ジョン・ディーコンが書いた、クイーンのラヴソング「You’re My Best Friend」の制作秘話

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1975年10月31日に発売されクイーンにとって最も売れたシングルのひとつとなった「Bohemian Rhapsody」。この名曲に続くシングルを選ぶのは、いかなるバンドであろうと容易いことではない。しかしながら、彼らはその答えを知っていた。それは、ベーシストのジョン・ディーコンが書いた、聴く者を惹きつけるラヴソング「You’re My Best Friend」だ。

クイーンの4作目のアルバム『A Night At The Opera』のために書かれた「You’re My Best Friend」は、ジョン・ディーコンが自身の妻であるヴェロニカ・テツラフについて綴られたもので、不朽のヒット曲となった。その歌詞の中では献身的な愛をこう歌っている。

きみは僕のサンシャイン、それをちゃんと伝えたい
この気持ちに偽りはなく  きみを心から愛している
あぁ、きみは僕のベストフレンド

フレディ・マーキュリーは、“タムラ・モータウン風のディーコンの曲”を気に入っていたと語っていた。この曲は、ジョンの自宅で書かれたものだ。当時ジョンはこう語っている

「フレディはエレクトリック・ピアノ(電子ピアノ)が好きではないので、僕がスタジオではなく自宅でエレクトリック・ピアノを練習し始めていた時にこの曲が生まれました。エレクトリック・ピアノで作った曲なので、その楽器で演奏するのが一番良いはずです」

「ジョンはダークホースだった」

バンドによる優れたアレンジが施されたこの曲のレコーディングは、1975年8月にロンドンで行われた。ベース、スネアとハイハットを駆使したロジャー・テイラーの巧みなドラミングは、ジョン・ディーコンのフェンダー・ベースと絶妙に入り混じる。ジョン・ディーコンはベース以外にもウーリッツァーEP-200のエレクトリック・ピアノを披露し、ブライアン・メイはいつものように、あの有名なレッド・スペシャルに魔法をかけて、5つの異なるギタートラックを演奏している。そんなブライアン・メイはジョンの作曲についてこうコメントしている。

「ジョンはそんなに多くの曲を書きませんでしたが、‘Another One Bites the Dust’や‘I Want To Break Free’のように、書いたものは大ヒットになるんです。‘You’re My Best Friend’はアメリカのラジオで最もオンエアされる曲の一つになりました。ジョンはクイーンの中ではおとなしいメンバーとして知られていましたが、実はダークホースでした。僕らが時々彼に、“ジョン、なにか良い曲はできた?”って訊いても、彼は自分の曲に関してはとても控えめなんです。そんな彼が書いた‘You’re My Best Friend’は、彼の愛する妻について書かれた曲でした」

「Bohemian Rhapsody」のビデオの成功により、メンバーたちは再びPVを作ることを希望し、「You’re My Best Friend」のビデオも作られることになった。ビデオでは、何千ものロウソクに囲まれた煌くシャンデリアのある巨大なダンスホールにいるクイーンのメンバーが映し出される。監督はブルース・ガワーズが務め、季節はずれなほど暖かい春の日にロンドンのエルストリー・スタジオにて撮影された。エアコンはなく、ロウソクと照明の熱気で辛い撮影となった。

このビデオの中で、ジョンはレコーディングに使ったエレクトリック・ピアノではなくグランドピアノを弾いているが、それはコンサートでフレディが使っていたものと同じピアノである。フレディはエレクトリック・ピアノについてこう語っていた。「あんな楽器は絶対に弾かないって拒否しました。あんな小さくて恐ろしいものは、僕の好みじゃない。素晴らしいピアノがあるのに何でそんな楽器を弾くんだってね?」

「友情の意味を学んでいないなら、何も学んでいないも同然だ」

1976年5月18日に発売されたこの3分間のシングルは、ラジオでの大量オンエアされヒット曲となった。「You’re My Best Friend」は7月6日にUKシングル・チャートで8週間ランクインされ、最高7位に。全米シングルチャートでは最高16位にランクインし、100万枚以上の売上を記録。後にアメリカにてプラチナムディスクを獲得した。ちなみにカントリーシンガーのドン・ウィリアムズも偶然「You’re My Best Friend」というタイトルの曲を発売し、1年後にヒットとなった。

1979年に発売された、ヨーロッパで行ったコンサートからのライヴ音源を収録したアルバム『Live Killers』には、「You’re My Best Friend」の素晴らしい2分間のヴァージョンが収められている。

 

クイーンの「You’re My Best Friend」は、その後、『シンプソンズ』、『ファミリー・ガイ』、そして『イーストエンダーズ』など、幾つもの映画やテレビ番組で使用されている。ゾンビのパロディ映画『ショーン・オブ・ザ・デッド』のエンデイング・テーマとして起用されたジョン・ディーコンのこのスウィートなバラードは、ザ・スーパーナチュラルズ(1997年)やスティーヴィー・アン(2014年)など他のアーティストたちによってもカヴァーされている。

「You’re My Best Friend」がチャートで成功してから40年が経った今、ジョン・ディーコンは音楽業界から離れ、6人の子供を育てた最愛のヴェロニカと共にロンドンで静かな生活を送っている。

「友情の意味を知らないなら、何も学んでいないも同然だ」と、同じく70年代に成功を収めたボクサーのモハメド・アリは語っていた。ジョン・ディーコンの曲は、今でも友情について書かれた曲の中で最も人気の作品の一つであり続けている。

Written By Martin Chilton


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