フランク・ザッパが残した15の名言:時代を超越したウィットと洞察力

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Photo: Michael Ochs Archives/Getty Images

フランク・ザッパ(Frank Zappa)がこの世を去ってから数十年が経ったが、彼の反抗的で独立心あふれる考え方は今も必要とされている。彼のインタビュー、著作、ステージ上でのおしゃべりなどを見ていくと、この世のありとあらゆることについての名言を見つけることができるはずだ。

たとえば保守派の馬鹿げた振る舞いについてはどうだろう? 彼は回顧録『ザ・リアル・フランク・ザッパ・ブック(原題:The Real Frank Zappa Book)』の中でこう書いている。

「規制緩和された企業社会アメリカによるお行儀の悪い不意打ちから私たちの注意をなんとか逸らそうとして、無駄口とゲロの中でのたうちまわっている元弁護士や中古車セールスマンの一団」

では、リベラル派による言葉狩りについては? 2016年のドキュメンタリー映画『フランク・ザッパ/音楽に愛された男(原題:Eat That Question)』で紹介されたインタビューの中で、ザッパはこう述べている。

「その言葉、あるいは口から出る音声があまりに強烈すぎるせいで、火の池地獄の刑に処せられるような言葉なんて存在しない」

ではセックスが社会に悪い影響を及ぼすと恐れる人たちについては? 1985年、ペアレンツ・ミュージック・リソース・センター (PMRC) が推進する歌詞検閲に反対するため、彼はアメリカ上院議会の公聴会に出席して次のように主張した。

「ひどい事実からは、ひどい法律が生まれます。私の意見では、自分の性衝動を高らかに歌い上げるソングライターよりも危険なのは、ひどい法律を作る人たちのほうです」 (たとえカーディ・Bとメーガン・ザ・スタリオンの「WAP」を聴いたとしても、きっと彼はこの言葉を繰り返していただろう。)

アレックス・ウィンターが監督した待望のドキュメンタリー映画『ZAPPA』の公開を記念して(映画は2022年4月22日に劇場公開決定)、今回はフランク・ザッパ本人が残した数々の名言を紹介しよう。これらは何十年も前に発せられた言葉かもしれないが、彼のウィットと洞察力は時代を超越している。

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15の名言

1. もしあなたが退屈で惨めな人生を送っている場合、その原因が自分の母親、父親、教会の司祭、テレビに出ている人、とにかくあなたに人生のあれこれを指図する誰かさんの言葉に耳を傾けたことにあるのなら、それは自業自得だ。
(『ザ・リアル・フランク・ザッパ・ブック』 1990年)

2. 人生で一番大切なことは、ほかの誰かの人生に干渉しないことだ。
(『The Howard Stern Show』1987年)

3. 共産主義はうまくいかない。なぜなら、人間の本性に合っていないからだ。かく言う俺たちも、いつか気づくことになるんだろうか。この主張の「共産主義」のところを「西欧型の民主主義」に入れ替えても、そのまま当てはまってしまうということに。
(『ザ・リアル・フランク・ザッパ・ブック』 1990年)

4. ロック・ジャーナリズムの定義:文章を書けない人が、文章を読めない人向けに記事を用意するため、物事を考えられない人にインタビューをすること。
(『ザ・リアル・フランク・ザッパ・ブック』 1990年)

5. 俺はこういう説を唱えてるんだ。宇宙は「愚かさ」でできている。なぜなら、「愚かさ」は「水素」よりも満ちあふれているから。もしそれほど満ちあふれているのなら、「愚かさ」について語り合うほうがいいんじゃない?
(『Late Night Special BBC』1993年)

6. この文脈では、PMRCの要求は、フケを治療するために首を切り落とすのに等しいものです。
(PMRCの要望で開催されたロック歌詞検閲に関する上院公聴会、1985年)

7. このアメリカという国はできてからまだ200年くらいだけど、俺たちアメリカ人は自分たちのことをものすごい大物だと思ってる。アメリカ人は全然気づいてないけど、ほかの国には数千年の歴史と文化があって、ほかの国の人たちはそれを誇りに感じてるんだ。そんなアメリカ人が外交政策とかその手のことでほかの国とやりあう場合、こちらは大国アメリカの人間だぞ、強い国だぞみたいな感じで交渉の場に乗り込んでくけど、向こうは腹の中で笑ってるはずだよ。だってあちらからしたら、こちらはゼロみたいなもんだからね。アメリカ人は文化面ではゼロ。全然重要じゃない。対するアメリカ人は、損得勘定にしか興味がないんだ。
(『フランク・ザッパ/音楽に愛された男』2016年)

8. カーマ・スートラ[訳注: 古代インドの性愛論書]と比べればわかる。カーマ・スートラのせいで死んだ人は何人いる? 一方、聖書のせいで死んだ人は何人? どっちの勝ち?
(『Late Night Special BBC』、1993年)

9. 幸せで精神的に健康な子供を育てたいと思っている人に捧げる一番のアドバイスは、「子供を教会からできるだけ離しておくこと」だね。
(『ザ・リアル・フランク・ザッパ・ブック』 1990年)

10. 時間というものに装飾を施すのが音楽だ。音楽がなければ、時間はただの退屈な納期の締め切りや請求書の支払期限でしかない。
(『ザ・リアル・フランク・ザッパ・ブック』 1990年)

11. 全体として見ると、PMRCの要求項目は、陰険な「トイレのしつけ」の教科書のように読めます。これはまるで、ごく一部の歌詞のためにすべての作曲家や演奏家に排便のしつけを強要する教科書のようです。
(PMRCの要望で開催されたロック歌詞検閲に関する上院公聴会、1985年)

12. きみはもう18歳だよね。コカインを吸うスプーンを鼻から抜いて、薬物を注射する針を腕から抜いて、ビール瓶を口から引っこ抜いて、投票に行くように。こちらの言ってることわかる? 投票しなさい。ケダモノのようにワーッと選挙人登録をして投票しなさい。
(『フランク・ザッパ/音楽に愛された男』2016年)

13. 特にアメリカでは、ミュージシャンはたいてい社会の役に立たない付属品のようなものだと思われている。そう思われていない人たちは、何かクリエイティブなことをしている。たとえばコカコーラのCMソングを作るとか。そうすれば、世間に受け入れてもらえる。でも普通の場合、ミュージシャンは地球上で最低のクズだと思われている。だから、もしミュージシャンになりたいのなら、第一歩を踏み出す前に、ちゃんと心得ておかなきゃいけない。ミュージシャン志望の奴のことなんか、誰も本気で気にしてくれないということをね。
(『フランク・ザッパ/音楽に愛された男』2016年)

14. キリスト教の本質は、「エデンの園」の物語の中で語られている。禁断の果実は、知恵の木になっていた。その裏の意味は、つまりこういうこと。「今お前が苦しんでいるのは、何が起きているのか知りたいと思ったからだ。疑問なんか持たずに黙っていれば、今でもエデンの園にいることができたのにね」 。
(『Playboy』インタビュー、1993年)

15. 本当のフランク・ザッパなんて、誰も見たことがないと思う。なぜならインタビューを受けることなんて、人と人の付き合いの中でも飛びきり異常な部類に入るからね。インタビューというのは、異端審問からそう離れていないところにある。
(『フランク・ザッパ/音楽に愛された男』2016年)

Written By uDiscover Team



フランク・ザッパ新作情報


『ZAPPA (Original Motion Picture Soundtrack)』(3CD)
輸入盤/デジタル:2020年11月27日発売
日本国内盤:2022年4月20日発売
国内盤CD / LPiTunes Store / Apple Music / Amazon Music
<日本盤のみ>解説付/歌詞対訳付SHM-CD仕様


フランク・ザッパ『200 Motels: Original MGM Motion Picture Soundtrack
(オリジナル・サウンドトラック
50周年記念2CDエディション)
輸入盤/デジタル:2021年12月17日発売
日本国内盤:2022年4月20日発売
国内盤CD / LPiTunes Store / Apple Music / Amazon Music


映画情報

ZAPPA
2022422()日本劇場公開

公式サイト

監督:アレックス・ウィンター|出演:ブルース・ビックフォード、パメラ・デ・バレス、バンク・ガードナー、デヴィッド・ハリントン、マイク・ケネリー、スコット・チュニス、ジョー・トラヴァース、イアン・アンダーウッド、ルース・アンダーウッド、スティーヴ・ヴァイ、レイ・ホワイト、ゲイル・ザッパ
キングレコード提供|ビーズインターナショナル配給
シネマート新宿・シネマート心斎橋ほかにて

2020年|アメリカ映画|129分|原題:ZAPPA


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