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エミネムのベスト・ソング20曲:ヒップホップの概念を覆し スターへとのし上がった唯一無二の存在

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Photo: Craig McDean

桁外れの才能をもって大いなる物議を醸し、ブラック・ユーモアと情け容赦ないまでの正直さを兼ね備えた前代未聞のスター、それがエミネムだ。本名マーシャル・メイザースとして生を受けたラッパーは、90年代のアンダーグラウンド・ヒップホップから自力で這い上がり、世界的にも最も成功したアーティストの仲間入りを果たした。そんなエミネムのベスト・ソングは、まさしく彼の現在進行形の成長をそのまま図式化したものに他ならない。

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ミズーリ州セント・ジョセフに生まれたマーシャル・メイザースは、幼少時代をミズーリとミシガンで過ごした後、11歳で母親とデトロイトに定住した。10代前半でヒップホップに出会った彼は高校の友人たちと一緒にラップを始め、誰でも飛び入り参加できるオープン・マイク・コンテストに出場するようになり、その驚愕のフロウで、彼の実力を疑ってかかる黒人オーディエンスをたちまち圧倒した。1996年、エミネムは初のソロ・アルバム『Infinite』をリリースしたが、明確なスタイルを欠いた同作はシーンに重要なインパクトを残すに至らなかった。しかし、結果的にこの失敗が彼の人生に深い影響を及ぼすことになる。

アーティストとしての方向転換を狙ったエミネムは、狂気に満ちた自らの分身、スリム・シェイディを創り出し、本記事のベスト・ソング・リストの多くでも語り手を務めるこのキャラクターを通し、漫画的なブラック・ユーモアを交えながら自らの怒りを昇華させたのだった。この策略が遂行された1998年の『Slim Shady EP』で目覚ましい成果を上げたエミネムは、それに大いに感銘を受けた伝説歴ヒップホップ・プロデューサーのドクター・ドレーによって、大手レーベルのインタースコープとの契約を獲得。翌年にはドレーが共同プロデュースを務めたアルバム・ヴァージョン『The Slim Shady LP』がリリースされた。

自らが創り出したアンチ・ヒーローの鎧の下、エミネムは好奇心の赴くままに、ありとあらゆる題材をダークでコミカルなファンタジーに仕立てる自由を謳歌した。例えば、リード・シングル「My Name Is」で執念深い怪物のように手に負えない問題児としてスリム・シェイディを紹介すると、 「Guilty Conscience」ではこの自らの分身を利用して、倫理的価値観をテーマにゲストで登場するドクター・ドレーと共に、攻撃的なラップを組み交わした。その後ほどなくして、恩師へ借りを返すべくリリースした2001年のシングル「Forgot About Dre」では、速射砲のような高速ラップを炸裂させ、人々の興味をさらった。

Eminem – My Name Is (Official Music Video)

 

 

『The Slim Shady LP』はエミネムを世界的スターへと押し上げたが、同時にこのアルバムのリリックが暴力や極度の女性蔑視、同性愛恐怖症を美化しているとして、多くの人々を激怒させることになったのもまた事実である。だが自らが醸した物議には一向に怯むことなく(寧ろその火を煽るかのように)、彼が翌年に発表した『The Marshall Mathers LP』は、前作より更に輪をかけて暗く、カミソリのように辛辣なユーモアと、ますます残忍な個人攻撃に拍車がかかっており、しばしば現実とフィクションの境界線すら曖昧なその収録曲の多くが、現時点におけるエミネムの最高傑作ともみなされている。

アルバムのオープニングを飾る「Kill You」で、とりわけ標的にしているのは、実の息子を相手取り、名誉棄損のかどで1,000万ドル(約10億8,000万円)の損害賠償訴訟を起こした彼の母親である。そして恐らく彼の最も苦悶に満ちた曲「Kim」 は、空想の中で彼の妻である女性を殺す直前に起こった口論の内容を綴るファンタジーだ。その他、スマッシュ・ヒット・シングル「The Real Slim Shady」はセレブリティたち、そして彼らを誹謗中傷する人々を同等にからかう内容で、より内省的な雰囲気のエミネムが垣間見られるトラック「The Way I Am」では名声とそれに伴う反動を自問自答し、また大ヒット・シングル「Stan」はエミネムの描き出す暴力的なファンタジーを真に受けてしまった病的なファンにまつわる警告的な物語となっている。

Eminem – Stan (Long Version) ft. Dido

 

各国の主要チャートで初登場1位を飾った『The Marshall Mathers LP 』はリリースから2週間で200万枚近いセールスを叩き出し、最も速いペースで売れたソロ・アルバムとなった。だが過激なリリックの余波は翌年、彼を困難な状況へと追いやり、エミネムは母親、そして離婚した妻の両方から更なる訴訟を起こされる事態となった。2001年は新作こそなかったものの、ジェイ・Zのアルバム『The Blueprint』に収録の「Renegade」で圧巻のゲスト・パフォーマンスを披露したエミネムは、後に自身のベスト盤『Curtain Call』のデラックス・ヴァージョンにも収録されることになるこの楽曲で、圧倒的な技量を証明している。

Renegade

 

2002年に発表した、ロック色の濃い『The Eminem Show』では、エミネムが一歩下がって、自らの音楽が及ぼした衝撃とセレブリティたちの動向をつくづくと吟味している様子がうかがえる。 「White America」では、彼が都市部の白人ティーンエイジャー層に悪影響を及ぼしているという先入観に基づくアメリカ政府の検閲の姿勢を糾弾し、一方「Cleanin’ Out My Closet」では、トラウマ的な自身の生い立ちに対する痛烈な見解を織り込みながら、再び彼と母親との不和が語られている。クイーンの「We Will Rock You」からの足を踏み鳴らして手拍子を取るリズムをサンプルした「Till I Collapse」には、エミネム特有のオリジナリティ溢れるライムがフィーチャーされており、またスリム・シェイディの再登場で反逆児のコメディーとでも言うべき「Without Me」は、単なるヒット・シングルを超えてエミネムのベスト・ソングのひとつに数えられるに相応しい出来だ。

Eminem – Without Me (Official Video)

 

前作同様の大ヒットを記録した『The Eminem Show』で、自身の音楽的キャリアが頂点を極める中、エミネムは満を持して映画業界へと進出する。デトロイトで野心的なMCとして頭角を表わすまでの日々を描いた映画『8マイル』で、彼は自らをモデルにした架空のキャラクター、B・ラビットを演じた。その演技力に対する称賛に加え、同作のサウンドトラックに収録の、中毒性の高いラップ・ロック・トラックで、彼に初の全米1位とアカデミー賞“最優秀オリジナル楽曲賞”受賞をもたらした「Lose Yourself」は、エミネムのベスト・ソングのひとつとして確固たる地位を手に入れることとなる。

Eminem – Lose Yourself [HD]

 

2004年の『Encore』は、前作『The Eminem Show』とテーマの上で対を成す作品である。フィクション的な要素と。鋭く物議を醸すリリックは最低限に留めつつ、ここでさらに掘り下げられているのは政治と、彼の名声が引き起こし続ける副次的な影響だ。マルティカのヒット曲をサンプリングした「Like Toy Soldiers」で、彼はヒップホップにおける暴力に強く抗議した。2004年、大統領選挙の直前にリリースされた反戦のプロテスト・ソング「Mosh」は、ブッシュ政権とイラクにおけるアメリカ軍の駐留継続に対する痛烈な攻撃だった。同アルバムのリリース後、自らの結婚生活の破綻と一番の親友だったプルーフの死が、エミネムの依存症を急速に悪化させることになる。2005年の欧州ツアーをキャンセルした彼は、睡眠薬に対する依存傾向治療のため、自らリハビリ施設に入所を決めた。

Eminem – Like Toy Soldiers (Official Video)

 

2009年の『Relapse』と 2010年の『Recovery』という2枚の復活アルバムは、どちらも彼の闘いがテーマとなっていた。自らの中毒者としての日常を、清々しいほどの率直さで詳細に綴った「Déjà Vu」や、今は亡き親友プルーフを悼み、今も愛情を抱き続けている元妻のキムへの思いを切々と吐露する「Going Through Changes」といった楽曲からは、彼の人間的に成熟した一面が垣間見える。また、2013年の『The Marshall Mathers LP 2』では、自らの大ヒット作『The Marshall Mathers LP』に回帰し、向かうところ敵なしだったかつての反逆児を取り戻した。とりわけパンチの利いたトラック「Rap God」では、あの第二の人格、スリム・シェイディを利用して、自身のキャリア史上最もキレのあるラップを披露し、ヒップホップ界における最重要人物のひとりとしての地位をあらためて世に知らせめた。

Eminem – Rap God (Explicit) [Official Video]

 

長いブランクを経て到着した待望のアルバム『Revival』から、11月10日に何の事前予告もなしにサプライズでリリースされたシングル「Walk On Water」では、再び聖書からの隠喩が用いられ、ビヨンセの歌うゴスペルのフックを受けて、エミネムは自らの過去をじっくりと眺め、彼のファンの期待と、自らに課したハードル、そして「♪世界を思い通りに/手懐けていた頃」を振り返っている。また「いつだってまだ吐き出していない言葉を探し求めてる」と自らを前へと押し進めるための原動力になっているものの存在を認めるその姿勢は、エミネムが「Stan」という名曲の生みの親であるだけでなく(彼自身が「Walk On Water」の終盤で念を押すように)、史上最も思慮深いラッパーのひとりであり続けていることを私たちに思い出させてくれるのだ。

Eminem – Walk On Water (Official Video)

 

Written By Paul Bowler


エミネム『Music To Be Murdered By』
2020年1月17日配信開始/3月4日国内盤発売
iTunes / Apple Music / Spotify / 国内盤予約



 

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