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超越瞑想に嵌っていた頃の作品で当時は過小評価されていたビーチ・ボーイズの『Friends』

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1968年6月24日にビーチ・ボーイズの14作目のスタジオ・アルバム『Friends』が発売になった時、彼らはヒンドゥー教に由来する超越瞑想の創設者であるマハリシ・マヘーシュ・ヨーギーに影響されていた。

商業的には最も充実していた時代とは言えないものの、この作品『Friends』はとても穏やかなオーラを放っていた。発売当時のアメリカではあまり売れなかったが、それから数十年かけて、高く評価された作品として知られるようになる。

バンド自らがプロディースを手掛けた今作は39秒のイントロダクション的な「Meant For You」に続き、カールとブライアン・ウィルソンがリード・ヴォーカルを務め、弟のデニス・ウィルソン、アル・ジャーディンと共作した優しく、深い味わいのあるタイトル・トラック「Friends」で始まる。「Friends」はビーチ・ボーイズの多くのシングルの中でも、アメリカよりもイギリスで人気が高かった1曲であり、アメリカでの最高位が47位だったのに対して、イギリスでは25位だった。アルバムも同様で、アメリカでは最高位126位だったのに対して、イギリスでは13位だった。この年の5月初旬には、ビーチ・ボーイズの演奏の前座として瞑想について語るマハリシが登場する全18公演の日程を組んでいた全米ツアーをスタートした。マハリシを前座で起用することは超越瞑想に一番嵌っていたマイク・ラヴの支持によって決定され、「10年に1度のエキサイティングなショウ!」とまで書かれた宣伝ポスターが刷られたこのツアーだったが、ほとんどの公演はチケットが売れずに、結局キャンセルとなった。

アルバム『Friends』には、ブランアン・ウィルソンとアル・ジャーディンによる「Wake The World」やマイク・ラヴによる「Meant For You」、デニス・ウィルソンとアメリカの詩人、ステファン・カリニックによる共作「Little Bird」と「Be Still」などといった楽曲も収録されている。超越瞑想に嵌っていたこの頃のバンドは、クリームやドアーズ他多くのバンドのサイケデリックな魅力と比較すると、時代遅れの存在になっていたことは否定できない。それでも『Friends』は「何度も聞きたくなる」と書いたローリング・ストーン誌や、「多様性が面白い」といったNMEの批評をはじめ、多くの評論家によって好意的に受け入れられた。おまけに、これまでもそうだったように、前作で彼らは失敗したのだ、という多くの中傷をよそに、ビーチ・ボーイズはこのアルバム発売からわずか2週間後にリリースしたシングル「Do It Again」で見事全英チャート初登場1位を勝ち取り、名誉挽回することになる。

Written By Paul Sexton


ビーチ・ボーイズ『Friends』
品番:UICY-25598 *日本盤のみSHM-CD仕様

   


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