エアロスミス 『Get Your Wings/飛べ! エアロスミス』解説:バンドがようやく羽ばたいた2ndアルバム

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1974年当時にエアロスミスのファンであったなら、おそらくあなたは本当に流行の最先端を追っていたか、ボストン出身であったか、あるいはその両方であっただろう。

当時のエアロスミスは急成長中ではあったが、あまりラジオで曲がかかることもなく、ヒット曲もなかった。デビュー・アルバム収録曲「Dream On」がヒットチャートにランクインするのは1年後の1975年のことだ。しかし、アメリカ北東部のクラブを荒らし回っていたこの新人バンドの噂は確実に広まっていた。当時の彼らに必要だったのは、その激しい稲妻を収めることができるアルバムだけだったのだ。

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勝負のセカンド・アルバムとジャック・ダグラス

1974年にセカンド・アルバム『Get Your Wings』が発売になった。エアロスミスがデビュー・アルバムのプロダクションに不満を抱いていたのは周知の事実だ。その不満を解消するために、ベテランでありながら新進気鋭でもあったジャック・ダグラスがプロデューサーに起用された。

レコード・スタジオ「レコード・プラント」の清掃員だったダグラスは、ジミ・ヘンドリックスの後片付けをし、ジョン・レノンの『Imagine』のアシスタント・エンジニアを担当していた。悪名高いニューヨーク・ドールズとのセッションを経験したばかりの彼は、エアロスミスの中に、同じように威勢がありながらも、より訓練されたバンドであることがを見出したのだ。

ジョー・ペリーとブラッド・ウィットフォードがお互いのギター・パートをダブらせるのではなく、それぞれをアレンジさせるなど、ダグラスは最初からバンドの演奏方法に磨きをかけていった。「Same Old Song & Dance」のリフが最初から聴き手を惹きつけるように、ダグラスはバンドが本来持っているキャッチーな楽曲を作ることのできる能力をより高めていった。

 

アルバムの内容

そして、スティーヴン・タイラーのトレードマークである小生意気なユーモアが感じられる歌詞のひとつひとつが聴き取れるようにもなった。実際、エアロスミスのカタログで最も面白いジョークのひとつは、「Pandora’s Box」でタイラーが「city slicker」と「slity licker」で韻を踏んでいる瞬間であろう。

また、「Seasons of Wither」は、「Dream On」に続く思慮深い曲だ。ニューイングランドの冬にインスパイアされた「Seasons of Wither」は、今でもバンドとファンのお気に入りのムーディーな逸品だ。

長くて雰囲気のあるキーボードのイントロが印象的な「Spaced」は、エアロスミスが最もプログレに近づいた曲かもしれない。デヴィッド・ボウイの「Space Oddity」やエルトンの「Rocket Man」をリリックに取り入れたこの曲は、星空にいるときに感じるかもしれない疎外感を歌っている。特にトム・ハミルトンのしなやかなベースラインが素晴らしい。

 

有名になったカバー曲

とはいえ、『Get Your Wings』には収録されたカヴァー曲でもよく知られている。ヤードバーズはエアロスミスの永遠のお気に入りバンドであり、「Train Kept a Rollin」は最初のセットリストから入ってた曲だ。彼らがこの曲をレコーディングする頃には、最初はファンキーに、次にフルスロットルにするというユニークな2部構成のアレンジで演奏されていた。

「Train Kept a Rollin」はエアロスミスのスタンダードとなり、ジェフ・ベックがヤードバーズ脱退後にこの曲を演奏すると「なぜエアロスミスの曲をカバーしているのですか?」と聞かれたという噂もあるほどだ。また、スティーヴン・タイラーとベックは2016年、ハリウッド・ボウルでついに共演。ジョー・ペリーは同じく元ヤードバーズのジミー・ペイジとライブで演奏したこともある。

バンドが全国的なブレイクを果たすまでには、猛烈なツアーとスタジオ行きをもう1度繰り返す必要があった。しかし、エアロスミスが自分たちの翼を手に入れたのは『Get Your Wings』が初めてだった。

Written By Brett Milano



エアロスミス 『Get Your Wings (飛べ!エアロスミス)』
1974年3月15日発売
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