ディープ・パープル創設メンバー、ニック・シンパーの功績:初期3作を支えたベーシスト
その功績に見合う評価を必ずしも受けているとはいえないが、ニック・シンパー(Nick Simper)は、ディープ・パープル(Deep Purple)の初期の躍進を支えた重要な存在だった。
バンドの第1期でベースを担当し、最初の3作のアルバムに参加したシンパーは、バンドの歴史に重要な役割を果たしたにもかかわらず、2016年にディープ・パープルがロックの殿堂入りを果たした際、顕彰対象から外された。それでも彼は恨み言を口にすることなく、TeamRockにこう語っている。
「賞をもらわなくても、自分たちがディープ・パープルで成し遂げたことが大きな影響を与えたのはわかっている。それに、これはバンド自身が決めたことではないと確信している」
<関連記事>
・ディープ・パープルの特集や記事一覧はこちら
・リッチー・ブラックモアが語る1968年のディープ・パープル
・メタリカのラーズによるディープ・パープル“ロックの殿堂入り”祝福スピーチ
・ ディープ・パープルのイアン・ギラン、売れない時代は犬用ビスケットを食べていた
シンパーは、初期のディープ・パープルを代表する「Hush」「Kentucky Woman」のほか、バンドとの共作曲のひとつである「Wring That Neck」にも参加した。バンド脱退後は、英国のロック・バンド、ウォーホース(Warhorse)を結成し、ヴァーティゴから、1970年のセルフタイトル・アルバムと1972年の『Red Sea』の2作を発表。また、1970年代後半から80年代初頭にかけては、別のバンド、ファンダンゴ(Fandango)でもアルバムを残している。
死と紙一重の事故
シンパーは1945年11月3日生まれ。ザ・レネゲイズやサム・アザー・ガイズなどで経験を積んだ後、ジョニー・キッド&ザ・パイレーツ(Johnny Kidd and the Pirates)のメンバーとなった。そこで彼は、英国を代表する偉大なロックンローラー、ジョニー・キッドの活動に幕を下ろすことになった悲劇と、あまりにも近い場所で向き合うことになる。
バンドがヒットから遠ざかってしまった頃、キッドが再起を図ろうとしていた。そんな際、シンパーとキッドが乗っていた車が事故に遭い、シンパーは負傷し、キッドは命を落とした。シンパーは1976年、キッドの死から10年を迎えた追悼公演にも出演している。
1967年、当時ザ・フラワーポット・メンのバックを務めていたザ・ガーデンに在籍していたシンパーは、ザ・フラワーポット・メンのメンバーだったジョン・ロードと知り合い、その後、2人は初期のディープ・パープルで活動を共にすることになる。2012年夏にロードが亡くなった際、シンパーは彼の公式サイトに心のこもった追悼文を寄せ、2人がどのようにしてバンドを始めることになったのかを振り返っている。
「稼ぎの良いあの仕事(ザ・フラワーポット・メン)を離れて新しいバンドを作ろう、と私を説得したのはジョンだった。リッチー・ブラックモア、そして短期間ながらボビー・ウッドマンとともに、私たちはディープ・パープルへと育つ種をまいた。ジョンとは一緒に仕事を始めた初日から意気投合し、その後の2年間はずっと一緒に暮らした。最初は僕の実家、次にディーヴス・ホール、最後はウエストロンドンのアクトンにあったディープ・パープルの家でルームメイトだった。ツアーでもいつも同じ部屋に泊まり、毎日が楽しいことの連続だった!彼は私を親友と呼び、私にとって彼は、自分にはいなかった兄弟のような存在だった」
悲しい崩壊
rockpages.grのインタビューで、シンパーはディープ・パープルで活動した当時を次のように振り返っている。
「バンドをどのような方向に進めるべきか、どう運営していくべきか、どのエージェントと契約すべきかについて、メンバーそれぞれの考えが異なっていた。そして残念ながら、すべてが内側から崩壊してしまったんだ。もし当時、もう少し落ち着いて活動する機会が与えられていたら、第2期のラインナップと同じような機会を与えられていたなら、きっと誰もが驚くような結果を残せたと思う」
シンパーは2015年、自身のバンド、ナスティ・ハビッツのアルバム『De La Frog Conspiracy』でレコーディング活動に復帰した。その後もナスティ・ハビッツは時折ライヴを行い、2019年春にはオーストリアで公演を開催。英国ロック史におけるシンパーの功績を知る人々から、今もその活動は高く評価されている。
Written By Paul Sexton
ディープ・パープル『Shades of Deep Purple』
1968年7月17日発売
iTunes Store / Apple Music / Spotify / Amazon Music / YouTube Music
- ディープ・パープル『Perfect Strangers』解説:第二期メンバーの再結成
- ディープ・パープルの20曲:ハード・ロック界を代表するバンドの遺産
- リッチー・ブラックモアの最高の演奏20曲:鮮やかで素晴らしいソロ
- ディープ・パープルのキーボード、ジョン・ロードを偲んで
- ディープ・パープルによるロックとクラシックの融合『Concerto For Group And Orchestra』
- 名曲中の名曲、ディープ・パープル「Smoke On The Water」は最初はシングル曲ではなかった