(function(h,o,t,j,a,r){ h.hj=h.hj||function(){(h.hj.q=h.hj.q||[]).push(arguments)}; h._hjSettings={hjid:104204,hjsv:5}; a=o.getElementsByTagName('head')[0]; r=o.createElement('script');r.async=1; r.src=t+h._hjSettings.hjid+j+h._hjSettings.hjsv; a.appendChild(r); })(window,document,'//static.hotjar.com/c/hotjar-','.js?sv=');
Join us

Stories

不運な状況でリリースされたホール『Live Through This』がもたらしたもの

Published on

ホールがオルタナティヴ・ロックの芸術作品『Live Through This』を1994年4月12日にリリースして以来、音楽を消費する聴衆とメディアは常に「もし〜だったら?」と仮想してきた。もし文化を震撼させたカート・コバーンの死のわずか7日後にデビューしていなかったとしたら?もしフロントウーマンのコートニー・ラヴがメディアとカート・コバーンの陰謀者のターゲットでなかったとしたら?もしホールのベーシスト、クリステン・パーフがアルバム・リリースのたった2か月後に亡くならなければ?そんな不利な状況だったにも関わらず、『Live Through This』は今でも90年代の最もアイコニックなオルタナティヴ・ロック・アルバムとして存在している。

非常にメロディックだがパンクの筋が通った『Live Through This』は、ホールとそのフロントウーマン、コートニー・ラヴは敵対するタブロイド紙のネタ以外にも世の中に貢献できるものがあると証明した。現在でもそのシーン、文化的な瞬間、そして全てをかけたサヴァイヴァルの生きる証なのだ。

ホールは1991年にリリースしたファースト・アルバム『Pretty On The Inside』である程度の地位を手に入れた。ドロドロに感覚を襲い、波のない無調のサウンドは、アルバムのプロデューサーであるソニック・ユースのキム・ゴードンの影響を映し出した。しかしそのリリースから3年の間にバンドへの注目度は著しく上がった。コートニー・ラヴとカート・コバーンは結婚して子供を出産し、グランジを代表するカップルとなった。物議を醸したヴァニティ・フェア誌での記事(コートニー・ラヴが妊娠しているお腹をあらわにした写真が掲載され、雑誌は“2人はジョン&ヨーコのグランジ版?それとも次のシド&ナンシー?”と問いかけた)が世に出て、ホールの次のアルバムは争奪戦となった。結局ホールはニルヴァーナのレーベルであるゲフィンと契約し、メジャー・レーベルでのデビューを飾るべくラインナップを変えてレコーディングを開始した。

Hole – Miss World

 

コートニー・ラヴは恥ずかしげもなく野心に燃え、自分を安売りするなどという90年代の些細な心配事に捕らわれることはなかった。『Live Through This』では、ホールは真っ当なバンドだと証明する商業的なアルバムを作ろうとした。ホールのオリジナルのドラマーであるキャロライン・ルーが脱退し、コートニー・ラヴとともにバンドを始めたエリック・アーランドソンは、カート・コバーンの勧めでパティー・シュメルと、切り札となったクリステン・パーフを加入させ、バンドに新たなエネルギーと磨きをもたらした。

ショーン・スレイドとポール・Q・コルデリー(レディオヘッドの『Pablo Honey』をプロデュース)をプロデューサーに迎え、『Live Through This』はバンドのありのままの根底にあるエネルギーを捉えながら、コーダ、コーラス、無数のフック、そしてコートニー・ラヴの感情的などう猛さが一体となり、きちんと構成されたアルバムであった。もちろん影響を受けてきたものは明らかにあったが(ピクシーズ、ジョイ・ディヴィジョン)、バンドは80年代のポスト・パンクから進化し、38分間のアンセムとなる完璧なパンクを生み出した。

激しいオープニグ曲「Violet」から、コートニー・ラヴは少しも遠慮していないことがわかる。アルバムで最も好きなコーラスを簡単にあげられる人もいるが、『Live Through This』で最も印象に残るのは、スクリームしているチャント、パティー・シュメルのどう猛なドラム、そしてコートニー・ラヴという炎に油を注ぐことを歓迎している様だ。シング・アロングするのではなく、スクリーム・アロングするのだ。

Hole – Violet

 

もともと1991年に書かれた「Violet」はアルバムのオープニング曲になる前から、グループがツアーをしていくにつれてライヴの代表曲となっていた。コートニー・ラヴ自身の様に、この曲は矛盾にあふれ、恋愛における性的に搾取される一面を非難すると同時に、それが自身に起こることを示唆している:“Well they get what they want, and they never want it again/Go on, take everything, take everything, I want you to.(ヤツらは欲しがるものを手に入れるから、もう二度と欲しいと思わない/どうぞ、全部持っていって、そうして欲しいの)”。壊れることのないドラマティックなテンションを築き上げるためにコートニー・ラヴがいとも簡単に被害者から攻撃する側へと移り変わるのと同様に、「Violet」はアルバム全体のトーンを方向付け、親密で静かなヴァースから激しいコーラスへと誘導する。

「Miss World」とそれに続く全ての他の楽曲で、コートニー・ラヴはリスナーを直接相手にし、必ずしもこれらの全ての問題の加害者としてはいないが、男性優位な社会の病への加担者として扱っている。曲はソフトでメロディックに始まるが、コーラスが爆発するとおまじないのように繰り返される。『Live Through This』のアルバム・カヴァーもそのテーマを現し(欲望、屈辱、名声とサヴァイヴァル)、まるでコートニー・ラヴの代わりとも言える乱れたミス・ワールドのビューティー・クイーンが、王冠が必ずしも栄光をもたらすわけではないことに気がつくのだ。

コートニー・ラヴのプレゼンテーションのあらゆる部分、意図的にメイクをにじませた顔から破けたベビードールのドレスまで、全てが彼女の音楽の延長だった。「Doll Parts」の歌詞やイメージ、ビデオのどれもが、いかに社会が女性を物として捉えているか、そして自身も同じようにそれを目指しているという両面があるということをコートニー・ラヴは認めている。「Violet」も「Doll Parts」も共に初期の時期のデモであり、コートニー・ラヴのソングライターとしての成熟、そしてアーランドソンの的をえたアレンジでアルバムの成功へと導いた。

Hole – Doll Parts

 

アルバム・タイトルは「Asking For It」の歌詞から取っており、それは性的暴行事件において頻繁に使われる反論を引用している。明確に述べられたことはないが、この曲は1991年にマッドハニーとツアーを行なっていた際にコートニー・ラヴがステージ・ダイヴをし、その後に集団に暴行を受けた事件を元にしていると言われている。こういう曲が、コートニー・ラヴがおそらく制作当初に意図していたよりもずっと自伝的だと思われる要素のひとつだ。「I Think That I Would Die」も同様で、彼女の子供が奪われたことに言及している。だから余計に、アルバムで最も非難しているのがヤング・マーブル・ジャイアンツの「Credit In The Straight World」のカヴァーであるのは興味深く、ここでは批評家やインディ・ロックの気取った人へと矛先が向けられる。グレゴリオ調のチャントで始まり、エリック・アーランドソンとクリステン・パーフによるデュアル・ベースとギターの猛攻撃が始まる。

隣の地で起こっていたライオット・ガール・ムーヴメントとよく比較されがちだったが、コートニー・ラヴは、ビキニ・キル、スリーター・キニーとブラットモービルが率いるワシントンのシーンとは無縁だとし、最後の曲「Rock Star」では“Well I went to school in Olympia/Everyone’s the same/And so are you, in Olympia(私はオリンピアの学校に通った/みんな同じよ/オリンピアにいるあなたもね)”と歌っている。また、コートニー・ラヴの女性のグループは「She Walks On Me」でもターゲットとなり、すでに確立されているどのシーンからもホールを遠ざけた。反抗的で嘲る口調でありながらも、「Rock Star」はアルバム『Live Through This』の中でも希望が持てる瞬間が含まれている。ちょうど曲がフェードアウトするかのように思えた時に、コートニー・ラヴは“No, we’re not done(いや、まだ終わってないわ)”と主張する。

『Live Through This』はある意味カタルシスもたらすアルバムだ。コートニー・ラヴのトラウマを体験するが、同時に彼女が被害者と決めつけられることを拒み、その向こう岸にたどり着く決意も感じ取ることができる。その元となっている題材はカオスかもしれないが、結果的に出来上がったアルバムは90年代のオルタナティヴ・ロックの核であり原点であると言える。それにアティチュードと大胆さを兼ね合わせ、その最高峰たちと張り合ってレイジできる女性のロック・スターが生まれたのだ。

『Live Through This』


By Laura Stavropoulos


Share this story
Share
日本版uDiscoverSNSをフォローして最新情報をGET!!

uDiscover store

Click to comment

Leave a Reply

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Don't Miss