ドキュメンタリー『ブライアン・ウィルソン/約束の旅路』監督が語る制作秘話

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Ⓒ2021TEXAS PET SOUNDS PRODUCTIONS, LLC

2022年8月12日から日本劇場公開となったビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンに密着した初めてのドキュメンタリー『ブライアン・ウィルソン/約束の旅路』。この作品の監督を務めたブレント・ウィルソンによるオフィシャルインタビューを掲載します。

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――ブライアン・ウィルソンのドキュメンタリーを撮ろうと思ったきっかけを教えて下さい。

長い間、ブライアン・ウィルソン、ビーチ・ボーイズファンではあったんです。たくさんのドキュメンタリーも観て、本もたくさん読んできました。それでもブライアン・ウィルソンがどういう人間かは分からなかったんです。それで自分がそれをやるべき人間だと思いました。そこから本物のブライアン・ウィルソンをどういうふうに見つけていくかっていう道をたどることになったんです。

まず、『スピリチュアルハーモニー』というドキュメンタリーを作りました。ブライアン・ウィルソンも出演してくれています。1950年代のドゥーワップのミュージックについてのものです。その映画を作る過程において、ブライアンにインタビューすることができました。そして次のプロジェクトを考えた時に、次はブライアン・ウィルソンはどうだろうとなったわけです。

すでに彼とのつながりがあったから、アイディアを持ってアプローチをかけました。そして素晴らしいことにブライアンは「イエス」と言ってくれました。そして自分の音楽のヒーローの映画を作ることになりました。

――はじめは通常のインタビューで構成しようと考えていたと伺いましたが、ブライアンとジェイソン・ファインのドライブ形式での撮影に切り替えた理由を教えてください。

最初は今の状態とは全く違う方法で撮ろうとしましたが、必然というか流れでドライブ形式になりました。私一人でインタビューを3度試みましが、それは全部散々たるものでした。それで私は失敗した、キャリアも終わった、もう二度と映画を作れないんじゃないかとまで思いました。

でもローリングストーンの編集者のジェイソン・ファインに連絡したらどうかとブライアンのマネージャーから私に提案してくれたんです。ジェイソンは何度もインタビューをしてきているし、大事な友人でもある。ブライアンをインタビューするにあたってジェイソンにそのプロセスについて聞いたら、ブライアンをそのまま車に乗せてLA中をドライブしながらその間に質問をするというものでした。それを聞いて素晴らしい映画になりそうだと予感しました。自分自身が観たいような映画になるんじゃないかと思ったんです。

ブライアンが音楽界の王子で、LAの世界に生きている、まして友達と一緒に音楽を聴きながら車でドライブをするというものですよね。ジェイソンにカメラに映る側はどうだろうと相談したらイエスと言ってくれた。そういういきさつがありました。

――今回の撮影で大変だったことは?

私が望んだのはすぐカメラの存在を忘れてくれるということでした。小さいカメラが車の中に色々仕掛けられているんですけど、車が走り出したら、時間を忘れてカメラの存在も忘れてくれることも願ってました。ただ二人のバディが街を走っているって感じですね。

運がいいことにそういうことになりました。その車の後ろを走っている車に僕は乗っていました。彼らが何を話しているかは僕は聞こえている状態です。後ろからついて行って会話を聞きながら、たまにジェイソンにテキストを送って質問を投げたりしていました。ジェイソンはとても大変な作業が待っていて、とても大切な荷物を運びながら、私のテキストにも応えて、さらに音楽を選びながらかけて、そして運転をしているというタスクが山盛りだったんです。なのでジェイソンは事故を起こしてしまうんじゃないかと本気で怖がっていましたね。幸運なことに彼は上手くやってくれました。ブライアンもすごくわかりにくい曲をリクエストしたりして、ジェイソンはとても大変だったと思います。

――今回、撮影には3年間、編集に9か月かかったと伺いました。映画に映し出されていないブライアン・ウィルソンはどのような様子だったのでしょうか?

十代のころに家族とよく行っていたメキシカンのレストランがあってブライアンも「いいね!」って言ってくれてたので、そこに行こうとブライアンを迎えに行ったらやっぱり行かないってなって、その店は5回くらい予約しました。毎日のようにそういうことが起きるわけです。

(ブライアンは)全く予想がつかないタイプの人間でした。良いことでもあるし、悪いことでもあるけれど、良い意味で裏切ってくれるということでもある。弟のソロアルバムを作るというシーンがあるかと思うのですが、デニスがレコーディングした『Pacific Ocean Blue』ですが、ブライアンは一度も聞いたことが無かった。彼が聞きたいと言ってくれたことに僕とジェイソンはとても驚きました。このように良い意味でのサプライズが多かったです。

――ビーチ・ボーイズやブライアン・ウィルソンの個人的な写真やホームビデオなども多数登場しておりましたが、これは本人から提供されたものなのでしょうか?

ブライアンの写真とかプライベートなところまでアクセスする権利を貰えて、すごく光栄でした。結婚式の映像を見せてくれないか?という質問に対してイエスと言ってくれて、ブライアンの妻のミランダも了承してくれました。誓いを立てるところで失敗をする、言いよどんでしまうというのを見つけました。その辺は本当に普通の男性だと思いましたね。そういった部分も映画の中に入れることができて本当に嬉しいです。それはブライアンと家族から信頼を得た結果で、とてもありがたく思います。

――撮影を通して、改めてブライアン・ウィルソンという人物はどのような人だと思いますか?

ブライアンの人間らしい面とレジェンドの面を両方発見できました。彼がどれだけユーモアのセンスがあり、仲間たちと一緒にいるとき、バンドメンバーやクルーと一緒にいるときなどはとても楽しかったし、その一面を見れたことはとても嬉しかったです。

アスリートとしても素晴らしいというのも驚きました。オタクっぽい感じでレコードばっかり聞いてるような高校時代を過ごしているっていうイメージがあったのですが、フットボールチームのクウォーターバックでもあったし、野球のチームではセンターを守っていた。たくさん友達もいて、本当に普通のティーンエージャーで、野球をやりたいという夢があった。どれだけ普通だったかということが発見でした。

――映画の見所や、ファンへメッセージをください

人間としての本当のブライアンをどう捉えているかっていうところ。そしてブライアン・ウィルソンが人としてどれだけ強いかも観てもらいたいです。

Written By uDiscover Team


『ブライアン・ウィルソン/約束の旅路』

2022年8月12日より、TOHOシネマズ シャンテ、渋谷ホワイトシネクイントほかにて全国公開

配給:パルコ ユニバーサル映画

公式HP


60周年記念でベスト盤がリマスターで登場
今回初登場となる新ミックスは全13曲
ビーチ・ボーイズ『Sounds Of Summer (Remastered)』
2022年6月17日発売
日本盤3CD / 日本盤1CD / 6LP / 2LP



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