グランド・ファンク・レイルロード『We’re An American Band』の舞台裏

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Cover: Courtesy of Capitol Records

多彩な音楽性と卓越した演奏力、そして並外れた勤勉さを兼ね備えたグランド・ファンク・レイルロード(Grand Funk Railroad)は、アリーナ・ロックを代表するバンドとして瞬く間に頭角を現した。

ミシガン州フリントで、リード・ギタリスト/ヴォーカリストのマーク・ファーナーと、ドラマー/共同ヴォーカリストのドン・ブリューワーによって結成された同バンドは、元クエスチョン・マーク&ザ・ミステリアンズのベーシスト、メル・シャッハーを迎えて初期ラインナップを完成させた。

1969年の<アトランタ・ポップ・フェスティバル>で高く評価されたパフォーマンスをきっかけに、彼らはキャピトル・レコードとの契約を獲得。その後も年間を通じて精力的なライヴ活動を続け、1970年代初頭には熱狂的なカルト的人気を築き上げていった。

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1969年のデビュー作『On Time』は北米でゴールド認定を受け、1971年にはニューヨークのシェイ・スタジアムをソールドアウトさせた。5万5,000枚を超えるチケット・セールスは、1965年8月にザ・ビートルズが同会場で打ち立てたそれまでの動員記録に並んだと伝えられている。

グランド・ファンク・レイルロードの初期アルバムは、いずれも堅調なセールスを記録した。1972年には、キーボーディストのクレイグ・フロストを正式メンバーに迎え、自らプロデュースを手がけた通算6作目『Phoenix』を発表。同作もゴールドディスクを獲得し、バンドはさらなる成功を収めた。

しかし、その一方で、順風満帆に見えたキャリアの裏では深刻な問題が生じていた。

7作目となる『We’re An American Band』の制作に取りかかった頃、彼らはマネジメントや財務をめぐるトラブルに直面していた。バンドは、この危機を乗り越えるためには大ヒット作を生み出すことが何よりも重要だと痛感していたのである。当時を振り返り、ドン・ブリューワーは次のように語っている。

「音楽もラジオも変わりつつあった。ラジオはどんどんポップ志向になっていったんだ。僕たちは、FMアンダーグラウンドで支持されるバンドから、ヒット・チャートを賑わせるラジオ向けのバンドへと転換しなければならなかった。僕たちのキャリアも、経済的な将来も、その成否にかかっていたんだ」

ググランド・ファンク・レイルロードが、自分たちをメインストリームのラジオへ押し上げる手腕を持つ人物として白羽の矢を立てたのが、若き天才プロデューサー、トッド・ラングレンだった。当時のトッドは、絶賛された2枚組アルバム『Something/Anything?』を発表したばかりで、その卓越したプロデュース能力に大きな注目が集まっていた。彼はバンドからのオファーを快く引き受け、1973年6月、フロリダ州マイアミのCriteria Studiosで行われたレコーディング・セッションを指揮。制作はわずか3日間という驚くべき短期間で進められた。

そして1973年7月15日にリリースされた『We’re An American Band』は、自信と風格、そしてラジオ向けの親しみやすさに満ちあふれた作品だった。同作は全米アルバム・チャート(Billboard 200)で最高2位を記録し、プラチナディスクを獲得。「Stop Lookin’ Back」や、妖艶な雰囲気を漂わせる「Black Licorice」といった人気曲も収録されている。

しかし、本作を象徴するのは、全米でブレイクを果たした「Walk Like A Man」と、キャッチーなメロディで全米チャート1位に輝いたタイトル曲「We’re An American Band」の2曲だろう。これらのヒットにより、グランド・ファンク・レイルロードはメインストリームのロック・バンドとして確固たる地位を築き上げた。

音楽史における真に重要なフィールグッド・アンセムのひとつであり、今では「We’re An American Band」なしのロックンロール世界を想像するのは難しい。しかし、作者であるドン・ブリューワー自身は、この曲がグランド・ファンク・レイルロードを象徴する代表作になるとは思ってもいなかったという。「曲を書いていたときは、ギターで覚えていたコードを片っ端から使って、簡単な2本の弦を鳴らしながら作っていたんだ」と彼は笑いながら振り返る。

「“We’re An American Band”が、あんなアンセムになるなんて夢にも思わなかったよ。キャピトル・レコードの人たちが初めて聴いたとき、興奮して飛び跳ねていたのを覚えている。“これは何かあるぞ”とは思ったけれど、それが本当はどれほど良い曲なのか、まったくわかっていなかったんだ」

幸運にも、その価値を見抜いていたのは世界中のリスナーだった。「We’re An American Band」は瞬く間にロックのスタンダードとなり、その名を冠したアルバム『We’re An American Band』もまた、グランド・ファンク・レイルロードの最高傑作の一つとして今なお高く評価されている。

Written By Tim Peacock



グランド・ファンク・レイルロード『We’re An American Band』
1973年7月15日発売
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