1966年、ママス&パパスの1stアルバム『If You Can Believe Your Eyes And Ears』

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ママス&パパスの作品を良く知っている人にも、「Monday, Monday」や「California Dreamin’(邦題:夢のカリフォルニア)」しか知らない人にも、彼らの素晴らしい1966年リリースのファースト・アルバムをぜひ聴いてもらいたい。彼らの『If You Can Believe Your Eyes And Ears』を再発見して欲しい。

直球形のポップスからより洗練された1960年代後半のサウンドへと成長しながらカリフォルニア産ヴォーカル・サウンドの本質を抜き出したこの4人組は、簡単に成功を手に入れたわけではない。輝くしく豪華に作り上げられたジョン・フィリップス作のファースト・シングル「Go Where You Wanna Go」はチャート入りすることはなかったが、ジョン・フィリップスと結婚して3年経つ妻のミシェルがほろ苦い「California Dreamin’」を書き、ダンヒル・レコードが1965年後半にシングルとしてリリースすると異なる結果を得ることになった。

49年経った今、再びアルバムを聴いてみると、そこにあるのはジョン・フィリップスとミシェル・フィリップス、デニー・ドハーティ、そしてキャス・エリオットが作り出すグループ・ハーモニーの類まれなるパワーだけではないことがわかる。オリジナルとオリジナル同等のカヴァー曲が両方バランス良く収録されたアルバムを通じて、広範囲のポップ・スタイルを跨ぎながら、すべての曲を“自分たちらしく仕上げる”彼らの独特の才能が存在するからだ。

ギターがリードする「Straight Shooter」は、ザ・モンキーズが1966年に作り出すサウンドを予告している。その他、ジョン・フィリップスが作曲を手掛けたものとしては、メトロノームのように優しく美しい「Got A Feelin’」、そして喜びに満ちた典型的なママス・パパスのスタイルを持った「Somebody Groovy」などのトラックが含まれている。ジョンとミシェル・フィリップスによる共作曲の「Hey Girl」ではキャス・エリオットがリードを務め、ラリー・ネクテルのキーボードとセッション王、ハル・ブレインのドラムが前面に出ている。

メンバーはザ・ビートルズの比較的有名ではない楽曲「I Call Your Name」(ザ・ビートルズのオリジナル・アルバムには収録されず、『Long Tall Sally』EPに収録されていた)をカヴァーし、テンポと雰囲気を全く変えて自分たちの作品に仕上げた。使い古された曲となっていた、ボビー・フリーマンの1958年発表のオリジナル・アルバムからの「Do You Wanna Dance」のカヴァーも同様に自分たちの作品に仕上げることに成功し、クリフ・リチャードからビーチ・ボーイズまで、アメリカとイギリス両方のアーティストたちの楽曲をカヴァーをしている。それでも、ママス&パパスは自分たちのゆったりとしたペースですべてを独自のものに仕上げている。「Spanish Harlem」と「The ‘In’ Crowd」も同じように上手くアップデイトされている。

アルバムは1966年3月に全米チャートに登場し、5月になると1週間1位のポジションを保持した。アメリカのファンたちはアルバム・タイトルのように、その目と耳を信じてママス&パパスを受け入れた。

Written By Paul Sexton




ママス&パパス『If You Can Believe Your Eyes And Ears 』

 



 

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