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スリム・シェイディことエミネムが音楽に込める真実と虚構の境界線とは?

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そもそもヒップホップは控えめなものではないが、エミネムa.k.a.スリム・シェイディほど、とんでもなく物議を醸すスターも珍しい。並外れた才能と同じぐらい挑戦的なデトロイト出身のラッパー、本名マーシャル・マザーズは、アンダーグラウンドから地道に活動し、世界で最も成功したヒップホップ・アーティストとして名を馳せた。エミネムが成し遂げた栄冠は数々あるが、2000年代はアメリカのどのアーティストよりもセールスが多かったのはそのひとつだ。そして最近では、2017年BETヒップ・ホップ・アワードで容赦なくドナルド・トランプを批判したフリースタイルのラップを披露し、激しい憤りをもたらす技量は衰えていないことを示しながら、自身の世界観が緩くなることはないことも表明している。

Eminem Rips Donald Trump In BET Hip Hop Awards Freestyle Cypher

Eminem Rips Donald Trump In BET Hip Hop Awards Freestyle Cypher

 

エミネムが最初に注目を浴びたのはテクニカルで早口なラップ・スタイルだが、彼が創造したコミック的ペルソナである「スリム・シェイディ」が彼を世界的なスーパースターへと押し上げた。スリム・シェイディという役を演じ、ブラック・ユーモアを駆使しながら自身の壮絶な過去を深く掘り下げ、ダークな別の未来を想像したのだ。でも本当のマーシャル・マザーズは、そしてスリム・シェイディとは誰なのだろうか?

まるで刑事のように事実とフィクションを区別し、本当の意見と作り物を見分けることがエミネムの音楽を楽しむ醍醐味のひとつだ。時に彼の歌詞は現実の昼ドラのようで、感情的でダイレクトにドレイクのような現代のヒップ・ホップのスターの先手を打つ。

エミネムを語る時に、彼のデビュー・アルバム『Infinite』は見過ごされがちだ。1996年にレコーディングされ、まだ彼独特のスタイルへと成長している過程の初期の作品だ。しかし、そこには少年時代の多くの時間を、辞書を見て過ごした男の複雑なライムや言葉の博学さが随所に現れていた。題材はすでに非常に個人的な内容で、デトロイトの最も貧しい場所で育った苦悩や、彼女のキムと生まれてくる娘ヘイリーへの希望が語られている。しかし、このアルバムでは彼が願っていたようなインパクトをもたらすことはなく、逆にその結果がエミネムに大きな影響を与え「あのレコードの後、書くライム全てがどんどん怒りに溢れていった」とローリング・ストーン誌に語っている。

Eminem - The Eminem Show, 2002

この変化の始まりはトイレに行った時にスリム・シェイディというオルター・エゴ(第二の自我)を作り上げた時に起こった。「急に名前を思いついて、すぐにライムする言葉が浮かんだんだ」と振り返る。生意気な印象をつけるために髪を金髪に染めたエミネムは、自身の漫画のようなユーモアと潜在していた怒りを吐き出す術を見つけたのだ。

2枚目のアルバムであり、メジャー・レーベルのインタースコープからのデビューとなった1999年の『The Slim Shady LP』は、世間にショックを与えるものを持ち合わせていた。アンチ・ヒーローの名のもとに、エミネムは興味のあることについてなんでも語れる自由を感じた。ダークなユーモアが溢れる傑作「My Name Is」で、スリム・シェイディという名前で復讐に燃えた、鬼のようで何をするか予測できない人物を世に紹介した。スリム・シェイディは自虐的でもあり(“I ain’t had a woman in years /My palms too hairy to hide” [何年も女がいない/手の平が毛むくじゃらすぎて隠せない])、その攻撃は非常に個人的なものでもあった。

曲で描いた漫画のような暴力は明らかにフィクションだが、真実と虚構の境界線は時に落ち着かないほどぼやけている。特に「My Name Is」のこの1行 “99 percent of my life I was lied to/I just found out my mum does more dope than I do”[俺の人生の99%は嘘をつかれていた/たった今、ママが俺よりたくさんドラッグやってるって知った]は、母親のデビー・マザーズからするとフィクションのラインを越えてしまっているとして、訴訟になった。その他にも「Brain Damage」では、クラスメイトのディアンジェロ・ベイリーによるイジメについて語り、また法的訴訟の引き金となった。

同時に完全にフィクションな部分も驚くほど個人的な印象もあった。「’97 Bonnie And Clyde」は殺害した妻を埋めようと娘と旅をする空想の物語だが、エミネムのその娘役をゾクゾクするような演技で実の娘のヘイリーが演じた。部分的にドクター・ドレーにプロデュース(エミネムはドクター・ドレーが創設したアフターマスの親会社であるインタースコープよりリリース)された『The Slim Shady LP』は文句なしの大成功を記録し、エミネムは世界的なスターになった。

Eminem The Marshall Mathers LP Album Cover - 300

翌年の2000年に『The Marshall Mathers LP』をリリースし、エミネムは前作のダークなユーモアをさらに広げていった。前作は批評家もリスナーも同じように事実とフィクションを区別しようとしていた中、『The Marshall Mathers LP』はさらにその境界線をぼやけさせ、カミソリのようなユーモアと個人的な攻撃が融合されていた。オープニングの「Kill You」では母親が攻撃され、「Kim」では妻が言葉の暴力に合い「’97 Bonnie And Clyde」の前日譚として、架空の口論が殺人に発展することを物語っている。エミネムのアウトプットの多くを占めるユーモアが刈り取られたこの曲は、彼が制作した楽曲の中でも最も恐ろしい作品である。

しかし、フィクション・ラインが曖昧なエミネムの世界において言葉通りのことなどほとんどない。毒舌な意識の流れの間に、もやが晴れるような瞬間が時折混ざる。”Oh my god I love you”[本当にお前を愛してる]、 “I don’t wanna go on/Living in this world without you”[このまま続けられない/お前がいない世界で生きていくなんて]。2人が別居している時に書かれた「Kim」は、彼の怒りのはけ口でもあり、愛情を表現する術でもあったのだ。

最後の曲「Criminal」のイントロでは、その真実や現実との境界線について話している: “A lot of people think what I say on a record/I actually do in real life/Or if I say that I wanna kill somebody/That I’m actually gonna do it or that I believe in it/Well, shit, if you believe that, then I’ll kill you” [俺がレコードで言ったことを/現実でやってると思ってる人が多い/誰かを殺したいと言えば/本当に殺したり、殺すことを信じていると思う/なんだよクソ、それを信じるなら、お前を殺すよ]。さらに火に油を注ぐように、彼のリリックを同性愛者に対する偏見だと評した批評家に対して、2001年のグラミー賞ではシングル「Stan」をゲイであるエルトン・ジョンとの共演パフォーマンスでそれに応えた。

この頃にはエミネムはすでに世界でも名だたるスーパースターの一人だった。『The Marshall Mathers LP』はソロ・アルバムの1週間でのセールス記録を樹立。クリエイターを取り巻くメディア合戦も最高潮に達していた。2002年の『The Eminem Show』はそんな状況から一歩下がり、自身の音楽やセレブリティとしてのインパクトを検証した作品だった。

オープニングの「White America」では地方の白人ティーンエイジャーに対して悪影響を及ぼしているであろうという推測の元、政府が率先して行おうとしている検閲を取り上げた。個人的な問題を取り上げることを恐れないエミネムは、再び家族の関係も題材にした。母親との不和や争いは「Cleaning Out My Closet」で痛烈に歌われた。「The Kiss」と題したスキットでは、実際にクラブでキムとのキスで喧嘩になり、警察沙汰になったことを語り、続く「Soldier」や「Say Goodbye Hollywood」などのトラックではその事件の詳細や結果的に二人の離婚になったことについてまで語っている。

Eminem – White America (Official Music Video)

Eminem - White America (Official Music Video)

 

心のこもった娘に捧げた「Hailie’s Song」ではマーシャル・マザーズことエミネムのもっと軽い側面が垣間見れる。しかし「Superman」では再びスリム・シェイディが登場し、2001年に妻キムと離婚して独身生活を謳歌しているエミネムを歌い、ヒット・シングル「Without Me」は過去の作品のような反抗的なコメディに舞い戻る。

Eminem Encore Album Cover, 2004 - 300

有名であることの代償と戦いながら、2004年にリリースされた『Encore』は『The Eminem Show』とテーマが近しい作品だった。『Encore』はフィクションで尖った物議を醸すリリックは最小限に抑えられ、作品を通して自身に向けられた批判に答えた。「Yellow Brick Road」では16歳の時に録音したビート・テープでNワードを使用したことを謝罪、エミネムが書いた中で最も感情的な作品な「Mockingbird」では娘のヘイリーと養女のアレイナに対して、彼女たちが混沌とした中で育ったことを謝罪する。

その後4年の沈黙が続き、その間エミネムは自身の結婚生活の破綻やデトロイト出身のラッパーで親友だったプルーフの死と向き合っていた。2009年にシーンに戻った時には、新鮮なほど正直な『Relapse』を発表し、「Déjà Vu」などの曲ではプライベートの葛藤を詳細に語った。また「My Mom」では自身の問題の責任を母親のドアもとに置き、同時にお互いの似ているところも認める。スリム・シェイディも鎖から解放され、他のセリブリティをからかい、タブーな内容を突いた。

アルバムは批評家から好評だったが、エミネム自身が翌年2010年の『Recovery』でそれを一蹴し、ここでは変化していくヒップ・ホップの背景の中で自身を当てはめようと試みた。半信半疑ながらも、まだまだリリックの腕前は健全で、「Going Through Changes」ではプルーフを失ったこと、和解しがたい不和がありながらも抱き続けるキムへの愛について、最も感情的でダイレクトに語っている。

最も称賛されてきた作品を成長した視点から描いた2013年の作品『The Marshall Mathers LP 2』では過激さを取戻した。収録曲の「Bad Guy」は「Stan」の続編で、曲中で亡くなったファンの弟がエミネムを殺し、「Rap God」では再びスリム・シェイディを解き放ち、キャリアの中でも最もテクニカルとも言えるラップを披露している。

Eminem – Rap God (Explicit)

Eminem - Rap God (Explicit)

 

最近の作品で焦点だった自身への追求をいくらかなくし、マーシャル・マザーズはより懐柔的なムードで母親への謝罪を「Headlights」で発表しながら、厳しく非常にプライベートな告白も含まれている。ヒップ・ホップ史上最も迫力のあるリリシストの一人として名を馳せたエミネムがもつ強さを持ち合わせた『The Marhsall Mathers LP 2』は、さらにファンに次の作品への期待を高め、心待ちにさせている。

Written by Paul Bowler



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