50セントのベストソング20曲:スーパーボウルハーフタイムショー出演でも話題の00年代最強ラッパー

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Photo: Christopher Polk/Getty Images for iHeartMedia

ジャマイカ・クイーンズ出身の50セント (本名:カーティス・ジャクソン) は、2000年代初頭にチャートや音楽メディアを席巻した。2003年、ジェイ・Z の「引退」宣言と同じ年に、彼は9×プラチナ・ディスクに認定された『Get Rich Or Die Tryin’』をリリース。人気が最高潮に達した時期、50セントはおそらく50以上の雑誌の表紙を飾っていた (『XXL』誌の表紙だけでも12回以上)。

50セントは10年以上にわたってさまざまな場所で活動したあと、1999年の「How to Rob」でラップの世界に入った。ジェイ・ZからDMXまで、あらゆる人気ラッパーからさまざまなものを強奪していく様子を陽気に語ったこの作品のおかげで、彼は大きな注目を集めた。とはいえ、コロンビア・レーベルからデビュー作『Power of a Dollar』を録音したあと、彼は襲撃されて9発の弾丸を撃ち込まれた。コロンビアはトラブルを恐れて50セントとの契約を解除し、アルバムをお蔵入りにしたが、この銃撃事件は残酷なかたちで恵みをもたらした。本物であることや逆境を重んじるジャンルにおいて、もう少しで命を落としかけた銃撃事件は50セントを生ける伝説にしたのである。

回復した50セントは、ブートレグ業者にGユニットのミックステープを大量に配布し、新たなデビューに向けてエミネム (シェイディ・レーベル) やドクター・ドレー (アフターマス・エンターテインメント) に契約を持ち掛けた。当時こうした顔ぶれとパートナーを組むということは、まるで優勝チームにドラフト1位で指名されたようなものだった。このころ、これほど影響力のあるラッパーとプロデューサーは他にいなかったのである。50セントは自分のミックステープで自らを「ニューヨークの王様」と呼んでいたが、エミネムとドレーとの契約は彼にとってまさしくラップの戴冠式だった。その入場曲となったのが『Get Rich or Die Tryin』だ。

25セント硬貨がテーブルを叩く冒頭の音からレコードの最後に至るまで明白なことだったが、50セントは音楽を研究すると同時にストリートも研究しており、彼のフックの才能は他の追随を許さなかった。『Get Rich or Die Tryin’』からは5つのシングルがチャート入りしている。さらに重要なことに、どの曲にもテーマがあり、狙いを定めたファン層があった。彼はマリファナを吸わないのに、「High All The Time」を作った。彼は、ギャングスターのようなサウンドの曲をクラブヒットにし (「In Da Club」)、あわや死にかけた銃撃事件をドラマチックな曲に仕立て上げた (「Many Men」)。「21 Questions」では、女性たちに21の質問をした。歌詞は巧みだが、決して巧みすぎるということはない。響きがよく、洗練されていて、東海岸でありながら、ほとんど南部のような雰囲気を持っている。時には残酷で、時にはスムーズ。手短に言えば、これは数あるラップのデビューアルバムの中でも最高に多芸多才な部類に入る。

50セントは、シェイディ/アフターマスでのデビューに続き、『The Massacre』と『Curtis』という2枚のプラチナ・アルバムをリリース。アルバムを出すたびにチャートでの順位は下がっていったが、そうしたアルバムの中にも50セントがニューヨーク出身の最高のストリートラッパーであることを示す素晴らしい名曲は常に含まれていた。今回の50セントのベスト・ソング・リストで、彼が特別な存在である理由を感じ取っていただきたい。

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50セントのクラブ・ヒッツ

50セントは、クラブよりもスタジオやジムにいる時間の方が長かったようだ。とはいえ、2000年代前半、彼の音楽はクラブのスピーカーから常に鳴り響いていた。彼は、ボトルサービスを要求する人々や、そうしたテーブルの近くで踊る人々のために曲を作っていた。アンセムっぽいビッグなビートに敏感だった50セントは、ポップなラップを書く才能に恵まれていた。そしてビートに合わせて、シンプルだが記憶に残るヴァースと魅力的なフックを繰り出していった。

1. Wanksta

コロンビアから契約解除されたあとのミックステープ時代、50セントはチンピラだった過去の経験をチャート向けの楽曲に仕立てていった。「Wanksta」は、もともとG-ユニットのミックステープ『No Mercy, No Fear』に収録されていたが、映画『8-Mile』のサウンドトラックで再リリースされると、全米シングルチャートに入るヒットとなった。「Wanksta」のビートはクロムメッキされたアイスクリーム・トラックのようなサウンドであり、過去への郷愁をジープや屋上のバーで盛り上がるように作り変えている(こうした手法は、ネリーの「Country Grammar」でも使われている)。バックのサウンドで和らげられてはいるが、ここで50セントは性行為の合間にベレッタ、AK、AR-15といった銃器で敵を脅している。その銃口が自分に向けられていない限り、聴き手はこれを聴きながら心地よくダンスできるだろう。

2. In Da Club

「In Da Club」はひとつの到達点であり、50セントがクラブ・ソングを出すたびに比較対象となる。この曲は、『Get Rich or Die Tryin』がマルチ・プラチナになることを予感させる、早すぎるウイニング・ランだった。ドクター・ドレーとマイク・エリゾンドのビートはクラブでは攻撃的すぎるような印象もあるが、50セントの声が滑らかでメロディアスであるため、うまく馴染んでいる。彼は、女性がドラッグをやり、シャンパンを飲み、ナイフを持った20人の仲間と一緒に遊んでいる様子をラップしながら、ニタニタ笑っている。

3. Disco Inferno

『Get Rich or Die Tryin’』のあと、50セントは何年にもわたってクラブを支配し続けた。2005年の「Disco Inferno」では、50セントはフックをトゥワーキングにしているが、既に市場で検証済みのシングルの作り方を忘れてはいない。

4. I Get Money

2007年の『Curtis』で、彼はさらに2曲のクラブ・ヒットを放った。つまり「I Get Money」と「Ayo Technology」である。前者では、自分を億万長者にした歴史的なビタミンウォーターの販売を振り返り、自らの莫大な富をひけらかしている。

5. Ayo Technology

後者「Ayo Technology」では、ジャスティン・ティンバーレイクやティンバーランドと共にザップの「Computer Love」をストリップクラブ用に再構築している。

 

50セントのラヴ・ソング

6. P.I.M.P.

50セントには多くの側面がある。一部の曲を聞くと、彼は金と報復でしか動かないように思える。たとえば「P.I.M.P.」は金がテーマであり、ここでの彼は心の冷たいポン引きの役を演じている。女性には金しか求めない。そんな冷たい感情が、ミスター・ポーターのカリビアン風味のビートに乗ることで、とてつもなくキャッチーに表現されている。

7. Candy Shop

他の曲には、50セントの官能的で繊細な側面が垣間見える。「Candy Shop」と「Just a Lil Bit」は『The Massacre』に収録されたスコット・スターチのプロデュース作品で、純粋な欲望をクラブ向けに表現している。「Candy Shop」では舞台はベッドルームへと移動し、曲名の婉曲表現が淫らなかたちで展開されている。

8. Just a Lil Bit

「Just a Lil Bit」では、すべての比喩が排除されている。ここでの彼は、相手に「ほんの少しだけ」裸になってほしいと語りかけている。

ストーチの擬似ボリウッド・サウンドをバックに、50セントは徐々にエロティックさを強めながら誘惑する。当時50セントは30歳であり、既に億万長者になっていた。とはいえ、彼は自分のファンの半分が、クラブに出向くよりも学校のクラブ活動に参加するような年齢であることをちゃんとわかっていた。

9. 21 Questions

「21 Questions」は、ラップによる最高のラヴ・ソングのひとつである。今は亡きネイト・ドッグが歌うフックでは、「こちらが打ちのめされていても、あなたは愛してくれるだろうか?」と問いかけられる。この曲の残りの部分で、50セントはさまざまな最悪のシナリオを考えている。この曲は人の弱さ (そしておそらくは不安な心境) を優しく表現しており、名曲となっている。

10. Best Friend

『Get Rich or Die Tryin’』のサウンドトラックに収録されていた「Best Friend」は、「21 Questions」の前奏曲のような曲だった。50セントは、パートナーの愛が本物かどうかを心配することなく、これからパートナーになるであろう相手に求愛している。この曲は愛情に満ちていて、誠実な印象がある。おそらく、50セントが真心を込めた数少ない例のひとつだろう。

 

ハスラーとしての50セント

50セントのハスラーとしての生い立ちは彼の作品の中でも重要なテーマのひとつだ。そうして生み出された曲は、ギャングやそれを生み出す社会的悪に魅力を感じる我々の心に響いてくる。50セントには不思議な能力があり、自分の過去を映画じみた曲に仕立てることができる。彼は、聴き手をその世界に引き込み、そこから逃れ出ようとしている人たちの心に語りかける。

11. Many Men (Wish Death)

「Many Men (Wish Death)」は、彼が危うく命を落としそうになった夜を再現するところから始まる。ピアノが奏でる葬送曲の中で、50セントは自分のラップが優れていると主張するが、そうした優越感から生まれる悪夢のようなパラノイアや搾取第一のメンタリティについても語っていく。彼は刑務所内の人々に直接語りかけたあと、自らに再び死刑を宣告しかねない監獄制度の人種差別を取り上げる。

この見事な曲は、背景となった出来事を知らない人にも強烈な印象を与える。さらに50セントが9発の銃弾を受けながらも生還したことを知れば、一行一行がより重く感じられるだろう。

12. How to Rob

50セントは個人的な苦痛や恐怖に立ち向かっていたが、他人にそうした苦しみや恐怖を味わわせることをテーマにした曲もたくさん作っていた。有名人の名前をずらりと並べた「How to Rob」のような曲は、まるでピストル強盗をやる悪ガキのファンタジーのようだ。

13. Ski Mask Way

さらに2005年の『The Massacre』に収録されている「Ski Mask Way」では、フックの部分で、銃を突きつけて人を襲うことをコメディに変えている。「そのチェーンはいいな、俺のために買ってくれたのか?/そのイヤリングはいいな、俺のために買ってくれたのか?」

こうしたヴァースの中で、50セントは人質を取り、強盗を働いている。この曲をリリースした段階では、そうした行動は50セントにとってとっくに過去のものとなっていたが、彼はその思い出を懐かしんでいるように聞こえた。

14. Ryder Music

Hi-Tekがプロデュースし「All the gangsters are riding to it / 全てのギャングスタはこの曲に乗っている」たラップしたトラック「Ryder Music」も同じである。

15. Hustler’s Ambition

50セントの半自伝的な映画『ゲット・リッチ・オア・ダイ・トライン』のサントラからのファースト・シングルであり、フランキー・ビヴァリーとメイズによる「I Need You」をサンプリングした「Hustler’s Ambition」では彼が富と名声を得るまでの過程が歌われている。

 

ゲスト参加曲

16. Lil’ Kim – Magic Stick feat. 50 Cent

2000年代初期から中期にかけて、50セントのゲスト参加は、2010年代のドレイクのゲスト・ヴァースに匹敵するものだった。つまりそれは、世界最大級のラッパーからのお墨付きだったのである。G-ユニットの最盛期だった当時、彼のコラボ相手といえば自分の仲間内かニューヨーク周辺のアーティストにほぼ限られていた。最初にあげるべきゲスト参加作品は、リル・キムと一緒にそれぞれの性的パワーを自慢げに語った「Magic Stick」になろう。とはいえ、50セントはザ・ゲームとさらに多くのコラボレーションを行っている。

17. The Game feat. 50 Cent

50セントと喧嘩別れをする前、ザ・ゲームはG-ユニットではただひとりの西海岸のメンバーだった。ザ・ゲームの成功に興味を持った50セントは、彼の2005年のデビュー作『The Documentary』で最初のシングル3曲のフックを担当。これは完璧な組み合わせだった。50セントのポン引きのような軽快さが、ザ・ゲームの深く攻撃的なラップとうまくかみ合っていたのである。このふたりのコラボレーションの中でとりわけ優れているのは、ドクター・ドレーがプロデュースした「How We Do」と「Hate It Or Love It」だろう。

「How We Do」では、ダークで重いドラムが響くポストGファンクの上で50セントのラップが漂っていく。彼は新たに財産を獲得したことを喜び、『グレートギャツビー』の登場人物であるギャングスターのジェイ・ギャツビーのような古い人間をこき下ろしている。

18. Hate It Or Love It

「Hate It Or Love It」では、プライベートなことを語っている。曲の冒頭で、彼は自分の生い立ちを手短に話す。たとえば思春期に母親の性的指向に戸惑ったこと、ドラッグを売って自分の境遇から抜け出そうと思ったこと、などなど……。

19. Chief Keef – Hate Bein’ Sober feat. 50 Cent & Wiz Khalifa

2010年代となり、ソロ活動のペースがスローダウンするにつれ、50セントはコラボレーションの相手をより厳選するようになった。2012年にはシカゴ・ドリルの重鎮チーフ・キーフと「Hate Bein Sober」を制作。

20. Pop Smoke – The Woo feat. 50 Cent, Roddy Ricch

2020年にはポップ・スモークの死後に発表された「The Woo」に参加し、エキゾチックな休暇中のセックスについてラップしている。

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Written By Jim Bell


<ハーフタイムショー出演者の楽曲をあつめたプレイリスト>




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