ジョー・ウォルシュ、キャリアの総まとめ1975年のライヴ盤『You Can’t Argue With A Sick Mind』

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1976年4月10日、ジョー・ウォルシュはライヴ・アルバム『You Can’t Argue With A Sick Mind』を本国アメリカのヒット・チャートにランク入りさせた。ただしそのとき彼は、ソロ・アーティストとしての活動を一時棚上げにしてイーグルスのメンバーになろうとしていた。それまで彼は、3枚のソロ・スタジオ・アルバムを発表。さらにジェイムス・ギャングやバーンストームといったバンドでも活躍していた。そうした活動を通してファンになった人たちにとって、このライヴ・アルバムはそれまでのジョー・ウォルシュのキャリアの総まとめと言える内容になっていた。

このアルバムに収められていたのは、前年の11月にサンフランシスコ市民公会堂でジョー・ウォルシュが行ったライヴの模様だった。この一夜限りのライヴは、アメリカの大物業界人ドン・カーシュナーが企画した人気テレビ・シリーズ『Rock Concert』(1973~1981年に全米で放送)のために企画された。

ジョー・ウォルシュにとって、1975年は多忙な年だった。アメリカではアルバム『So What』でゴールド・ディスクを獲得し、この年の前半は大規模なツアーをこなしていた。6月には、かの有名なウェンブリー・スタジアムでもコンサートに出演している。このコンサートでは、エルトン・ジョンが新作『Captain Fantastic and the Brown Dirt Cowboy』の全曲をライヴで初めて披露し、賛否両論を呼んだ。しかしほとんどの人の回想では、そのエルトン・ジョンよりもビーチ・ボーイズの懐メロ・ショー的なステージのほうが人気をさらっていたようだ。このコンサートには、ブリティッシュ・ロックの変わり種、スタックリッジも参加していた。

ジョー・ウォルシュのサンタモニカ公演での演目には、ジェイムス・ギャング時代の曲「Walk Away」も含まれていた。これはジェイムス・ギャングのシングルの中で最もヒットした曲だった(グループの1971年のアルバム『Thirds』に収録)。またこのライヴでは「Turn To Stone」も披露されている。この曲がレコード化されるのはこれが3度目だった(オリジナル・ヴァージョンはバーンストームのアルバムで発表。その後『So What』でもセルフ・カヴァー)。このライヴ・アルバムでは、やはり『So What』に収録されていた「Help Me Through The Night」もとり上げられている。ここにはまもなく同じバンドのメンバーとなるドン・ヘンリー、ドン・フェルダー、グレン・フライがヴォーカルでゲスト参加しており、ジョー・ウォルシュがまもなく新しい方向に進むことがうかがえた。

このライヴ盤『You Can’t Argue With A Sick Mind』では、ジョー・ウォルシュのソロ作品の中でおそらく最も有名な曲「Rocky Mountain Way」も演奏されている。これは、もともと1973年のソロ・アルバム『The Smoker You Drink, The Player You Get(邦題: ジョー・ウォルシュ・セカンド)』に収録されていたナンバーだった。『You Can’t Argue With A Sick Mind』はアメリカのアルバム・チャートで最高位20位をマーク。またこのアルバムでジョー・ウォルシュは初めてイギリスでもチャート入りを果たし、同国のチャートで最高位28位というまずまずの成績を残した。

その後、ジョー・ウォルシュはイーグルスに参加し大ベストセラー『Hotel California』を作り上げる。とはいえそれからまもなく、彼は『But Seriously, Folks(邦題: ロスからの蒼い風)』を大ヒットさせ、バンド活動と並行してソロでも活躍できることを証明してみせた。

Written by Paul Sexton



ジョー・ウォルシュ『You Can’t Argue With A Sick Mind』

  

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