまざまな音楽スタイルからも影響を受けていた。それらは、この唯一無二の歌手の音楽的DNAとなった。彼の奥深い作品は、これからも末永く人気を保つことだろう。

Written By Paul Sexton



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