「『Abbey Road』さえも羨ましがる」と評されたビーチ・ボーイズの復活作『Surf’s Up』

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1970年代に入る頃には、ビーチ・ボーイズがそれまで曲の中で描いていた「永遠に続きそうなカリフォルニアのサーフィン」、「車」、「ガールズがいるユートピア」とは異なる世の中になっていた。しかしビーチ・ボーイズは再び、社会的に関連性があり、かつ初期の栄光を思い起こさせる音楽を作るというチャレンジを見事に乗り越えた。1971年、ビーチ・ボーイズは名作アルバム『Surf’s Up』で70年代の新たなサーフィン・サウンドを世に披露したのだ。

ビーチ・ボーイズのキャリアの中でも素晴らしいランドマークとなったこのアルバムは1971年8月30日にリリースされたが、その当時の彼らは商業的な成功からは少し離れていた。『Surf’s Up』の発売の12か月前にリリースされたアルバム『Sunflower』が全米チャートにいたのはたった4週間、しかも最高で151位という記録しか達成できなかった。グループは1968年の「Do It Again」以来、全米チャートでトップ20入りした曲もなかった(「Do It Again」は全英チャートではベストセラーだったが)。

この新たなプロジェクトは、自身のレーベルであるブラザー・レーベルのためにバンド自らがプロデュースし、その舵取りで船は再び正しい方向に向かっていた。また、新しいマネジャーのジャック・ライリーと組み、彼の激励の元、多様性のある強力なソングライティングのグループになった。

『Surf’s Up』は、アルバムの終盤に収録されているブライアン・ウィルソンの見事なダブル・ヘッダー、「’Til I Die」とヴァン・ダイク・パークスとのコラボレーションで、不思議な歌詞と感動的なハーモニー溢れるタイトル・トラックが印象深い。そして、それと同じぐらいに注目すべきは、複数のライティング・チームがそれぞれに素晴らしい作品で貢献したことだ。

マイク・ラヴとアル・ジャーディンがオープニング曲「Don’t Go Near The Water」を作り、その歌詞は時勢に先駆けて公害に反対した内容だった。カール・ウィルソンとジャック・ライリーは「Long Promised Road」を完成させ、カール・ウィルソンの甘い声が自身の「Feel Flows」をリードした。アル・ジャーディンとゲイリー・ウィンフリーは短いがぴったりな「Lookin’ At Tomorrow (A Welfare Song)」を、そしてこのペアとブライアン・ウィルソンとで「Take A Load Off Your Feet」を制作した。

ブルース・ジョンストンの貢献は見事な「Disney Girls (1957)」で、ブライアン・ウィルソンとジャック・ライリーは悲しげな「A Day In The Life Of A Tree」を制作し、ジャック・ライリーはこの曲で歌も披露している。さらにマイク・ラヴはジェリー・リーバー&マイク・ストーラーの「Riot In Cell Block No.9」を自身で解釈し「Student Demonstration Time」と題して、当時の社会的状況に合わせて歌った。

デニス・ウィルソンの役割がこの作品では減っているようだが、その理由は彼自身がソロの制作をしていたこと、そして、仲間内の争いを起こさないためでもあり、このアルバムがウィルソン兄弟だけの作品で埋め尽くされることを避けたのだ。

『Surf’s Up』は、ビーチ・ボーイズの作品で最も環境について予見したアルバムであり、メディアもそれを称賛した。「‘Don’t Go Near The Water’は、現在のロックにおけるエコロジー旋風で最高の曲だ」とタイム誌は述べた。さらに、リチャード・ウィリアムズはメロディ・メーカー誌で「突如、ビーチ・ボーイズはオシャレに復活し、最近までの彼らについて書かれ、言われてきたことをまさに体現したアルバムをプロデュースした」と付け加えた。

アルバムは全米29位を記録し、1967年の『Wild Honey』以来の好成績を残し、イギリスでは15位を達成。以降、ローリング・ストーン誌の ‘500 Greatest Albums Of All Time’でふさわしい位置を射止めた。ビーチ・ボーイズ全員がこのアルバムを本物の名作と考えていなくても、本作はタイム誌のレヴュアーにブライアン・ウィルソンの音楽についてこうまで言わせた「高くそびえる、半宗教的なヴォーカルと楽器の味に溢れ、ザ・ビートルズの『Abbey Road』さえも羨ましがるだろう」。

Written by Paul Sexton



ビーチ・ボーイズ『Surf’s Up』     

 


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