最も長く全英1位にいたエルトン・ジョンのスタジオ・アルバム『Don’t Shoot Me I’m Only The Piano Player(ピアニストを撃つな!)』

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エルトン・ジョンが残してきたスタジオ・アルバムの中で、イギリスのチャートの首位に最も長いあいだ留まった作品はどれでしょう?(ここでは対象をオリジナル・アルバムに限定しており、したがって1974年のベスト・アルバム『Greatest Hits』はこれに含まない)

驚かれる方もいるかもしれないが、その答えは『Goodbye Yellow Brick Road(邦題:黄昏のレンガ路)』ではない。さらに言えば、それ以降の傑作と見做されているアルバムでもない。正解は、エルトン・ジョンが初めてイギリスのアルバム・チャートのトップに送り込んだ作品。すなわち1973年2月10日に1位をマークした『Don’t Shoot Me I’m Only The Piano Player(邦題:ピアニストを撃つな!)』である。

この6枚目のスタジオ・アルバムを出したのは、彼がエルトン・ジョンというステージ・ネームで活動し始めてから5年が経過したころだった。彼の作品の中で、イギリスのアルバム・チャートに初めて登場したのは、1971年の『Tumbleweed Connection(邦題:エルトン・ジョン3)』で、この作品はチャート入り3週目に最高位6位まで達している。その次の年には、『Honky Chateau』がもう少しで首位を獲得するところまで行った。こちらは初登場2位を記録したが、首位にはエルトン・ジョンの友人マーク・ボランのバンド、T・レックスの『Bolan Boogie』が居座っていた。

 

しかし『Don’t Shoot Me I’m Only The Piano Player』がリリースされたときは、もう誰もエルトン・ジョンを止められなかった。そこで大きな役割を果たしたのが、イギリスのシングル・チャートのトップ5に立て続けに送り込まれた大ヒット・シングル「Crocodile Rock」と「Daniel」である(前者は1972年秋に、後者はアルバムの発表同じタイミングでリリース)。これら2曲を収録したアルバム『Don’t Shoot Me…』のレコーディングは、前作に続いてフランスのシャトー・デルヴィーユで行われている。このアルバムには、先の2曲のほかにも「Teacher I Need You(邦題:僕には先生が必要)」や「Elderberry Wine(邦題:にわとこのワイン)」といった人気の高いトラックも収録されている。


『Don’t Shoot Me…』はイギリスのチャートで、初登場時にいきなり首位に到達し、前の週までそこにいたスレイドのアルバム『Slayed?』を蹴落としている(ちなみにこの週のトップ5には、『Slayed?』のほか、デヴィッド・ボウイの『The Rise and Fall of Ziggy Stardust』も入っていた)。『Don’t Shoot Me…』は6週間も首位に留まったあと、アリス・クーパーの『Billion Dollar Babies』にそのポジションを明け渡している。

エルトン・ジョンのスタジオ・アルバムの中では、この6週間が1位獲得期間の最長記録だが、他のアルバムだと、『Sleeping With The Past』が5週間、『Goodbye Yellow Brick Road』『Caribou』『Very Best Of Elton John』がそれぞれ2週間、2012年にプナウとコラボレートしたリミックス・アルバム『Good Morning To The Night』が1週間となっている。ただし1974年にリリースされたベスト・アルバム『Greatest Hits』は、この記録をさらに上回り、11週に亘って首位のポジションをキープするという目覚ましい記録を打ち立てている。

Written by Paul Sexton



エルトン・ジョン『Don’t Shoot Me I’m Only The Piano Player』

  

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