アウル・シティー「Fireflies」:不眠との闘いから生まれた幻想的な全米No.1ヒット

Published on

Photo: Imeh Akpanudosen/Getty Images

ささやかな始まりから、世界を魅了する楽曲が生まれた。

アウル・シティー(Owl City)の2009年の「Fireflies」は、世界中で愛される全米No.1ヒットであり、さらにはダイヤモンド認定を獲得するほどの成功を収めた。しかし、その誕生に壮大な野心や綿密なヒット戦略があったわけではない。むしろ、ごく自然な創作の中から生まれた楽曲だったのである。

<関連記事>
カーリー・レイ・ジェプセン、新作アルバム『Day and Night』9月発売
FIFAワールドカップ2026公式アルバム発売。ストーンズ、LISAら45組が参加

2008年当時、アウル・シティーことアダム・ヤングはまだ21歳で、ミネソタ州オワトナにある両親の家の地下室で暮らしていた。当時の彼にとって音楽は、あくまでも趣味だった。

「本当に純粋な楽しみとしてやっていただけなんだ。ビデオゲームをしたり、スケートボードをしたりするのと、まったく同じ感覚でね」

とアダムは語っている。レコーディングからプロデュースまで、すべてアダム自身の手で行い完成させた楽曲は、2008年のデビュー・アルバム『Maybe I’m Dreaming』をはじめ、自主制作作品として発表された。

「Fireflies」のインスピレーション

トラックリストには入らなかったものの、「Fireflies」が生まれたのは、その最初のアルバムを制作していた時期だった。当時のアダムは倉庫で夜勤バイトをしており、仕事から帰宅した後に眠りつくことができず苦しんでいた。「不眠と闘っている自分に気づいた。それが実際、“Fireflies”のインスピレーションの大部分だった」と彼は振り返っている。ベッドの中で“眠れないことにいら立ちながら時間を無駄にする”代わりに、彼はその時間を創作へと向けた。

「眠れない時に頭の中で思い描いていたことを書き留めていったんだ。そうした空想や思索が、そのまま“Fireflies”の歌詞になった」

眠れぬ夜の幻想的なイメージから生まれた「Fireflies」は、やがてアウル・シティーを代表する一曲となり、世界的なヒットへとつながっていく。アダムが眠れない時に思い描いていた情景の一つが、ミネソタ州北部でのキャンプで目にした幻想的なホタルだった。この体験が、「Fireflies」の中心的なモチーフとなる。さらに、そのキャンプでは流星群も目撃しており、その光景はヤングの想像の中でホタルと重なり合い、ホタルが流れ星へと姿を変えるような幻想的なイメージとして楽曲全体に息づくことになった。

「Fireflies」は夢見心地な歌詞で知られているが、実は先に生まれたのはメロディだ。アダムはMicroKorgシンセサイザーを弾いて遊んでいるうちに、冒頭の印象的なフレーズを思いつく。イントロが形になると、そのメロディをループさせ、後からドラム、ベース、パッドなどのサウンドを重ねてアレンジを構築していった。そして最後に歌詞が加えられた。

まずは意味を持たない言葉(ハミングや仮歌のようなフレーズ)を乗せ、そこから頭に浮かぶイメージを次々と言葉にしていく意識の流れ(ストリーム・オブ・コンシャスネス)の手法で、現在の幻想的なリリックへと磨き上げられていった。

 

DIYのプロダクション

当時のアダム・ヤングは、音楽業界の常識や「ヒット曲とは何か」といった知識にとらわれることなく、純粋に自分がいいと思えるものを追い求めて「Fireflies」を書き上げた。彼は、同曲の制作を次のように振り返っている。

「自分が“これはいいな”と思える曲を書いただけなんだ。完成まで2〜3日くらいだったと思う。オーディオ・エンジニアリングについては本当に何も分かっていなかった。だから、ボタンを押したりツマミを回したりしていただけで、それぞれが何をするものなのかも理解していなかった。“Fireflies”の制作は、本当にローファイで、ささやかなプロセスだったんだ。あんな形で曲を書いて録音したものが、ここまで大きな作品につながったというのは、今でも本当に驚いているよ」

今日に至るまで、この曲はアウル・シティーのカタログとライヴのセットリストにおける人気曲であり続けている。世界各地の公演での反応は、この曲がファンの人生にどれほど大きな影響を与えてきたのかという点で、今もアダムを驚かせている。

「音楽が、距離や隔たり、文化や言語、さらには時間さえも超越する力を持っていることに、ただただ驚かされ、強く心を動かされる」と彼は説明する。同曲が米国レコード協会(RIAA)からダイヤモンド認定を受けた後、アダム・ヤングはこの曲への現在の思いをこう語っている。

「10年以上前に“Fireflies”がリリースされ、1,000万回再生を達成し、ダイヤモンド認定を受けた。そんなことが実現するなんて、当時は想像すらしていなかったから、今でも驚くばかりだ。でも、結局のところ、僕が感じているのは、ただただ心から感謝しているということなんだ」

Written By Rhian Daly


アウル・シティ『Ocean Eyes』
2009年7月14日発売
CD / iTunes Store / Apple Music / Spotify / Amazon Music / YouTube Music



 

Don't Miss

{"vars":{"account":"UA-90870517-1"},"triggers":{"trackPageview":{"on":"visible","request":"pageview"}}}
モバイルバージョンを終了