マーヴィン・ゲイ&タミー・テレルが美しい音楽を奏でた「You’re All I Need To Get By」

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1968年、マーヴィン・ゲイは絶好調だった。このモータウンのスターは6年間ヒットを放出し続け、全米R&Bチャートをすでに2度、1965年に制覇していた。29歳になったその年も、彼の勢いは止まらなかった。1968年に半年のうちにBillboardソウル・チャート1位を3度も達成し、そのうち2曲は最高のデュエット・パートナーのひとりで、のちに脳腫瘍で惜しくも24歳の若さでこの世を去ることになるタミー・テレルとの楽曲だった。今日はそのマーヴィン・ゲイ&タミー・テレルが美しい音楽を奏で、R&Bベストセラーのトップとなった「You’re All I Need To Get By」を振り返ってみよう。

1965年にチャートのトップに君臨したマーヴィン・ゲイのヒット曲「I’ll Be Doggone」と「Ain’t That Peculiar」は、活気にあふれた彼の初期のレコーディング・スタイルのいい例だが、1968年にはよりスムースで洗練されたソウルを生み出し、1970年代初期の彼特有のスタイルを確立していた。

同年の6月、フィラデルフィア出身のタミー・テレルとのインスピレーション溢れるタッグは、その前年に「Ain’t No Mountain High Enough」でソウルチャートでもポップチャートでもヒットとなったが、今度はニック・アシュフォードとヴァレリー・シンプソン制作の「Ain’t Nothing Like The Real Thing(邦題:恋はまぼろし)」でR&B1位、ポップ8位の記録を達成した。

3か月がたたないうちに、同じ法則にのっとり同じライターと同じデュオで再び成功を勝ち取った。1968年8月31日の週のR&Bチャートではマーヴィン・ゲイ&タミー・テレルの新たなアシュフォード&シンプソンの楽曲「You’re All I Need To Get By」で5週連続1位の記録のスタートを切り、またポップ・チャートでも7位を記録した。キャリアを通して様々なデュエットをしてきたマーヴィン・ゲイだが、これが最も成功したものだ。その10週後、1968年のクリスマス直前にマーヴィン・ゲイは再び「I Heard It Through The Grapevine(邦題:悲しいうわさ)」で頂点に君臨した。

「You’re All I Need To Get By」はマーヴィン・ゲイ&タミー・テレルの2枚目のデュエット・アルバム『You’re All I Need』の先行トラックで、アルバム発売の1か月前にシングルとしてリリースされた。この曲ではアシュフォード&シンプソンがバッキング・ヴォーカルを務め、のちにアレサ・フランクリンからジョニー・マティス&デニース・ウィリアムス、そしてエルトン・ジョン&マルセラ・デトロイトなどのコンビまで、無数のアーティストによるカヴァーを産みだしている。

Written by Paul Sexton



マーヴィン・ゲイ&タミー・テレル『You’re All I Need』

   

 


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