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ベスト・アレンジャー20選 : 舞台裏でアレンジを支えてきた20世紀の編曲家たち【動画付】

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それがどんな曲だとしても、新たなアレンジを施すことはできる。たとえばフランツ・リストは自分の曲をピアノに編曲するだけでなく、バッハのオルガン音楽をも変身させた。そして、ジャズ、ポップス、ロックの優れたアレンジャーたちは世界的な名声を獲得している。 そうした例としてはクインシー・ジョーンズとネルソン・リドルがすぐに思い浮かぶ。とはいえ現代のアレンジャーの巨匠は、このふたりだけに限らず、数多く存在する。

その曲の演奏の中でどんな楽器を使うのか、どの音符を繰り返すのか、どのセクションをどんな順番で繰り返すのか、アレンジャーはそうしたことを決めることができる。アレンジャーが楽器の種類やテンポ、キー、拍子をほんの少し変えるだけで、最終的なレコードのセールスには大きな違いが出てくる可能性があるのだ。

今回は、20世紀にポピュラーミュージックの世界で活躍した名アレンジャーを20人取り上げよう。このリストにふさわしい人を選んでいけば、人数はあっという間に三桁に達してしまう。そのため、ここでは敢えて20人だけに絞ってあるが、すばらしいアレンジャーは他にもたくさんいる。

たとえば、ハーブ・アルパート、ブッカー・T・ジョーンズ、マイク・ポスト、ジャック・ニッチェ、ジミー・ハスケル、HB・バーナム、ハロルド・R・バティスト、ナイル・ロジャース、ピー・ウィー・エリス、ボビー・マーティン、ジェレミー・ルボック、ニック・イングマン、アイザック・ヘイズ、ニール・ヘフティ、ドン・セベスキー、ミシェル・ルグラン、アンドレ・プレヴィン、クリスティアン・マクブライド……などなど。アレンジという仕事は時代の流れと共にどんどん移り変わってきた。現在では、ラリー・ゴールドがヒップホップのレコードでストリングスのアレンジャーの第一人者となっている。

今回のリストでは、生まれた年が早い順にすばらしいアレンジャーを紹介していこう。みなさんのお気に入りのアレンジャーの名前は下のリストに含まれているだろうか? もし選ぶべき人が漏れていると思われたなら、下のコメント欄に書き込んでいただきたい。

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1. メアリー・ルー・ウィリアムス (1910年~1981年)

20世紀を通して、アレンジャーという職業は基本的に男性アーティストに独占されてきた。しかしその中でも例外的に大活躍した女性がいた。ピアニスト/アレンジャー/コンポーザーとして活躍したメアリー・ルー・ウィリアムスである。

彼女の仕事は、音楽の歴史においてまばゆいほどの輝きを放っている。ウィリアムスは自らもすばらしい曲を何百曲も作ってきた。例えば「What’s Your Story Morning Glory」やディジー・ガレスピーがヒットさせた「In The Land Of Oo-Bla-Dee」などだ 。それに加え、彼女はデューク・エリントン、アール・ハインズ、キャブ・キャロウェイ、ベニー・グッドマンのアレンジも手がけて、スウィング時代に多大なる影響を及ぼした。

1954年のメロディ・メイカー誌に掲載されたウィリアムスのインタビューによれば、彼女のもとは最盛期には「毎週5曲から6曲」のアレンジの仕事が来ていたという。彼女は、ルイ・アームストロングなど当時の大人気バンドのアレンジを手掛け、アレンジャーのパイオニア的存在になった。

ウィリアムスは後に続く女性アレンジャー (たとえばアリス・コルトレーンなど) だけでなく、男性アレンジャーにも影響を与えている。エリントンは彼女のアレンジについて「時代を超えた高水準だった」とまで語っている。

お薦めのトラック : デューク・エリントン「Trumpets No End (Blue Skies)」

Trumpets No End (Blue Skies)

 

2. ギル・エヴァンス (1912年~1988年)

コンポーザー/ピアニスト/アレンジャーとして高名なギル・エヴァンスは、クロード・ソーンヒルのようなビッグ・バンド時代のスター、さらにはマイルス・デイヴィスやジェリー・マリガンといったビーバップ系のジャズ・ミュージシャンの諸作のアレンジを手がけた。そうした仕事ぶりによって、ジャズの世界ではアレンジャーの巨匠として賞賛されている。

彼のアレンジは非常に豊かなバラエティのオーケストラ編曲が特徴となっており、マイルスの一番良いところを引き出していた。マイルスは彼についてこう語っている。

「彼はどのメロディーもまったく無駄にしなかったし、どのフレーズもまったく無駄にしなかった」

「彼のオーケストレーションのテクスチャー、ポップ・ソングのアレンジは、まるでオリジナル・ナンバーを作曲しているかのようだった。やがて研究者たちも彼の仕事に気付くだろう。そして彼らは、彼の編曲をひとつひとつ分解して分析しなければならないだろう。彼の天才的な才能を知るには、そうした作業が必要になる」

ヴァーヴ・レーベルでは、ギルはギタリストのケニー・バレルや歌手のアストラッド・ジルベルトの作品のアレンジも手がけている。

・お薦めのトラック : アストラッド・ジルベルト「A Felicidade」

A Felicidade

 

3. ラッセル・ガルシア (1916年~2011年)

ラッセル・ガルシアは、アレンジの世界で卓越したキャリアを築いたあと、プロのアレンジャーを目指す人のために入門書を書いている。さらには指揮者や作曲家としての仕事でも有名であり、ハリウッドの映画業界や米西海岸の音楽シーンにおいてもかなりの影響力をもつ存在でもあった。

そんなガルシアは、ジュディ・ガーランド、ジュリー・ロンドン、オスカー・ピーターソン、メル・トーメなどの仕事を手掛けていた。さらにはルイ・アームストロング&エラ・フィッツジェラルドが1958年にレコーディングした名盤の誉れ高いアルバム『Porgy & Bess』でも、アレンジと指揮を担当している。

彼の特徴はトロンボーン4本を使ったバンド・アレンジで、特にアニタ・オデイのレコードでその技法が駆使されている。1950年代にはユニバーサル映画の契約アレンジャーとなり、チャーリー・チャップリンの1952年の名作映画『ライムライト』で音楽を監修した。

お薦めのトラック : ルイ・アームストロング&エラ・フィッツジェラルド「Summertime」

Ella Fitzgerald & Louis Armstrong – Summertime from Porgy and Bess

 

4. ビリー・メイ (1916年~2004年)

ビリー・メイは1950年代にキャピトル・レーベルの社内アレンジャーとなり、それ以来さまざまな分野で活躍した。たとえばアーサー・マレー・オーケストラのダンス・ナンバーをアレンジすることもあれば、ナット・キング・コールのロマンティックなバラードを手がけるようなこともあった。彼はフランク・シナトラのアルバム『Come Fly With Me』のアレンジと指揮を担当し、その手腕を世界中の音楽ファンに知らしめた結果、ジャズの世界で引く手あまたのアレンジャーとなったのだった。

その後、メイはビング・クロスビー、エラ・フィッツジェラルド、ペギー・リーといったアーティストと組んでいる。また映画音楽の作曲や編曲といった分野でも活躍し、1960年前後に放送されたABCのドラマ『裸の町』や1974年の映画『フロント・ページ』やサウンドトラックを担当している。

お薦めのトラック : ナット・キング・コール「Walking My Baby Back Home」

Walkin' My Baby Back Home (Remastered)

 

5. デイヴ・バーソロミュー (1918年~2019年)

トランペット奏者/バンドリーダー/プロデューサーとして活動したデイヴ・バーソロミューは、2019年6月に100歳で亡くなったが、1940年代後期から1950年代前期にかけて、黎明期にあったロックン・ロールの発展を陰で支えた人物こそがバーソロミューであった。ファッツ・ドミノは1957年のインタビューで彼の功績を以下のような言葉で賞賛している。

「昔は”ロックン・ロール”という呼び名はなかったけれど、俺たちはこういう音楽をずっと演奏していた。こういう音楽を生み出す時に多大なる力を発揮したのがデイヴ・バーソロミューだったんだよ」

またピアニスト券歌手のマック・レベナック (すなわちドクター・ジョン) も、バーソロミューはシンプルなコードのメロディーに小編成のアレンジをつけるのが実に上手だったと述べている。

お薦めのトラック : ファッツ・ドミノ「Blueberry Hill」

Fats Domino — Blueberry Hill (1956)

 

6. ネルソン・リドル (1921年~1985年)

ネルソン・リドルは、フランク・シナトラの作品に洗練されたオーケストラ・アレンジを提供したことで有名で、アレンジの極意を教えてくれた師匠トミー・ドーシーの影響を常に自分の仕事に反映させていた。

彼は1950年代にキャピトル・レーベルの音楽ディレクターに就任。ナット・キング・コール、ペギー・リー、エラ・フィッツジェラルド、ジュディ・ガーランド、キリ・テ・カナワ、リンダ・ロンシュタットといった非常に幅広いアーティストたちのアレンジを手がけていた。また、1975年には映画『グレート・ギャツビー』の音楽でアカデミー賞を受賞している。

彼は、ビートルズから楽曲のアレンジを依頼されたこともあったが、その申し出を断っている。その件についてリンダ・ロンシュタットは1983年のインタビューで次のように語っている。

「断ったのは、それでは曲に対してフェアにならないという理由。確かに彼は正しかった」

お薦めのトラック : フランク・シナトラ「I’ve Got The World On A String」

I've Got The World On A String (Remastered 2000)

 

7. ティト・プエンテ (1923年~2000年)

ダイナミックなパーカッション奏者/バンド・リーダーとして知られるティト・プエンテは、”ラテン・ミュージックの王様”とも呼ばれている。そして彼はまた敏腕アレンジャーでもあった。彼がパーカッションだけでレコーディングした一連の画期的なアルバムを聴けば、そのアレンジャーとしての確かな腕前と豊かな想像力が確認できるはずだ。

彼はジャズ・ファンでもあり、ディジー・ガレスピーやソニー・スティットと共演したこともある。プエンテの1950年代中期のアルバム『Cuban Carnival』は、デューク・エリントン・スタイルのオーケストレーションとラテン・パーカッションを融合させた作品で、彼の名盤のひとつとして評価されている。

お薦めのトラック : ティト・プエンテ&ヒズ・オーケストラ「Mambo Buda」

Mambo Buda – TITO PUENTE

 

8. ヘンリー・マンシーニ (1924年~1994年)

アカデミー賞を4回受賞しているヘンリー・マンシーニは、ハリウッドの映画業界が誇る最高の作曲家のひとりで、彼が作った名曲のひとつにあの「The Pink Panther Theme」がある。そんな彼はすばらしいアレンジャーでもあった。

彼が最初に大成功を手にしたのは、ベニー・グッドマンやグレン・ミラーの編曲を手がけたときだ。マンシーニはどちらかといえば作曲家として賞賛されることが多く、中でも映画『ティファニーで朝食を』の主題歌となったバラード「Moon River」は有名だ。しかし彼のアレンジャーとしての手腕も見逃せない。映画『ハタリ!』のために書かれた「Baby Elephant Walk」のインストゥルメンタル・アレンジ・ヴァージョンは、1963年にグラミー賞を獲得している。

お薦めのトラック : ヘンリー・マンシーニ「Theme From ”Z”」

Henry Mancini – Theme from Z (Life Goes on)

 

9. ジョージ・マーティン (1926年~2016年)

ビートルズの作品のオーケストラ・アレンジの多くを手掛けたのがジョージ・マーティンである。彼は”5人目のビートルズ”と呼ばれることが多いが、その呼び名についての感想を尋ねられたとき、次のような控えめな答えを返している。

「あの4人は天才だった。私はその手直しをちょっと手伝っただけだよ」

彼が「Eleanor Rigby」に施したアレンジは、他のアレンジャーに多大なる影響を与えている。ジョージ・マーティンによれば、あの弦楽四重奏のアレンジはアメリカの映画音楽の作曲家バーナード・ハーマンの仕事をお手本にしていたとのことだ。

お薦めのトラック : ザ・ビートルズ「Eleanor Rigby」

The Beatles – Eleanor Rigby (From "Yellow Submarine")

 

10. バート・バカラック (1928年~)

多彩な才能を持つバート・バカラックは、作曲家としても実に500曲以上の作品を生み出し、66曲ものヒット曲をチャートのトップ40に送り込み、アカデミー賞も3回受賞している。

彼の作曲家としての活動 (特に作詞家のハル・デヴィッドとの共作) はよく知られているが、アレンジャーとしても華麗なサウンドを作り出していた。通称”バカラック・サウンド”と呼ばれるその音作りは、ディオンヌ・ワーウィックの「Walk On By」や「A House is Not a Home」といったヒット・シングルの土台となっている。

お薦めのトラック : ディオンヌ・ワーウィック)「Walk On By」

Walk on By

 

11. 秋吉敏子 (1929年~)

日本の秋吉敏子は、雑誌ダウンビートの読者による投票で最優秀作曲者部門と最優秀編曲者部門の両方を獲得した最初の女性となった。2007年には、彼女はNEAジャズ・マスターズ・アワードも受賞している。

ヴァーヴ・レーベルでソロ・アルバムを発表してきた秋吉は、グラミー賞の最優秀インストゥルメンタル編曲部門でも計4回のノミネートを受けている。21世紀に入るとさまざまな国の女性アレンジャーたちが活躍を繰り広げているが (たとえばノムフンド・アルヴァ、フローレンス・ウェルチ、アン・ダドリー、マゴス・エレーラなど) 、その先駆けとなったのが秋吉だった。

~ お薦めのトラック : 秋吉敏子 / ルー・タバキン・ビッグ・バンド「Remembering Bud」

 

12. オリヴァー・ネルソン (1932年~1975年)

オリヴァー・ネルソンは1975年に心臓発作により亡くなったとき、まだ43歳という若さだったが、プロデューサーやアレンジャーとしてすばらしい仕事を残してくれた。

もともとサックス奏者だったネルソンはデューク・エリントンやカウント・ベイシーと共演し、いくつかの映画やテレビ番組で音楽を担当している (『ガンファイターの最後』『鬼警部アイアンサイド 』『600万ドルの男』など) 。

彼は、ラロ・シフリンをはじめとする他の才能あるミュージシャンやアレンジャーと緊密に協力しながら仕事をしていた。ネルソンは当時引く手あまたのアレンジャーで、ルイ・アームストロング、ソニー・ロリンズ、キャノンボール・アダレイ、レイ・チャールズ、リンゴ・スター、ウェス・モンゴメリー、リー・モーガンといったアーティストたちのアルバムに参加している。またジミー・スミスがヴァーヴ・レーベルで吹き込んだアルバム10点でアレンジを担当している。

お薦めのトラック : ジミー・スミス「Slaughter On Tenth Avenue」

Slaughter On Tenth Avenue

 

13. デイヴ・グルーシン (1934年~)

デイヴ・グルーシンは、アカデミー賞受賞歴もある映画音楽の第一人者である (代表作は1967年の『卒業』など) 。そして作曲家 / アレンジャーとしてもすばらしい実績を残している。そんな彼は有名なジャズ・ミュージシャンであり、GRPレーベルの創設者でもあり、ブルーノート・レーベルでもアルバムを発表してきた。

グラミー賞は10度も受賞しており、2003年にはジェームス・テイラーによる「Mean Old Man」でのアレンジで受賞を果たしている。グルーシンは数多くの一流ミュージシャン/アレンジャーとも共演しており、その中にはチック・コリア、マイケル・ブレッカー、バリー・マニロウも含まれる。

お薦めのトラック : ミシェル・ファイファー「My Funny Valentine」

My Funny Valentine

 

14. クインシー・ジョーンズ (1938年~)

クインシー・ジョーンズのキャリアはおよそ70年以上にも及ぶ。その中で関わってきたミュージシャンの顔ぶれはまさに壮観だ。たとえばマイケル・ジャクソン、マイルス・デイヴィス、アレサ・フランクリン、ディジー・ガレスピー、キャノンボール・アダレイ、スティーヴィー・ワンダー、マーヴィン・ゲイ、ビリー・ホリデイ、カウント・ベイシー、エラ・フィッツジェラルド、ルイ・アームストロング、デューク・エリントン、レイ・チャールズ、P・ディディ……その他、枚挙に暇がない。

そんなクインシーは、フランク・シナトラお気に入りのプロデューサーでもあった。グラミー賞は28回受賞しており、そのひとつは1964年にカウント・ベイシーのアレンジで受賞している。

・お薦めのトラック : ダイナ・ワシントン「Makin’Whoopee」

Makin' Whoopee

 

15. デヴィッド・ヴァン・デピッティ (1941年~2009年)

モータウンは、アルバムのジャケットにアレンジャーの名前をクレジットしないことがあった。創設者のベリー・ゴーディが、お抱えのアレンジャーをライバル会社に引き抜かれることを嫌ったからである。とはいえ、たとえ名前が表に出なくても、モータウンのアレンジャーがいわゆる「モータウン・サウンド」で重要な役割を担ったことは間違いない。

モータウンでアレンジを担当した人としては、ポール・ライザー、ウェード・マーカス、ウィリー・ショーターなどが有名だ。今回は、その中から特にデヴィッド・ヴァン・デピッティを選ぶことにした。ヴァン・デピッティ (2009年に67歳で死去) はもともとトミー・ドーシー・オーケストラのジャズ・トロンボーン奏者としてキャリアをスタートさせた。

やがて彼は、シュープリームス、テンプテーションズ、スティーヴィー・ワンダーなどのヒット曲で腕を振うようになった。そうした仕事の中で最も有名なのは、マーヴィン・ゲイの名盤『What’s Going On』だろう。ここで彼はデトロイト交響楽団を起用し、ソウルフルなアレンジを作り上げることに成功したのだ。

・お薦めのトラック : マーヴィン・ゲイ「What’s Going On」

Marvin Gaye – What's Going On (Official Video 2019)

 

16. ブライアン・ウィルソン (1942年~)

ブライアン・ウィルソンは、ビーチ・ボーイズの中心的なソングライター/アレンジャー/プロデューサーであり、現在では、20世紀を代表する最も重要な音楽アーティストのひとりとして認められている。

ビーチ・ボーイズが1966年に発表した伝説的なアルバム『Pet Sounds』でウィルソンは実験的なアレンジを繰り広げ、画期的な作品として絶賛された。ポール・マッカートニーはこのアルバムをお気に入り作品のひとつとして挙げており、ハーモニカ、ハープシコード、スネアドラムといった楽器をヴォーカルとブレンドさせたウィルソンの革新的な手法を賞賛している。

お薦めのトラック : ビーチ・ボーイズ「God Only Knows」

God Only Knows (Remastered)

 

17. ジャン=クロード・ヴァニエ (1943年~)

ジャン=クロード・ヴァニエはパリ郊外で育った独学のピアニストだ。やがてセルジュ・ゲンスブールが1971年に発表した傑作『Histoire De Melody Nelson』のアレンジャーとして有名となり、このアルバムはビオラ、ヴァイオリン、チェロを大々的に使ったことで注目を集めた。

その後ヴァニエは、トップクラスのフランス人ミュージシャン (フランソワーズ・アルディやクロード・フランソワなど) にアレンジを提供。さらにはホイットニー・ヒューストンやペトゥラ・クラークのアレンジも手掛け、2011年にはハリウッドボウルで開催されたメロディ・ネルソン・トリビュートでオーケストラ・アレンジを担当している。

お薦めのトラック : セルジュ・ゲンスブール「Ah! Melody」

Ah Melody

 

18. リチャード・カーペンター (1946年~)

リチャード・カーペンターはバート・バカラックから影響を受けており、バカラックが以前ディオンヌ・ワーウィックに提供した「Close To You」を彼ならではの斬新なアレンジでカヴァーして、その能力を見せつけた。

カーペンターズのレコードは、リチャードのプロデュースとアレンジによって個性的な作品に仕上がっているのだ。その中には、彼が20代前半で作り上げたものも含まれている。彼は特にメロディとカウンターメロディの使い方が上手で、妹カレンのヴォーカルを最高に引き立てる方法を心得ていた。

お薦めのトラック : カーペンターズ「Superstar」

Carpenters – Superstar (Official Video)

 

19. デヴィッド・キャンベル (1948年~)

カナダ人のアレンジャー、デヴィッド・キャンベルは、現在のポピュラー・ミュージック界でとりわけ引く手あまたのアレンジャーのひとりだ。

息子であるベックのアルバム (たとえば『Sea Change』やグラミー賞受賞した『Morning Phase』) でストリングスをアレンジしているほか、マイリー・サイラス、アデル、ジャスティン・ティンバーレイク、ビヨンセ、マイケル・ジャクソン、ミューズなどのアルバムでアレンジを担当している。また守備範囲も広く、ポップスやR&Bだけではなく、レディAの「Hurt」といったカントリー・ミュージックまで手掛けている。

お薦めのトラック : ベック「Paper Tiger」

Paper Tiger

 

20. ヴィンス・メンドーザ (1961年11月17日生まれ)

ヴィンス・メンドーザは、ブルーノート・レーベルと契約した時点ではまだ20代だった。彼は精力的に多彩な活動を続け、グラミー賞を数回に亘って受賞。ポップ・ミュージックやジャズの分野で活躍するさまざまなアーティストにアレンジャーとして貢献している。

メンドーザをアレンジで起用したアーティストの例としては、ジョニ・ミッチェル、スティング、メロディ・ガルドー、ビョーク、ジョー・ザヴィヌル、ジョン・スコフィールド、チャーリー・ヘイデン、ランディ・ブレッカー、GRPオールスター・ビッグ・バンドなどが挙げられる。

エルヴィス・コステロとオランダのメトロポール・オーケストラの共演作『Flame Burns Blue』 (ドイツ・グラモフォンからのリリース) でメンドーザが作り上げたアレンジは、多くの偉大なアレンジャーたちへのトリビュートになっていた。このアルバムでは、デイヴ・バーソロミュー、バート・バカラック、ビリー・ストレイホーンの曲もカヴァーされている。

お薦めのトラック : エルヴィス・コステロ「Hora Decubitus」

Hora Decubitus (Live)

Written By Martin Chilton



 

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