ゲイリー・ムーア『Still Got The Blues』:原点回帰を果たしたアルバム
ブルース・ロック・ギターの天才児ゲイリー・ムーア(Gary Moore)は輝かしいキャリアを歩んだが、彼の人生はあまりにも早く終わりを迎えた。それでも、その短いキャリアの中で3枚のアルバムが全英チャートのトップ10に到達している。その大ヒット作3枚の中には『Still Got The Blues』が含まれているはずだ……と、ほとんどの人はためらいもなく思うだろう。
しかし意外なことに、事実は異なっている。それでもなお、1990年3月26日にリリースしたこのアルバムによって、アイルランド出身の名ギタリスト、ゲイリー・ムーアは新たなファン層を獲得することとなった。
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豪華ゲスト・ミュージシャンが参加
『Still Got The Blues』はその時点のムーアのキャリアにおいては断トツのベストセラーとなり、アメリカでは彼の作品の中で唯一のゴールド・ディスク認定作となっている。このアルバムには数々のゲスト・ミュージシャンが参加しており、ジョージ・ハリスンもそのひとりだった。さらにはムーアが敬愛するアメリカのブルース・ギタリスト、アルバート・キングとアルバート・コリンズも参加者の中に名を連ねている。
このアルバムはヴァージン・レーベルから発売され、ムーア自身がイアン・テイラーと共同でプロデュースを手掛けていた。ここでムーアは、既に20年以上のキャリアを持つベテランであったにもかかわらず、従来のハード・ロック的なサウンドから離れている。そして、よりメロディアスでブルース色の強い音楽へと転向した。彼がそうした方向に舵を切るのは、これが初めてのことだった。ファンもそんな姿勢に共感を示し、1990年代を通じてムーアは新たな成功を切り開くことになった。
このアルバムにはムーアの新曲(タイトル曲や「Moving On」や「King Of The Blues」など)が収められていたが、それに加えて彼が尊敬するミュージシャンたちのレパートリー(オーティス・ラッシュの「All Your Love」やジミー・ロジャースの「Walking By Myself」など)がカヴァーされていた。
さらには、ジョージが書き下ろした新曲「That Kind Of Woman」も取り上げられている(この曲には作者本人もヴォーカルとギターで参加している)。ちなみに初期フリートウッド・マックの人気曲「Stop Messin’Around」もカヴァーされているが、これはある意味、その後の活動の下準備にもなっていた(1995年、ムーアは元フリートウッド・マックのピーター・グリーンに捧げるトリビュート・アルバム『Blues For Greeny』をリリースしている)。
300万人のブルースファンが間違っているはずがない
『Still Got The Blues』は全英チャートで最高13位を記録したが、その後も安定した売れ行きを保ち、リリースから4年半後の1994年9月にプラチナ・ディスクに認定された。また、オーストラリアやドイツといった国でもプラチナ認定されており、最終的には全世界での売上枚数が約300万枚に達している。ムーアは、1992年に『Q』誌のインタビューでこのアルバムについてそのように語っている。
「あのアメリカっぽい洗練された音作りのクリーン・ギター・サウンドを真似しようとしたわけじゃない。もっと荒削りで元気いっぱいのものをやりたかったんだ。自分では、そういうものをうまく作れたと思う。まるで原点に戻って、一からやり直すような気分だった。自分の力でできる精一杯の作品だったんだ」
Written By Paul Sexton
ゲイリー・ムーア『Still Got The Blues』
1990年3月26日発売
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